消費財大手ユニリーバは6月15日、気候変動対策と環境保護・再生を目的として、「Climate & Nature Fund」への10億ユーロの投資を発表した。
この基金は今後10年間、景観の回復や森林再生、炭素隔離、野生生物の保護、水保全など気候危機対策および環境保全に関して、ユニリーバブランドが活動を起こす際に使用される。新たな計画は、サステナビリティを戦略の中核に置く同社ブランド「サステナブル・リビング・ブランド」の「ベン&ジェリーズ」「セブンス・ジェネレーション」などの取り組みに基づいたものだ。
ユニリーバが気候危機に対して掲げる目標は、2030年までに自社の事業からCO2排出をゼロにし、温室効果ガスを半減するというものだ。こうした野心的な目標にとどまらず、さらなる気候危機への対応として2039年までに同社製品すべてからの排出を実質ゼロにすることを新たに発表している。
また、ユニリーバは10年以上にわたってサステナブルな調達を続け、森林関連の商品では89%が世界的に認められた基準に基づいているものの、さらなる高い水準を求めて2023年までに森林破壊を伴わないサプライチェーンを実現するとしている。この目標を達成するために、衛生監視や地理情報の追跡、ブロックチェーンなど新興技術を活用し、トレーサビリティと透明性を高めていくという。
ユニリーバCEOのアラン・ジョープ氏は「気候変動や自然破壊、生物多様性の衰退、水不足といった問題は相互に関連する問題で、私達はこれらすべてに取り組む必要がある。(中略)これらの問題は我々の生命や生活に恐ろしい影響を与えるものだ」としている。その上で「私達はこれらの危機への取り組みを支援する責任がある」と語っている。
ユニリーバは2010年、環境負荷を減らし、社会に貢献しながらビジネスを成長させることを目指す事業戦略「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を導入している。「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」では、「すこやかな暮らし」「環境負荷の削減」「経済発展」の3つの分野で、9つのコミットメントと50以上の数値目標が設けられており、ユニリーバのバリューチェーン全体を視野に社会・環境・経済の観点から社外パートナーとともに取り組みを進めている。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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