マネーロンダリング、テロ資金供与への対策に関する政府間会合FATFは、各国が仮想通貨をどのように監督するかを明確にする参考文書を6月21日に発表する。Bloombergが6月12日付で報じている。
FATFによる勧告は世界200か国以上の法規制の基準となる。日本も、FATFの策定したこのガイドラインに沿って2017年4月に改正資金決済法を施行した経緯がある。今回の文書は、各国の監督機関がどのように動いていくのかの方針となるもので、法律の策定などは後に行われる。
Bloombergによると、新ルールは、取引所やカストディアン、ヘッジファンドなどのトークンや仮想通貨を扱う企業に適用される。仮想通貨で1,000ドルまたは1,000ユーロを超える取引を行う企業や仮想通貨で資金を受け取った人物、情報の授受を行うプラットフォーム提供者の三者が情報開示を求められるという。この新たな規制に対し、米大手仮想通貨取引所Coinbaseの最高コンプライアンス責任者Jeff Horowitz氏は、「銀行と同様の規制を仮想通貨事業者に適用するすることで、ユーザーは仮想通貨の送受信を行う事業者などの仲介者を通さない個人間取引を行うようになり、法執行機関の監督機能が低下する可能性がある」と発言している。こうした指摘もある中、規制当局の動きとして、米国を拠点とする金融犯罪執行ネットワーク(FinCEN)はFATFの検討事項に類似する規制事項を盛り込んだ解釈書を発表している。
FATFは、行政機関が政策を実施する上で政令や省令などを決める際、あらかじめその案を公表して広く意見、情報を募集するパブリッシュコメントの募集を行ってきた。しかし、過度な規制が仮想通貨の悪用を促すことを危惧する企業側と仮想通貨のマネーロンダリングなどへの利用防止を目指す規制当局側で、規制に対する考えはいまだに一致していない。仮想通貨規制を左右するFATFの動きは引き続き注目していきたいトピックだ。
【参照記事】Crypto Exchanges Are Facing Their Biggest Regulatory Hurdle Yet

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