アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社は2月8日、「グリーンボンド市場の流動性について」「水は責任ある成長機会のパイプライン」の2つのレポートを公表した。グリーンボンド市場における「グリーニアム(従来型債券とグリーンボンドの利回り差)」についての考察、および、水ストレスや水不足が世界的な問題となる中で「水の処理、管理、テストを担う企業は投資家にとって有望な機会を提供する可能性がある」と解説している。
グリーンボンド市場におけるグリーニアムは「この現象がグリーンボンドセクターの流動性にも影響を与えるかどうか」と同社は提起。「ビッド・アスク・スプレッド」と「ブルームバーグ流動性スコア」を用いてグリーンボンド市場と通常債券市場の特性を比較することで検証を試みた。結果「この2つのセグメントでは取引可能数量に明確な差があるにもかかわらず、ユーロ建てグリーン債セグメントは、低い流動性スコアに対して同等のビッド・アスク・スプレッドを示していることが示唆された」としている。
水問題に関するレポートでは、「水ストレスおよび水不足は、世界中で数十億人が直面している問題。水関連の規制および立法面の強化への意欲が高まっている」と現状を俯瞰、水の処理、管理、テストを担う企業の意義を説いている。生物多様性の保全を追求するなら、水の責任ある利用と分配の重要性は欠かせない。「自然資本の価値、およびどれだけ生物多様性の維持と保全にかかっているか。投資家は、生物多様性の損失の予防と緩和のための闘いに測定可能な本当のインパクトをもたらす企業を特定すること」と訴える。
各国政府や企業は、持続可能な水利用を推進している。米国における2021年のインフラ投資法、水およびインフラ企業への投資支援などにより「関連企業は新たな長期成長ポテンシャルから恩恵を受けるのに有利な位置を得たばかりでなく、生物多様性に対してポジティブで重要度の高いインパクトを与えることができる」と同社は見ており、この観点は、生態系全体における水の重要性をうたった国連の持続可能な開発目標(SDGs)に裏付けられていると指摘。「水は世界で最も過小評価されてきたコモディティのひとつであり、水関連の支援的な規制や政策の動きにより、現在その価値がより高く認識されるプロセスにある」と強調した。
そのうえで、「システミックでポジティブ、かつ相乗的なインパクト」をもたらすには、水不足の問題を「水の利用可能性管理」「持続可能な水資源へのアクセス供給」「水質および安全性」の3項目で取り組む必要があると説く。欧米の先進企業の技術や取り組みを紹介し、「水の処理および管理に携わる企業は、既存のインフラの品質改善および天然資源の利用の最大化に向け、導水の管理および処理を担う革新的な企業にとって重要」と関心を喚起している。
【関連サイト】アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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