ReFi(再生金融)に特化したReFiDAOのエコシステムについて解説

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今回は、ReFiDAOについて、一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. ReFi(再生金融)とは
    1-1. ReFi(再生金融)の概要
    1-2. ReFi(再生金融)の考え方
  2. ReFiが解決を目指す三つの課題
    2-1. 気候変動問題の解決
    2-2. 生物多様性の維持
    2-3. 社会的不公平の是正
  3. ReFiDAOとは
    3-1. ReFiDAOの概要
    3-2. ReFi DAOの特徴
  4. ReFiDAOのエコシステム
    4-1. ReFiを推進するさまざまな組織
    4-2. 世界中にコミュニティ拠点を構えている
    4-3. コミュニティ全体からのイベント情報を検索できる   
    4-4. コミュニティ全体からの最新求人情報が閲覧できる
  5. まとめ

近年、「SDGs(持続可能な開発目標)」の考え方が世界的に広まる中、「ReFi(再生金融)」への関心も高まっています。ReFiとは、ブロックチェーン技術を活用して、環境問題や社会問題などの解決を目指す取り組みです。このReFiへの取り組みは、海外だけでなく日本国内でも積極的に行われており、特に気候変動や生物多様性の保全といった分野で、さまざまなプロジェクトが展開されています。

このような状況の中、ReFiに特化した革新的なプラットフォーム「ReFiDAO」が注目を集めています。ReFiDAOは、世界中のコミュニティと連携し、興味を持ったプロジェクトへ簡単に投資できる利便性の高いサービスを提供しています。

今回は、このReFiDAOのエコシステムについて、わかりやすく解説していきたいと思います。

1. ReFi(再生金融)とは

1-1. ReFi(再生金融)の概要

ReFiDAOを紹介する前に、「ReFi」について簡潔に説明しましょう。

ReFiは「Regenerative Finance」の略で、「再生金融」と訳されます。これは、ブロックチェーン技術を活用して、環境問題や社会問題の解決を目指す取り組みです。SDGs(持続可能な開発目標)が世界的に普及していることから、ReFiも注目を集めています。

SDGsは、2015年に国連総会で採択された、国際社会で合意された17の目標です。日本でもSDGsに対する関心が高まり、レジ袋の有料化や環境に配慮した製品への投資が進んでいます。一方、環境配慮の取り組みには資金が必要となるのが現実で、多くの企業や個人は環境対策がコストであると捉えています。SDGsの目標は持続可能な社会と経済成長の両立であるため、経済的なインセンティブが重要となります。

そこで、環境への取り組みがコストであるという考え方ではなく、環境への取り組みがインセンティブをもたらすパラダイムシフトが求められています。この金融システムの再構築を目指すのが、「ReFi」です。ReFiはインターネットの進化として「Web3.0」の一端を担う再生金融のムーブメントで、関連プロジェクトは規模を拡大しています。

1-2. ReFi(再生金融)の考え方

ReFi(再生金融)は、「再生経済学」理論に基づいて、物質的資源の回復や維持に焦点を当てています。ブロックチェーン技術を活用することで、金融取引ごとに地球の再生に貢献できる持続可能なシステムを目指しています。

現在、地球上の重要な資源は、従来の経済パラダイムによって破壊されつつあります。これは、温室効果ガス排出、生息地の破壊、社会的不平等など、さまざまな問題を引き起こしています。

ReFiでは、金融システムを根本的に改善し、環境問題や社会問題の解決と経済成長を両立させることを目指しています。ブロックチェーン技術が登場したことで、従来のシステムでは解決できなかった問題にもアプローチできるようになりました。これから、ReFiの考え方がさまざまな場所で活用されることが期待されています。

2. ReFiが解決を目指す三つの課題

2-1. 気候変動問題の解決

金融業界は環境問題と深く関わっており、支援対象の企業の中には環境破壊や気候変動を引き起こす企業も存在しています。そこで、ReFiはエシカルな金融サービスの提供や、環境に配慮した投資先の選択を目指しています。

具体的には、再生可能エネルギーなどの環境に配慮したプロジェクトへの投資や、環境影響評価を行って環境責任を果たすことが求められます。さらに、ReFiは気候変動問題への取り組みにも力を入れています。ブロックチェーン技術を活用し、炭素排出市場などを中心に、温室効果ガス排出削減や撤廃、気候安定化に向けたプロジェクトが展開されています。

2-2. 生物多様性の維持

ReFiは持続可能な金融と投資を促進し、環境や社会問題を解決することを目的としています。その中でも、生物多様性の維持は非常に重要な課題の一つです。

生物多様性の喪失は、自然環境が持つ機能の喪失を意味し、生物圏全体に深刻な影響を与えます。この問題に対処するため、ReFiは持続可能な農業と森林管理のサポートを行っています。農業や森林管理の慣行を改善し、持続可能な方法で行われるよう支援することで、生物多様性を保護し、破壊を防止しています。

さらに、環境保護に取り組む企業や団体への投資を促進し、生物多様性の回復をサポートしています。また、消費者と企業に対して持続可能な消費と生産を促進することで、生物多様性の維持と破壊防止に努めています。

2-3. 社会的不公平の是正

金融業界において、多様性やインクルージョンに関する課題が存在しています。特定の社会的背景を持つ人や特定の地域に住む人々が金融サービスにアクセスできないことがあり、低所得者やマイノリティの人々が融資やクレジットカードなどの金融サービスを受けられないケースがあるため、金融分野における社会的不公平が問題視されています。

ReFiでは、こうした不公平を是正するために金融サービスをより多様かつ包括的に提供することを目指しています。具体的には、低所得者向けの金融サービスの拡充や、エシカルな融資を行うことで社会的影響を改善する取り組みが進められています。

3. ReFiDAOとは

3-1. ReFiDAOの概要

ReFi DAOは、地球の再生を使命として掲げる「分散型自治組織(DAO)」であり、ブロックチェーン技術を活用して持続可能な未来を実現するためのプロジェクトを推進しています。

分散型自治組織(DAO)とは、従来の中央集権的な組織構造に代わり、ブロックチェーン技術を用いた分散型の意思決定プロセスを有する組織のことを指します。このような組織形態は、Web3.0が本格化する時代において、ますます注目を集めています。

ReFi DAOの目標は、それぞれの土地におけるローカルスタートアップコミュニティに根ざしたグローバルな再生経済を実現することで、他国に対抗する形ではなく、世界中が一丸となって2050年までに「ネットゼロ」を達成することです。ネットゼロとは、2050年までに人為的な温室効果ガスの排出量を減らし、大気中の温室効果ガスの濃度を現在のレベルと同じかそれ以下に抑えることを目指すパリ協定で採択された目標です。

パリ協定では、地球温暖化を2℃以下に抑えることを目標にしており、可能な限り1.5℃以下に収めることで気候変動の影響を軽減することが求められています。

ReFi DAOは、現在世界中で取り沙汰されている気候変動問題や環境問題の解決に尽力しながら、地球の再生に向けて様々な取り組みを行っています。このような取り組みにより、ReFi DAOは持続可能な経済の実現や環境保護、社会的な問題の解決に貢献していくことが期待されています。

3-2. ReFi DAOの特徴

①コミュニティ主導で運営されている

ReFi DAOは、前述したようにDAOシステムを採用し、コミュニティ主導で運営されています。これにより、メンバーが意思決定プロセスに参加し、プロジェクトの方向性を共同で決定できます。

②再生可能エネルギーの普及を目指している

ReFi DAOは、環境問題に対処するために再生可能エネルギーの普及を推進しています。再生可能エネルギーは環境に優しく、持続可能なエネルギー源として注目されており、化石燃料による環境汚染の軽減に貢献します。ReFi DAOは、再生可能エネルギー普及プロジェクトへの資金提供や技術支援などを行っています。

③環境保護に尽力している

ReFi DAOは、環境や社会問題の解決を目的とし、環境保護が特に重要な分野となっています。人工知能(AI)やブロックチェーン技術を活用し、海洋汚染や森林破壊などの課題に取り組むプロジェクトを支援しており、生物多様性の増加にも努めています。

④豊富な活動実績がある

ReFi DAOは、300を超えるファウンダーへのサポート提供や、24カ国で27のイベント開催などの実績があります。このような活動を通じて、再生金融のムーブメントを加速し、地球の再生に向けたビジョンを実現しています。

4. ReFiDAOのエコシステム

4-1. ReFiを推進するさまざまな組織

ReFi DAOでは、ReFiに参加している世界中の組織のデータベースを閲覧することができます。このデータベースには、参加組織が温室効果ガス削減、エネルギー、自然、食品と農業、健康、イノベーションなどの分野別に分類されており、ユーザーは関心のある分野から組織やプロジェクトを探すことができます。また、データベースには「賛成票」投票機能や投資機能が提供されているため、気に入った組織やプロジェクトをサポートすることが容易です。

ReFi DAOは既に300を超えるファウンダーにサポートを提供しており、データベースには多くのプロジェクト情報が掲載されています。これにより、ユーザーはReFiに関する豊富なデータを参照し、自分のビジョンに合ったプロジェクトを選択できます。

4-2. 世界中にコミュニティ拠点を構えている

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ReFiDAOは、世界各地に地域に根ざした多くのグローバルコミュニティを持っており、2023年3月時点で22の地域コミュニティ拠点があります。また、専門分野のエキスパートが集まり、知識や情報を共有するオンラインギルドも展開しており、その輪は今後さらに広がるとされています。さらに、学際的なワーキンググループも存在し、ReFiに関するコミュニティが充実しています。

4-3. コミュニティ全体からのイベント情報を検索できる

ReFiDAOでは、コミュニティ全体からの最新イベント情報を検索することができます。ReFiDAOのデータベースでは、ReFi関連の世界中のイベント情報が閲覧でき、ユーザーは希望する地域を選択して、今後開催されるイベントについて調べることができます。ReFiの取り組みが急速に進んでいるため、ユーザーはReFiDAOを利用して最新情報を素早く入手できます。

4-4. コミュニティ全体からの最新求人情報が閲覧できる

ReFiDAOでは、コミュニティ全体からの最新求人情報を閲覧できるサービスが提供されています。ユーザーはReFiDAOの公式ウェブサイトにアクセスして、ReFi関連のさまざまなトップベンチャー企業の求人情報を閲覧できます。また、ReFiDAOは求職者だけでなく雇用主にとっても利便性が高く、ReFi分野の求人マッチングサービスとしてコミュニティメンバーに活用されています。

5. まとめ

ReFiDAOはブロックチェーン技術を活用し、長期的な視野で環境問題や社会問題の解決を目指しています。そのため、彼らは包括的なReFiサービスを提供するプラットフォームを開発しています。

現在、世界的にReFiへの関心が高まっており、ReFiDAOはこれに対応して、様々なReFiプロジェクトの情報を提供するデータベースを公開しています。ユーザーは、自分が支援したいプロジェクトに投資することができるだけでなく、世界中で開催されるReFiイベントにも参加することができます。

今後もReFiの取り組みが拡大すると予想されるため、ReFiDAOの動向に注目していくことが重要です。このようなプラットフォームは、環境や社会問題に対処する上で、新たな可能性を切り開く役割を担っていくでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12