埼玉県の印刷工房である株式会社アサヒコミュニケーションズは6月11日、廃材や在庫紙だけで作られたステーショナリーブランド「ミニマルラボ」の展開を開始した。印刷業務から出る廃棄物を資材とした、“持続生産可能なオリジナル文具”として充実させていく。
同社は創業110年、早くから環境保全活動やCSR支援活動に積極的に取り組んできた。CSRマークの認証取得、リサイクル用紙と植物油インキの使用、グリーンプリンティング認証取得などだ。リサイクル対応型印刷資材の積極的な導入を続けてきたが、工程で廃材や余剰材が発生してしまう。2015年の国連サミットでSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことを契機に、天然資源に依るところが大きい製造事業者にとって、SDGsの幾つかのターゲットを生産活動継続のエンジンと捉え、廃棄物を資材としたオリジナル文具の開発をスタートしたという。

使用する資材は、長期保管によって顧客に提供できなくなった紙や断裁された紙の切れ端、余ってしまったゴムバンドなど。いずれも廃棄やリサイクルされるが、ミニマルラボではサステナブルやエコのストイックなイメージを払拭、製品ライフサイクルにおける環境負荷が低いだけでなく、日常を楽しくするアイデアを前面に出す。
最初の取り組みは、新型コロナウイルスの感染拡大防止啓発ポスターの制作。同社ホームページからフリーダウンロードできる。銀行や駅、役所などに掲出され、話題となった。「新型コロナウイルスの流行で、私たちのライフスタイルは原点回帰と再構築を余儀なくされている。身の回りが物で溢れかえっていた時代が終わり、必要なものだけを買い備える『備蓄の時代』が到来するとさえ言われている」と同社。メーカーにとっては逆風だが、「今後は、資材やデザインは必要最小限ながら、本当に必要ものづくりが主流となってゆくのでは」と、変化に商機を読む。
「今の時代に相応しい“Simple is good!”な商品をアイデアと技術力で生み出していく。私達が生産したステーショナリーグッズを楽しく使っていただくことで、一人でも多くの人が資源や環境について考えるきっかけになれば」と意欲を示している。都市/大企業主導から、地方/中小企業へのシフト。アフターコロナの生産と消費を予感させる取り組みのひとつだ。
【関連サイト】MINIMAL lab. オンラインショップ

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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