ブロックチェーン分析企業のChainalysisが2月2日に公表したレポートによると、NFT市場において、ウオッシュトレード(水増し取引)とマネーロンダリングの実態が明らかになったとしている。
同社の調査によると、2020年にNFTマーケットプレイスやコレクションに関係するイーサリアムスマートコントラクトに送られた暗号資産が1億600万ドルだったのに対し、2021年では442億ドルに膨れ上がっているという。
一方、NFTの世界では、NFTの価値を実際より高く見せる目的で、NFT所有者が自身がもつ別のウォレットにNFTを売るというウォッシュトレードを行うトレーダーもいると指摘している。Chainalysisの分析によれば、ほとんどのウォッシュトレーダーが利益を上げていないものの、利益を上げた110人のウォッシュトレーダーは合計890万ドルに近い利益を上げていることが判明している。
NFTのウォッシュトレードは法的に不明瞭な部分があることも問題を複雑にしている。証券や先物取引においてウォッシュトレードは禁止されているが、NFTを利用したウォッシュトレードはまだ取締の対象となっていないためだ。Chainalysisは、ブロックチェーンデータと分析によってこうしたウォッシュトレードを容易に発見できるため、違反者に対して罰則を検討することを提唱している。
暗号資産の悪用事例として想起されやすいマネーロンダリングについては、不正なアドレスからNFTマーケットプレイスに送られた暗号資産は2021年第3四半期に100万ドル相当となり、第4四半期には140万ドル弱に及んだことが報告されている。Chainalysisは、2021年に暗号資産全体で86億ドルのマネーロンダリングがあったことを比べるとNFTにおけるマネーロンダリングは比較的小さな規模になっているとしているものの、NFTの信頼を築くために大きなリスクとなるため市場・規制当局・法執行機関は注意深く監視する必要があるとしている。
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