JPモルガン・チェース、アップルやアマゾン・ドット・コムなど米大手企業の経営者が所属する団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、従業員や顧客、取引先、地域社会を含むすべての利害関係者(all stakeholders)の利益に配慮していくとする新たな行動原則を公表した。
宣言では、これまでの株主(shareholder)の利益を最重視する姿勢を見直し、適正な給与や教育・訓練・能力開発を通じた従業員への投資、サプライヤーとの公正な取引、地域社会の支援、環境保護などを行っていくことが掲げられている。
今回の宣言の背景として、アメリカにおける貧富の差が拡大していることにより貧困層から富裕層への批判が高まってきていることや、グローバル資本市場におけるESG投資の流れなどが大きく影響しているものと考えられる。
新原則には、ラウンドテーブル会長である金融大手JPモルガン・チェースのダイモンCEOのほか、アメリカを代表する大手企業の経営者181人が賛同した。
ビジネス・ラウンドテーブルは、日本で言う経団連のような組織でアメリカの経済界に大きな影響力を持つ。ビジネス・ラウンドテーブルが株主利益を最優先とする方針の変更を宣言したことは、アメリカ経済全体にとっても大きな転換点となる。
【参照記事】ビジネス・ラウンドテーブル「Business Roundtable Redefines the Purpose of a Corporation to Promote ‘An Economy That Serves All Americans’
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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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