Bored Ape Yacht Clubとは

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2021年、NFTが爆発的に流行し、1枚のデジタル画像が何億円もの価値を付けるという現象が頻繁に起きました。数あるNFTの中でも、特にジェネラティブと呼ばれるタイプのNFTが流行の火付け役となったことは間違いありません。

本稿では、ジェネラティブNFTの中でも最も有名なシリーズの1つである、Bored Ape Yacht Club(BAYC)について解説していきます。

BAYCとは

BAYCは2021年の4月にローンチしたジェネラティブNFTプロジェクトです。Yuga Labsが持続可能なNFTエコシステムの構築を目指して運営しています。イーサリアム上で1万枚発行され、NFTのプロフィール写真(PFP)コレクションとなっています。

「遠い未来に、金持ちだが退屈な人々が排他的なクラブを作り、バーでたむろする」というコンセプトで展開されており、猿をモチーフにしたキャラクターは、様々な性格や特性を表現しています。

ランダムに生成された特徴やアクセサリーが組み合わされていて、全く同じBored Apeは存在せず、全てが唯一無二のデザインとなっています。

BAYCの特徴

オーナー専用コミュニティ

BAYCの特徴として、Bored Ape NFTを所有しているユーザーは、オーナー専用のコミュニティに参加することができます。Bored Apeオーナーの中には歌手のMadonnaやNBA選手のStephen Curryなどの著名人も参加したことで話題になりました。

また、オーナーのみがアクセスできる「BAYC Merch Store」も存在し、限定版のパーカーやTシャツなどのグッズを販売しています。

商用利用可能

Bored Ape NFTは商用利用が可能であるという特徴があります。例えば、自分の所有するBored Ape NFTをデザインしたTシャツなどを売ることができるということです。

MAYC、BAKCとは

BAYCの成功を受けて、Yuga Labsは新たなNFTシリーズを展開しています。それが、Mutant Ape Yacht Club (MAYC)とBored Ape Kennel Club(BAKC)です。

Mutant Ape Yacht Club(MAYC)

MAYCはYuga Labsがプロジェクトロードマップの第一段階として展開したもので、Bored Apeの変異体(ゾンビ化)のようなデザインが特徴的なNFTシリーズです。MAYCは、BAYCの既存ユーザーへの特典であると同時に、BAYCコミュニティへの新規参入を促すプロジェクトでもありました。

MAYCをローンチするにあたって、Yuga Labsは、1万のBored Ape NFTオーナーに「ミュータントセラム」をエアドロップしました。オーナーはこのミュータントセラムを使うことで、Mutant Ape NFTを無料で発行することができるようになっています。

ミュータントセラムはM1、M2、M3の3段階に希少性が分かれています。M1 Serumは7,500個、M2 Serumは2,492個、M3 Serumはわずか8個となっており、M3が最も希少であることがわかります。

ミュータントセラムを使うことにより、皮膚の垂れ下がり、首の突起、歯の変形、目の膨らみなど、Bored Apeのデザインにさまざまな変化が起こります。その他にも、破れたシャツ、顔から流れ出る緑色のスライム、帽子として被ったApeなど、よりユニークな特性を持つこともありました。

また、Mutant Ape NFTはパブリックセールでも販売されていて、オーナーでなくてもOpenSeaを通じて購入が可能となっています。

Mutant Ape NFTは最大で2万個のNFTコレクションであるため、BAYC NFTオーナーが発行する以外の1万個がパブリックセールで販売され、販売された1万個のMutant Ape NFTは、発売から1時間で9,600万ドルを記録しています。

Bored Ape Kennel Club(BAKC)

BAKCはイヌのNFTで「Club Dogs」と呼ばれています。毛色、目や口の位置、帽子、眼鏡、靴、首輪、洋服など、170種類ものアクセサリーの組み合わせによって、それぞれが唯一無二のデザインになっています。

Club Dogsはパブリックセールがなく、Bored Ape NFTオーナーのみが発行できるものでした。ただ、発行できる期間が限られており、400近いBored Ape NFTオーナーが発行せず、Club Dogsの総数は9,602となりました。

BAKCの特徴は二次流通にあります。発行直後から6週間は、二次流通の際に2.5%のロイヤリティが加算されていました。

このロイヤリティはBAYCとBAKCの両コレクションを制作したYuga Labsのためではなく、犬の保護を行う慈善団体や殺処分のない保護施設に寄付を行うために設定されていたものでした。ロイヤリティが現実世界の事前活動に寄付される点がBAKCの特徴であると言えます。

Yuga Labs

BAYC を運営するYuga Labsは、GargamelとGordon Gonerという2人が始めたもので、どちらも仮名で活動していました。2人は匿名性を保つことにしていましたが、2022年2月のBuzzfeedの記事で、Greg SolanoとWylie Aronowという本名が明らかになったという経緯があります。

両者は2017年からトレーダーとして暗号資産に関わっていました。彼らはやがてNFTの出現に目をつけ、自分たちの創造的な側面を発揮できるとしてNFTに傾倒していったと言います。

2022年3月11日、Yuga LabsはLarva LabsからCryptoPunksとMeebitsを買収し、NFTのエコシステムをさらに拡大させています。両コレクションは、NFTそのものの価値やフォロワー多さからBAYCと競合関係であったため、大変注目を集めました。

そしてこの買収によって、Yuga LabsがPFP NFTマーケットのトップの座を固めたとの声が多くあります。この買収により、Yuga LabsはCryptoPunksとMeebitsコレクションの全てのIP権、ブランド、著作権を所有し、Meebits NFT 1,711枚とCryptoPunks 423枚を保有することになりました。

Yuga Labsは、NFTホルダーのためのユーティリティをより多く創出することを目的としたコミュニティの構築に焦点を当てています。チームにとっての目標は、NFTエコシステムの限界を押し広げ続けることにあります。そのために、BAYCコミュニティの独自性、特別性を構築し、高いクオリティを維持できるように、彼らの製品とサービスは戦略的に設計されているのです。

ApeCoin(APE)

2022年3月、Yuga Labsは、BAYCエコシステムをさらに民主化し、メンバーがエコシステム内外のサービスにアクセスできるようにするガバナンストークンとして、ApeCoin(APE)を発表しました。

APEはイーサリアム上で発行されており、ERC-20の規格を採用、総供給量は10億枚に設定されています。10億枚のうち、1.5億枚がNFTオーナーにNFTの保有量に応じてエアドロップされました。

ApeCoinの運営組織には以下の3つの組織が存在します。

ApeCoin DAO

ApeCoin DAOは、ガバナンスをグローバルに分散させたコミュニティの構築のために設立したDAO(自律分散型組織)です。

APE改善提案プロセスにより、ApeCoin DAOのメンバーは、エコシステム基金の配分、ガバナンスルール、プロジェクト、パートナーシップなどの意思決定をコミュニティで行うことが可能になっています。ApeCoin DAOのメンバーシップは、すべてのApeCoinホルダーに開かれており、NFT保有などの制限はありません。

APE Foundation

APE Foundationは、ApeCoinの管理組織です。監督者ではなく、ApeCoin DAOの基盤の役割を果たします。

APE Foundationは、分散型かつコミュニティ主導のガバナンスを促進し、時間の経過とともにより分散化が進むように設計されています。ApeCoin DAOの決定を管理することを主な役割とし、プロジェクト管理やDAOコミュニティのアイデアが実現するために必要なサポートをするための組織です。

APE Foundationの目標は、APEエコシステムの成長と発展を公正かつ包括的な方法で管理することです。ApeCoin DAOの指示に従い、マルチシグウォレットで管理されるエコシステム基金を利用してコストを支払い、ApeCoin保有者がオープンでトラストレスなガバナンスプロセスを通じてコミュニティに参加できるようなインフラを提供しています。

Board

BoardはAPE Foundationの管理者の監督を行います。目的は、DAOの提案を管理し、コミュニティのビジョンに貢献することであり、ApeCoin DAOのルールに基づく管理審査が必要な提案について会議を行います。最初のBoardは6ヶ月の任期で、その後のBoardメンバーは一年ごとにDAOが Boardメンバーを投票で決定するシステムとなっています。

最初のBoardメンバーは大手掲示板「Reddit」の共同創業者Alexis Ohanian氏、FTXのベンチャー&ゲーム責任者Amy Wu氏、Web3.0の大手企業「アニモカブランズ」の共同創業者Yat Siu氏らとなっています。

まとめ

BAYCと運営するYuga Labsを中心に解説してきました。NFTプロジェクトを理解する上で、運営がどのように機能しているのかに注目することが大切です。

他のNFTプロジェクトも参考にしているように、Yuga LabsのようなBAYCのオーナーに対しインセンティブを与え、コミュニティの活性化を図るマーケティング方法が有効であることは間違いありません。

以上であげたYuga Labsの運営方法は自身でNFTプロジェクトを立ち上げる際はもちろんのこと、NFTを購入する際にも役立つものになっていると思います。是非参考にしてみてください。

監修者: 田上智裕

株式会社techtec株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。

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