闇取引に利用されるビットコイン

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ビットコインは迅速な国際送金や簡単なモバイル決済、暗号技術による高いセキュリティといったポジティブな側面がある一方で、マネーロンダリングや、闇取引で使用されるという側面もあります。そこで以下では、ビットコインが闇取引に使われた歴史と、それに対して各国規制当局が行ってきた対策についてご紹介していきます。

闇取引における決済手段に利用されたビットコイン

ビットコインが闇取引に利用された理由は、個人情報を誰にも明かさぬまま匿名で取引ができるという点にありました。ここでは、ビットコインを利用していた有名な2つの闇取引サイトについてご紹介します。

ダークウェブで匿名性の高いシルクロード

シルクロードは、違法薬物や銃器、流出クレジットカード情報などをオンラインで取り扱う販売サイトです。2011年1月にロス・ウルブリヒトによってサービスが開始され、ロス・ウルブリヒトに逮捕後の2013年9月にサイトは閉鎖されました。シルクロードは、規制当局の目をかいくぐるためにコンピュータのIPアドレスを暗号化する「Tor」使用してアクセス可能な「ダークウェブ」と呼ばれており、匿名性が高く利用者の特定が難しいとされていました。このシルクロード内ではビットコインが決済手段として利用されており、訴状によれば、サイト運営による売上高は時価約12億米ドル(950万BTC以上)、仲介手数料は時価約8000万米ドル(60万BTC以上)であったと公表されています。

10億ドルを超える闇取引が行われていたアルファベイ

アルファベイは、不法薬物や有毒化学物質、盗難や詐欺により入手された商品、身分証明書の偽造品、マルウェアやハッキングツール、銃器、などをオンラインで取り扱う販売サイトです。2014年12月22日、アレクサンドル・カゼスによってサービスが開始され、2017年7月5日当人が逮捕され同日、何者かの手により閉鎖されました。FBIの公表によると10億ドルを超える取引が行われていたとされています。シルクロードと同様、アルファベイはTorを利用したダークウェブでしたが、ユーロポール(欧州刑事警察機構)とアメリカやタイ、オランダ、リトアニア、カナダ、イギリスとフランスの法執行機関などが協力しあうことで、アレクサンドル・カゼスの逮捕に至りました。

世界の規制への取り組み

現在、規制当局ではビットコインをはじめとする仮想通貨を闇取引やマネーロンダリング、テロ資金供与に使われないようにするための規制づくりを進めています。以下で詳しく見ていきましょう。

G20

G20は世界経済の安定と成長を目的として先進国に新興国を加えた主要20か国で構成される国際会議のことを指します。2018年3月にアルゼンチンで開催されたG20の会合では、各国で起きる仮想通貨取引所へのサイバー攻撃や取引所の管理体制の不備から生じる不祥事などが相次いでいたことをうけ、より強い規制がなされるのではないかといった憶測が飛び交いました。しかし、2020年3月時点ではまだ明確な国際的規制は定められておらず、引き続きテロ行為への資金供与、マネーロンダリングへの防止、ICOや仮想通貨プロジェクトによる詐欺などから利用者を保護するガイドラインの制定などが協議されています。

政府間機関である金融活動作業部会(FATF)

FATFは、マネーロンダリングを利用したテロ資金供与対策のために設けられた政府間機関で、マネーロンダリングやテロ資金供与対策のための国際基準設定や各国に対策の効果的な実施を促進させることが役割となっています。各国が規制を進める背景には、すでに作成されているFATFのガイドラインがあり、2018年3月のG20では仮想通貨のマネーロンダリングに対しての報告書を求めています。

国際通貨基金(IMF)

IMFは国際貿易の促進や加盟国の所得と雇用の拡大、為替の安定などを目的として創設された機関です。2017年9月末までの加盟国は189か国に及びます。IMFはこれまで、仮想通貨に対してFATFが策定した基準に沿って規制を行い、120か国を対象に能力開発を行いました。IMFはテクノロジーを用いたマネーロンダリングの手法に対して、分散型台帳技術や人の認証システムや人工知能、暗号化技術を用いることで市場参加者と規制当局の間での迅速な情報共有、オンライン上での取引の安全の強化やリアルタイムで疑わしい取引の停止を行うと公表しています。

日本の規制への取り組み

金融庁

金融庁は預金者や保険契約者などの投資家の利益を守るための組織で、FATFの方針に沿って2017年4月1日に改正資金決済法を施行しました。仮想通貨交換業者に対して登録制を実施し、これまで散見されていた取引所が顧客の資金や金融庁の指導が行えるように整備されました。マネーロンダリングの防止については、顧客の本人確認、本人確認記録・取引記録の保存、疑わしい取引の当局への届出や企業の体制整備を挙げています。また、内部管理規程についての書面での審査に加え、事業者を訪問して規程の運用状況を確認する仮想通貨モニタリングチームを設置するなど登録審査の厳格化を進めています。

JVCEA(日本暗号資産取引業協会)

JVCEAは、日本の大手仮想通貨取引所であるコインチェックのNEM流出事件を受け、仮想通貨利用者の保護を目的として金融庁登録済の仮想通貨事業者16社が設立した自主規制団体を目指す組織です。金融機関としての内部統制、セキュリティ、仮想通貨の技術を共有する目的で設立されました。

【参照記事】Ulbricht Criminal Complaint
【参照記事】Darknet Takedown

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