機関投資家、バークレイズに対し石油関連企業への融資停止を求め決議提出

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187か国が批准するパリ協定が2016年に発効されて以降、温室効果ガスの削減や気候変動対策は、多くの国やグローバル企業に求められている。金融業界でも、この動きは例外ではない。

英国大手の国際金融グループであるバークレイズの年次総会では、パリ協定の基準を満たさない企業やプロジェクトへの融資を止めるよう投資家グループから決議案が提出された。融資停止が求められている対象は、パリ協定の目標達成への進捗が見られない、石炭や石油などの化石燃料を用いたプロジェクトや企業であり、電力会社やガス会社も含まれる。

イングランド銀行は2021年から大手金融8社に対して、4度までの気温上昇を想定したストレステスト(健全性審査)を実施する予定となっており、バークレイズも実施対象に含まれている。ストレステストとは、気候変動による災害で発生する保険金請求や不良債権処理に備えたリスク管理のためのテストだ。今回の決議案はこのストレステストに先駆けて提出された。

この決議案を提出したのは、同行で18.6兆円以上の資産を運用しており、年金機構を含む11の機関投資家のグループだ。ESG投資を推進するキャンペーン団体「ShareAction」主導のもとグループが形成され、決議が提出された。

バークレイズの株式の0.2%を保有する11の機関投資家に加えて、100名以上の株主が決議案に賛同しており、2020年5月の年次総会で投票される予定だ。決議案を提出したグループの機関投資家は、「気候変動が国際金融にリスクと不安定をもたらし、自社の事業やクライアントをリスクにさらすことになる」と考えている。

化石燃料のプロジェクトや企業への融資額が2016年から2018年の間で欧州1位・全世界6位のバークレイズが今回の決議案を受け入れるのか、注目される。

政府・民間問わず、サステナビリティや気候変動対策へ取り組むことが近年求められている流れだ。パリ協定のような国際的な達成目標が設定される中、大規模なビジネスを加速させる金融機関が担う役割も年々大きくなっており、今後も大きな期待と責任が求められる。

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土田 毅

大学時代は社会学部で、医療人類学や消費者心理学を専攻。 卒業後は医療機器メーカーを経て、プロボノで関わっていた社会福祉関係のNPOに勤務。経営企画、ウェブマーケティング、新規事業開発、広報などを担当している。幅広い分野の本や論文を読むのが好き。