今回は、江戸バースについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- メタバースとは?
1-1.メタバースの概要
1-2.メタバースの特徴 - 江戸バースとは?
2-1.Shinwa Wise Holdings株式会社
2-2.江戸バースの概要
2-3.江戸バースの仮想通貨
2-4.土地NFTや仮想通貨の先行セール - まとめ
近年、「メタバース」という言葉をよく耳にする人も多いのではないでしょうか。
メタバースとはインターネット上の3D仮想空間を指し、現在、新しいビジネス領域の一つとして、様々な形でビジネスに取り入れようという動きが活発化しています。そんな中、「Shinwa Wise Holdings株式会社」が22年2月14日、徳川家の次期第19代当主の徳川家広氏と、NFTアートをちりばめた江戸のメタバース(仮想空間)を構築することを発表して話題になっています。
江戸バースのエコシステムは、江戸バース専用のトークンである小判等の発行を通じて、ゲーム業界のパラダイムシフトを牽引するGameFi及びDeFi(分散型金融)プロトコルが構築するエコノミクスを最大限応用したものとなります。そこで今回は、日本発のメタバースである「江戸バース」について、その概要や特徴を解説します。
①メタバースとは?
江戸バースの解説の前に、まずは、メタバースについて、基本概要を解説します。
1-1.メタバースの概要
メタバース(Metaverse)とは、「変化・変成・超越・一段と高いレベル」といった意味を持つ「Meta」と「宇宙・銀河系」という意味を持つ「Universe」が合わさった造語です。インターネット上に構築された3D仮想空間を指します。
メタバースの中にはVR技術を最大限に活用して、今までのバーチャル空間では成しえなかった部分の領域を大幅に拡大しているものや、アバターと呼ばれる自分の分身を介して仮想空間に入り、世界の探索や他のユーザーとのコミュニケーションを図るものまで様々なものがあります。
仮想空間上では、自ら商品を制作して販売する経済活動ができたり、ユーザーが作ったゲームをプレイできたりするなど、さまざまなコンテンツを楽しむことが可能となっています。決済通貨に仮想通貨を使用し、アバターや付属するアイテムをNFTで取引可能になっているメタバースも出てきています。
1-2.メタバースの特徴
①自己を投影するアバター
メタバースには自己投影のためのアバターが存在します。実際にこのアバターの利用を通して、メタバースが展開する仮想空間内でさまざまなユーザーとコミュニケーションをとり、多くのユーザーと交流することができるシステムとなっています。
②複数のアバターとの空間共有
メタバースが作り出す一つの仮想空間内では、多くのユーザーがアバターを通して、メタバースの仮想空間内で交流し、コミュニケーションを取得し、さまざまな目的を持って同じ空間、時間を共有します。
メタバース以外に、「仮想」に関する技術として注目されているものにVRがありますが、VRは一人の人間が仮想の映像や情景、空間などを体験するためのものであり、他者とのコミュニケーションを考慮されているものは、少しずつ増え始めている状況です。
一方で、メタバースはインターネット上で他のユーザーとアバターを用いて交流される「空間」であり、コミュニティ形成という観点に主眼が置かれています。
③NFT活用による経済活動
メタバースでは、ゲーム内のアイテムや土地などをNFT化して売却することで収益をあげることが可能です。収益化を求めてユーザーが集まり、NFTを構築することで、提供元であるプロジェクトのトークン価値も高まり、それだけでも経済が活発化されます。
現在、日本だけでなく世界的な大企業がメタバース市場への参入を試みています。例えばコインチェックはThe Sandbox内の区画に「Oasis Tokyo」という街を再現しています。金融機関HSBCやPwC香港は不動産投資の目的でThe Sandboxの仮想土地を購入しています。
②江戸バースとは?
次に、今回「Shinwa Wise Holdings株式会社」によって発表された江戸バースについて、その概要や特徴を解説します。
2-1.Shinwa Wise Holdings株式会社
Shinwa Wise Holdings株式会社とは、日本の美術分野で展開しているオークション会社です。同社は以前から仮想通貨やブロックチェーンに関連する取り組みを行っており、17年には子会社の「Jオークション株式会社」と共に、ビットコイン(BTC)決済を導入しています。また、NFT分野へ対してのアプローチも積極的に行っており、21年10月にはNFTオークションを開催し、落札総額は1,879万円に上るなど、大きな結果を出しています。
Shinwa Wise Holdings株式会社の100%子会社であるEdoverse株式会社がコンサルティングを行なっているEdoverse Foundationが、江戸バース(Edoverse)のイニシアティブを主導します。Edoverse Foundationは、江戸バースプロジェクトの計画・ビジョン・コンセプトを表す「セピアペーパー」を5月6日に発表。以下のような展望が明らかになっています。
2-2.江戸バースの概要
江戸バースは「江戸時代の日本」をテーマとしており、NFT(非代替性トークン)アートのほか、「DeFi(分散型金融)」と「GameFi」、「P2E(Play-to-Earn)」などの要素も組み込まれる予定です。
江戸バースの製作・監修を担当するのは、Shinwa Wise Holdings株式会社と公益財団法人徳川記念財団理事長であり、徳川家第19代当主となる徳川家広氏です。江戸バースは、現代に都市・江戸が存在する仮想空間として、日本文化・芸術への理解を促進しつつ、教育格差・貧困問題を解決するメタバースの構築と運営を行うことを目指しています。
2-3.江戸バースの仮想通貨
江戸バースでは「小判等の江戸バース専用トークン」が発行されるなど、新たなエコシステムを世界に提唱するとしており、デジタル世界で起こる格差の改善(Learn-to-Earn)なども目的の一つであると発表されています。
トークンに関しては、イーサリアムベースの「Edo Koban」や「Edo Zeni」を発行するとしており、それぞれの概要は下記の通りです。
①Edo Koban
- 主に、江戸バース内でのロールの変更、他藩への移動、コミュニティ投票に用いられる。
- 江戸バース内での重要な行動により稼得可能で、Edo Zeniと比べてより希少な通貨となっている。
- 江戸バース内でのステーキングが可能。
②Edo Zeni
- 主に、江戸バース内での一般的な購買活動での決済に用いられる。
- 江戸バース内での一般的な貢献によって稼得可能で、江戸バースのエコシステムの中で最も流通するユーティリティトークンである。
KobanもZeniもイーサリアムのトークン規格(ERC20)で発行されます。江戸バースはこれらの専用のトークンの発行を通じて、ゲーム業界のパラダイムシフトを牽引するGameFi及びDeFiプロトコルが構築するエコノミクスを最大限応用したものになるとされています。これによってプロトコル及びユーザー双方にとって持続可能なエコシステムを世界へ提言するということです。
2-4. 土地NFTや仮想通貨の先行セール
江戸バースの仮想通貨Koban とZeni、そして仮想土地NFTの発行日時が7月7日に決定しました。6月6日に購入方法等を説明する「Edoverse Monthly Insider」が開催されます、参加者には特典が設けられます。
日本語説明会は2022年6月6日午後4時ー午後6時30分、德川宗家第19代德川家広氏の基調講演や販売方法の説明が予定されています。参加場所はオンラインもしくはEdoverse 株式会社(中央区銀座7−4−12ー2F)ということです。
その他、現時点で公開されているロードマップは以下の通り。23年からゲームのβテストが開始されることとなります。
③まとめ
メタバースは、近年大きな盛り上がりを見せている分野であるものの、まだそのシステムなどは未開拓の部分が多くあります。
今回発表された江戸バースは、デジタル世界で起こる格差の改善という目的を掲げており、その実現のためにはエコシステムが重要なポイントとなってくるでしょう。今後徐々に情報が解禁されていくとみられるため、引き続きその動向に注目していきたいと思います。
中島 翔
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