仮想通貨決済はお得か?メリット・デメリットと今後の普及について

国家による発行・管理が行われないボーダーレスで非中央集権な新しいお金として、世界中に大きな衝撃を与えたビットコイン。その衝撃は年々拡大し、今ではビットコインの根幹をなす分散型台帳システムであるブロックチェーンが、革新的な技術として世界中で研究が行われ企業活動などに導入されています。

一方、仮想通貨も世界に大きな熱狂をもたらしましたが、2018年1月前後を機に大幅な下落を続けており、バブルによる熱狂は終わりを告げました。日本においても当時の熱狂は冷めており、まだまだ仮想通貨は世間一般に普及している存在だとは言えない状況です。

しかし、仮想通貨やブロックチェーンに関する研究は世界中で進んでおり、アップデートによって山積する問題点が少しずつ解消されてきています。そうした中、仮想通貨の代表的な使用目的である「決済」をめぐる動きはどのようになっているのでしょうか。

今回は、一般消費者が行う仮想通貨決済について、決済を行うメリットおよびデメリットをまとめた上で、今後の普及について考察を述べたいと思います。

※この記事中で言及する「仮想通貨」は、仮想通貨取引所に上場しており市場で取引ができるもののみを指します。ブロックチェーン上で発行された未上場の電子マネーやポイントなどは含みません。

目次

  1. 仮想通貨で決済をするメリット
    1-1.スマホのみで商品を購入できる
    1-2.海外でも両替不要で手数料が安い
    1-3.世界中のサイトでオンライン決済も可能
    1-4.自国通貨以上の信頼が得られる可能性
  2. 仮想通貨決済のデメリット
    2-1.所得の申告が必要
    2-2.価格変動が激しい
  3. 仮想通貨で商品が買えるお店
  4. 今後、仮想通貨決済は普及するのか

1.仮想通貨で決済をするメリット

仮想通貨決済を行うメリットは、どのような点にあるのでしょうか。まずはそれについて検証していきます。

1-1.スマホのみで商品を購入できる

仮想通貨決済でのメリットは、かさばるカードなどを持ち歩くことなく、スマートフォンだけで決済を行うことが可能な点です。外出時に財布やカードケースを持っていかなくても決済に利用できるのは、実際に行ってみるとなかなか便利なものです。

1-2.海外でも両替不要で手数料が安い

しかし、仮想通貨決済の最も良いところは「世界中で両替の手間がいらない」ということでしょう。

現在は海外に旅行や出張に行く際、日本もしくは現地の空港や銀行、両替商に赴いて日本円と現地通貨を交換したり、クレジットカードで外貨決済を行ったりする必要があります。ですが、両替には決して安くない手数料(スプレッド)が発生するうえ、その手数料率は正直に言って分かりづらいという問題があります。また両替には手間もかかります。

ですが、ビットコインなどの仮想通貨であれば基本的に世界共通です。そのため、決済のためにわざわざ現地通貨に交換することなく、日本で入手した仮想通貨をそのまま世界中で利用することができるのです。もちろん、そこに為替手数料などは発生しません。

1-3.世界中のサイトでオンライン決済も可能

また、仮想通貨決済であれば、現地に赴かずとも世界中のECサイトなどでも両替の必要なく決済を行うことが可能です。

例えば日本にいながらイタリアのセレクトショップで服を購入することは可能ですが、クレジットカード決済を行う場合はユーロ建てとなり、カード会社所定の為替手数料が発生してしまうのが現状です。ですが仮想通貨決済であれば、その為替手数料なくして支払いを行うことが可能になります。

まだ仮想通貨決済を受け入れているECサイトは限定的ですが、今後は増えていくことが見込まれます。そうすればより海外ECサイトでの買い物も便利になることでしょう。

1-4.自国通貨以上の信頼が得られる可能性

日本に住んでいる限りではイメージが付きづらいかもしれませんが、アルゼンチンやカンボジア、ジンバブエなど、国家の経済が不安定なことにより自国通貨の信用が非常に低く、海外決済や他国通貨との両替が困難な国はいくつも存在します。

そうした国では、自国通貨の代わりにUSドルや近隣の大国の基軸通貨が流通しており、企業や国民もそれらの通貨を利用することが多くなっています。こうした状況の中にビットコインなどの仮想通貨が入ってくることで、国民の経済的デメリットが解消される可能性がより高くなるのです。

いつインフレや経済崩壊で紙切れになるか分からない自国通貨を持っておくのではなく、可能な限り米ドルやビットコインといったその他の通貨でお金を保有するように努力することは、経済不安を持った国家の国民が経済的不利益を緩和するためにとても重要なことなのです。

2.仮想通貨決済のデメリット

一方、仮想通貨決済にはまだ複数の課題があり、日本においてはまだ一般消費者にとって実用的なレベルには至っていません。

2-1.所得の申告が必要

日本国民は、仮想通貨の売買によって生じた為替差損益の確定申告が必要になります。つまり、「1BTC=400,000円で購入した1BTCを、1BTC=420,000円のレート時点で売却(決済利用)した」という場合において、2万円分価値が向上していることになるため、その2万円を雑所得として申告しなければならないのです。

このため、常に価格変動が起きている仮想通貨は、決済に用いた時点で原則として確定申告の対象になってしまうため、損益の計算や確定申告を行う手間が発生することになってしまいます。この手間を考えると、税制が改正されない限り、日本の一般消費者が仮想通貨決済を行うことはあまり現実的な選択肢ではないと言えます。

なお、給与所得のみを得ているなどで確定申告をする必要のない方は、仮想通貨による為替差益+その他の雑所得額が年20万円以内であれば、確定申告は不要になります。ただし、住民税計算のための所得申告は自治体に行わなければなりませんので、脱税にならないようくれぐれも注意する必要があります。

2-2.価格変動が激しい

また、仮想通貨の価格変動は激しく、保有しているだけで大きく対日本円価値が上下するため、その点にも問題があると言えます。日常の決済手段としては、価値の上下が発生してしまうと家計の管理が難しくなるため、あまり望ましいものではないでしょう。

3.仮想通貨で商品が買えるお店

実際に仮想通貨決済が可能な店舗は、2019年3月時点ではあまり多くはありません。具体的な店舗数は掴めませんが、店頭やECサイト上で仮想通貨決済が可能という情報(ステッカーなど)を見ることはほとんど無く、日本全国でもせいぜい数百店舗といった規模と思われます。

ビットコイン決済を導入している店舗の最も一般的な例はビックカメラでしょう。またグループのコジマやソフマップでも同様にビットコイン決済を受け入れています。

その他に有名な店舗・サービスとして、メガネスーパーや、クラウドファンディングサイトのCAMPFIRE等もビットコイン決済を受け入れていましたが、現在は停止中となっています。仮想通貨の値動きの激しさは経営にも影響が大きいため、2018年1月前後から大幅に値下がりした現状では仕方がない状況であるとも言えます。

4.今後、仮想通貨決済は普及するのか

仮想通貨決済は、今後においては世界中で普及するものと見られます。両替の手間がないボーダーレスな決済手段という立ち位置は大きく、特にアルゼンチンなど自国通貨に信頼性が低い国家では盛んに利用されています。

しかし、日本においては、現行の税制が改正されない限り、仮想通貨決済の一般的な普及は難しいでしょう。決済のたびに確定申告の必要性が生じてしまう問題は、仮想通貨決済で得られるメリットをかき消してしまうほど不便なものだからです。

また、世界共通の問題として、値動きの激しさや先行きの不透明さが解消されなければならないという点もあります。個人にとっても企業にとっても、激しい値動きによって家計や経営のリスクが増大してしまうため、どうしても導入に消極的にならざるを得ないのが現状です。

今後はUSDTなど法定通貨レートと連動(ペッグ)した仮想通貨による決済も盛んになってくると思われますが、それに関しても法整備がまだ追いついておらず、グレーゾーンが多かったり、現状において適用される既存の法律(資金決済法など)が現実的な利用の妨げになってしまったりしています。

これらの問題を各国が中長期的に対応していき、仮想通貨が健全に決済に用いられる状況にしていかなければ、仮想通貨決済が普及していくことは難しいでしょう。

仮想通貨は、ボーダーレスな決済が可能になるという点でユーザーにはメリットがあるものですが、国家にとっては自国経済への影響や徴税において頭を悩ませる存在です。このジレンマに各国がどう対処していくのか、今後の動向に注視したいところです。

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すずき 教平

すずき 教平

仮想通貨の可能性に衝撃を受け、2016年から投資を開始。これまでICOを含めた数十種類の仮想通貨に投資を行う。2018年にはエンジニアと共同で独自仮想通貨を立ち上げ運営を開始。現在は企業へのブロックチェーンや仮想通貨の導入支援、コンサルティングを行う会社を経営。 HEDGE GUIDEでは、ビジネスの観点から見た仮想通貨コラムを読みやすさにこだわって執筆していきます。