仮想通貨はどのようなテクニカル分析が有効?プロが徹底解説!(基礎編)

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現在仮想通貨取引所でトレーダーを行っており仮想通貨の市況をチェックする際にテクニカル分析は必ず用いています。日々のトレーディング業務から得た分析手法やテクニカル分析の勉強法について経験を下に解説していきます。

筆者は前職で3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、世界経済の分析をしながら日々マーケットと対峙していました。相場の世界でテクニカル分析というものは必須なものであり、ここを勉強せずして利益を積み上げることはできないでしょう。

ここではまず基礎編としてテクニカル分析とは何なのか?そしてどのようなものが大事な要素なのかを解説していきます。

目次

  1. 仮想通貨はどのようなテクニカル分析が有効なのか?
    1-1. テクニカル分析とは何か?
    1-2. テクニカル分析を行う上で重要なことは
    1-3. テクニカル分析は順張り派と逆張り派に分かれる
  2. テクニカル分析で必要なテクニカル指標
    2-1. 移動平均線
    2-2. 移動平均線のゴールデンクロスとデットクロスとは
    2-3. オシレーター系のテクニカル指標
  3. <実際にトレード戦略を構築する方法

仮想通貨はどのようなテクニカル分析が有効なのか?

テクニカル分析とは何か?

最初にテクニカル分析とは何かということに触れていきたいと思います。テクニカル分析とは、過去の値動きをチャートと呼ばれる値動きのグラフで表し、その値動きから分析したい商品のトレンドやパターンなどを把握し、今後の動きを予想するために用いる分析手法です。つまり過去の値動きから特徴を見つけて、今後の値動きを当てるために分析する手法になります。

相場の世界ではファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つの分析方法があります。

テクニカル分析を行う上で重要なことは

次にテクニカル分析を行う上で覚えておくべきことについて解説します。テクニカル分析の手法は長い相場の歴史の中で、様々な視点や見方が編み出され、テクニカル指標と呼ばれるものは数百とあります。そして利益が上がっている投資家やアナリストが自身のテクニカル分析の手法を色々紹介したりしており、有名なトレーダーのテクニカル分析の手法を真似して稼ごうという考えに陥りやすくなります。

ここがとても注意すべき点です。テクニカル分析というのは人によって相性があります。実はきちんと利益を出し続けるトレーダーは、自身の性格と自身で編み出したテクニカル分析の手法が合致しているから成功しています。性格とテクニカル分析の手法は両輪とも言えるでしょう。
そのため人が上手くいっているテクニカル手法を真似しようとしても自分の性格が合致していなければ利益が思うように出ないという現象に陥ります。

よくツイッターとかで実際これでは稼げないという声も見かけますが、これは本当に分析手法が悪いケースもあれば、単純にその紹介しているトレーダーが考えた背景にある本質的な意味を、表面上の手法だけ読んで真似をしようとした投資家が捉えきれていないことも往々にしてあります。

これは仕事も同じですが「本質的な理由や意味」を理解しておらず、表面上だけ理解してトレードすることからこのような現象に陥ると言えるでしょう。悪いのは手法の可能性もありますが、一概にそれだけとは言えないと思っていてください。

テクニカル分析は順張り派と逆張り派に分かれる

次にテクニカル分析でも順張り派と逆張り派の2種類があります。順張り派とは俗に言うトレンドフォロー型の投資家を指しています。順張り派は下記のチャートのように矢印の方向にトレンドに乗りながらトレードする投資家を指しています。

次に逆張り派はトレンドが反転することを期待して、トレンドとは逆にトレードする投資家を指しています。チャートで見ると下記のような丸印のタイミングでエントリーして利益を出すことを期待するトレードです。

初心者の段階ではトレンドに乗ってトレードする順張りのトレードの方がベターでしょう。逆張りはどうしてもトレンドに逆らってトレードすることから、損切りのタイミングを逸して損失が拡大しやすく中上級者向きのトレードと言えます。

心理的にはなんとなく下落しているため、逆張りの方がエントリーしやすく感じる人が多いのですが、実際に逆張りで負けている人が多いためまずは順張りでのトレードを心がけるようにし、テクニカル分析も順張りでのトレードを意識した分析手法を構築するようにしましょう。

テクニカル分析で必要なテクニカル指標

移動平均線

ここからはテクニカル分析の基礎に入っていきたいと思います。まずテクニカル分析で一番必須なものとして知られているのは「移動平均線」です。移動平均線にも大きく3種類あると言われています。①単純移動平均線、②指数平滑移動平均線、③加重移動平均線の3種類です。

①の単純移動平均線はその名の通り設定した日数の平均値を1本のラインで表したものとなっており、一番メジャーな移動平均線となっています。

②の指数平滑移動平均線は、時間軸の手前にあるローソク足に重きを置いて平均線が作られたものです。つまり個々の価格データへの加重を指数関数的に減少させて、値を計算しているということです。

③の加重移動平均線は指数平滑移動平均線と近い意味になりますが、手前にある価格の動きに重きを置いて加重平均した値を1本のラインにして作成されており、指数関数的に減少させていないことから少し指数平滑移動平均線と異なる値となります。

この3つがどのように違いが出るのかを見てみましょう。

上記のチャートはBTCJPYの日足チャートに説明した3つの移動平均線を比較として載せています。設定日数は「50日」です。移動平均線の種類は黄色が加重移動平均線、青色が指数平滑移動平均線、オレンジが単純移動平均線となっています。

同じ日数ではあるものの、移動平均線の種類によってラインが全く違うことが理解できると思います。加重移動平均線がローソク足の動きに一番敏感に反応しており、単純移動平均線が一番ゆっくりと反応しているのがチャート上から把握できます。

このように同じ日数でも動き方が違うためどの移動平均線を利用するかは投資家次第と言えるでしょう。

移動平均線のゴールデンクロスとデットクロスとは

次の基本的な分析方法としてトレンドの転換点を表す「ゴールデンクロス」と「デットクロス」を解説したいと思います。

仮想通貨のマーケットはトレンドが一旦スタートするとかなりの値幅が発生することが多く、トレンドフォローを行うことで中期的に大きなリターンが期待できます。そのトレンド転換を判断する一つの手法がこの2本の移動平均線を利用した分析手法です。

ゴールデンクロスは日数の短い移動平均線が、日数の長い移動平均線を上回ったタイミングを指しています。デットクロスは日数の短い移動平均線が、日数の長い移動平均線を下回ったタイミングの位置を指しています。実際のチャート上では下記の丸印の位置です。

黄色の丸印がゴールデンクロスの位置を表しています。青色が50日単純移動平均線で緑色が200日単純移動平均線です。

チャートを見るとゴールデンクロス後の動きは上昇基調が続いており、値幅もゴールデンクロスした位置から2倍以上に上昇しているのがわかると思います。

当然常にこの動きになるわけではないですが、移動平均線を2本使ってこのサインが出た場合はあまり逆らってトレードしないようにしましょう。また典型的な手法としてはゴールデンクロス後、短い日数の移動平均線まで戻ってきたタイミングでエントリーする方法が負けにくいトレード手法と考えられています。

次にデットクロスは下記のチャートのような動きを指しています。

こちらはXRPUSDの4時間足チャートで、黄色の位置がデットクロスの位置を示しています。デットクロスが成立した後チャートは下落基調が継続しており、50日単純移動平均線までローソク足が戻ってきたあたりで一旦止まり、再度下落しているのが視覚的にわかると思います。こちらも同様に、デットクロスが発生した場合はこのトレンドに乗ってトレードすることがベターでしょう。

これが移動平均線の種類と基本的な分析手法となります。これだけでトレードする投資家もいるほど便利であり必須なものなので、きちんと覚えておきましょう。

オシレーター系のテクニカル指標

次にオシレーター系についてご紹介したいと思います。オシレーター系とは値動きから投資家のセンチメントを測るものであり、買われ過ぎや売られ過ぎを判断するために用いるものになります。

代表的なのは「RSI」や「ストキャスティクス」のようなものです。RSIとは「相対力指数」と言うもので、直近の一定期間において終値をベースとして上昇分の値幅と下落分の値幅でどちら勢いがあるのかを計測しようとする指標となっています。

RSIは、50%を中心として0~100%の範囲で推移し、上昇局面に入ると数値が中心値より上の50%以上で推移し、下落局面に入ると数値が50%以下で推移する動きが継続しやすくなります。
基本的な見方はRSIが70%or80%以上であれば買われすぎ、逆にRSIが20%or30%以下であれば売られ過ぎであると判断することが基本的な見方となります。

実際のチャートは下記のようになります。

上記のチャートはXRPUSDの日足チャートです。リップルが下落局面の時にRSIは50以下の範囲で推移しているのがわかると思います。このように相場が一定方向にトレンドが出ている間はRSIが大きく上下せずに低位安定しているため売られ過ぎと言う判断もできないためロングでポジションを作ることも難しいと言えるでしょう。

ではRSIで買いの判断ができるときはどのような動きとなった場合かを見てみたいと思います。
下記はXRPUSDの日足チャートになります。青色の丸印をご覧ください。

RSIをまずチェックすると、大きく売られ過ぎの範囲に入っているのがわかると思います。このタイミングでロングポジションを取ることができればその後の大幅上昇がきちんと収益化できたかもしれません。

RSIの理想は上記のような動きになりますが、実際にRSIだけでトレードをすると負けると言う結果も出ているバックテストが多く、やはり売られ過ぎの範囲に入っていると言うのは、下落する理由があるから売られているため、上記のような逆張りで上手くいきにくいと言うことはきちんと覚えておきましょう。

次にストキャスティクスについて解説します。

ストキャスティクスとは一定期間のデータを利用して、そこから高値と安値を利用して計算するオシレーターです。RSIと同様に買われ過ぎなのか売られ過ぎなのかを判断します。推移している価格が一定期間の高値および安値と比較して、どの位置にあるかで計算されるようになります。RSIと相違している部分はRSIは一本のラインで引かれているのに対して、ストキャスティクスは2本のラインで構成されています。

この2本のラインはそれぞれ「%K(パーセントK)」、「%D(パーセントD)」と呼ばれています。

ベースとなる「%K」と、%Kを平均した「%D」という異なる2本の線が表示されており、その位置や2本線の交差のタイミングからトレード判断するための材料とします。
実際に下記がストキャスティクスの画面になります。

上記は再度XRPUSDのチャートを表示しています。ストキャスティクスが下段になります。まずRSIと同様に売られ過ぎや買われすぎの範囲があることがわかるでしょう。

80以上で買われすぎ、20以下で売られ過ぎと判断します。そしてストキャスティクスのもう一つの使い方はストキャスティクスは移動平均線と同様にゴールデンクロスやデットクロスが存在します。

上記のチャートの黄色の丸印をご覧ください。このようにゴールデンクロスをしている場合はロングの方向についていくことがセオリーとされています。逆にデットクロスした場合はショートでついていくべきと言うことになります。

しかし上段のチャートを見てもわかる通り、ゴールデンクロスしたからと言ってそのトレンドが継続する確率が高い訳でもなく、ストキャスティクスの上記の設定はデフォルトですが、かなり敏感に値動きについていこうとしており、それが逆に騙しを繰り返しています。

そのためRSIと同様にストキャスティクスのみで売買をすることは控えましょう。

では移動平均線、RSIやストキャスティクスだけでトレード戦略を作ると考えた時にどのような方法で組み立てていくべきか初心者向けにご紹介します。

実際にトレード戦略を構築する方法

基礎編のため簡単でメジャーなテクニカル指標を3つご紹介しましたが、この3つを利用してどのように組み立てていくかをご紹介します。まずはトレンドフォロー型の戦略を構築することを前提に考えていきます。

まず重要な移動平均線の条件として下記を定義します。

1、ゴールデンクロスかデットクロスした場合にエントリーを検討

これは方向感を明確にして、大きな方向性をまず決めるための軸として移動平均線を利用すると言うことです。次にRSIをトレードの条件に加えたいと思います。

2、RSIが売られ過ぎや買われ過ぎの範囲になっていることをチェック

これは例えば移動平均線がゴールデンクロスしたからエントリーをすると、短期的にはRSIが買われ過ぎの範囲内に入っており、コストの悪いところでエントリーしてしまう可能性があるためそこをRSIで排除するというものです。これでローソク足が移動平均線から離れた位置でエントリーすることを防ぐことができます。最後にストキャスティクスをトレード戦略の条件に加えます。

3、ストキャスティクスが売られ過ぎ、買われ過ぎの範囲内でかつ、ゴールデンクロス、デットクロスしているか、方向感が移動平均線と合致しているのかをチェック

この条件を加えることで、RSIだけではなく、ストキャスティクスとRSI両方チェックすることで精度をあげる目的があります。オシレーターの条件を増やせば増やすほど、エントリーのタイミングは減少しますが、その分騙しに反応することが少なくなるため2つ程度は加えてもいいでしょう。

では上記の条件を設定してどのようなチャートの時にエントリーするのか視覚的にチェックしたいと思います。

上記なBTCJPYの4時間足チャートになります。チャートの一番左のローソク足の部分でゴールデンクロスが形成されているところが最初のチェックポイントです。その際はRSI、ストキャスティクスともに買われ過ぎの位置で推移しているため、ここが落ち着く点を待ちます。

その後ローソク足が200日移動平均線にタッチするところまで落ち着いてきており、RSIとストキャスティクスも売られ過ぎの位置まで低下している水色の丸印の位置がポイントです。ここでストキャスティクスもゴールデンクロスをしたことからロングでエントリーと判断します。

まとめ

上記のようにオシレーターと移動平均線を条件として組み合わせることでエントリーチャンスは少なくなるものの、精度が増すことからいくつかのテクニカル指標を組み合わせることがテクニカル分析を行う上で一般的な方法です。

これは基本的な3つのテクニカル指標を利用して作成してみましたが、分析手法は千差万別あるため、色々テクニカル指標の意味を勉強しながら組み合わせて、自分なりのトレード手法を作成していくと面白いでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12