英国の蓄電池開発企業イールパワー(Eelpower)は8月27日、英インフラ投資会社エクイティクス(Equitix)が主導し、豪州の年金基金アウェア・スーパー(Aware Super)と英国国家資産基金(NWF)が参加するコンソーシアムと共同で、5億ポンド規模の英国蓄電池プラットフォーム「イールパワー・エナジー」を設立すると発表した。新プラットフォームは、今後数年間で1ギガワット(GW)超の蓄電池容量の構築を目指す。
イールパワー・エナジーは、電力網規模の蓄電池施設の建設・所有・運営を手がける。イールパワーのマーク・サイモンCEO率いる経営陣が新会社に移籍し、3つのプロジェクトで合計300メガワット時(MWh)の蓄電池容量の建設を直ちに開始する。2025年末までに最大1ギガワット時(GWh)の容量について最終投資決定を行う計画だ。イールパワー社は新プラットフォームの少数株主として参画する。
英国のレイチェル・リーブス財務相は「送電網の改善は電気料金の引き下げと高賃金雇用の創出につながり、労働者の所得向上をもたらす。今回の豪州最大級ファンドとの取引は、英国が世界で最も魅力的な投資先の一つであることを示している」とコメントした。また、マイケル・シャンクス・エネルギー担当相は「この国家資産基金による投資は、英国の再生可能エネルギーの可能性を解き放つために蓄電池技術の開発と支援に真剣に取り組んでいることを示すものだ」と述べた。
国家資産基金は最大2億ポンドを投資する。同基金は政府の成長戦略とクリーンエネルギー目標を支援するため、商業的に実現可能なプロジェクトに戦略的投資を行い、民間資本の呼び込みを目指している。アウェア・スーパーは運用資産約2,000億豪ドル、加入者120万人を擁する豪州最大級の年金基金で、長期的なインフラ投資に積極的だ。同社のダミアン・ウェブ副CIO兼国際部門責任者は「この新プラットフォームは、フォース・ポーツやユーネットワークスを含む既存の英国・欧州インフラポートフォリオを強化し、よりクリーンで回復力のあるエネルギーシステムの実現における蓄電池セクターの役割への確信を示すものだ」と語った。
蓄電池技術は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの変動性を補完し、電力供給の安定化に不可欠な役割を果たす。英国政府が掲げる2030年までのクリーンパワー目標達成には、大規模な蓄電池インフラの整備が急務となっている。今回の大型投資は、英国のネットゼロ移行を加速させる重要な一歩となる見込みだ。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
最新記事 by HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム (全て見る)
- COP30でFAOが農業食料システムの気候変動対策を提唱、資金不足が最大課題 - 2025年11月27日
- 気候変動対策ランキング、日本は57位で「低評価」―米国は65位に急落 - 2025年11月26日
- EU、サステナブル金融の情報開示規則を簡素化へ 3カテゴリー制を導入 - 2025年11月26日
- WBCSDとUNEP、企業向け循環経済の世界初の国際評価基準を発表 - 2025年11月25日
- ISSB、自然関連の情報開示基準策定へ - 2025年11月25日























