欧州証券市場監督局(ESMA)と欧州環境庁(EEA)は8月20日、サステナブルファイナンス分野における協力体制を強化するための覚書(MoU)を締結した。この覚書は、環境要因とEUのサステナブルファイナンス枠組みへの統合、および同枠組みの監督に焦点を当てている。
覚書では、両機関が専門知識、情報、データを相互に交換し、相互の能力構築活動を支援する方法が規定されている。ESMAとEEAは、各国の証券規制当局と環境保護を担当する国家機関との間の協力促進にも共同で取り組む。さらに、サステナブルファイナンス政策の様々な分野における政策対話の強化にも協力して取り組むことになる。
今回の協力強化の背景には、ESMAが2024年6月に発表したグリーンウォッシングに関する最終報告書がある。同報告書では、EUにおけるサステナビリティ関連事項の監督をさらに強化するため、サステナビリティ報告の分野での的を絞った協力から始めて、EEAとの連携を強化する必要性が指摘されていた。ESMAは2023年から2028年にかけての戦略において、サステナブルファイナンスを5つの主要方針の一つとして位置づけており、ESG市場の有効性と完全性の確保、実行可能な規制枠組み、グリーンウォッシング防止に特に焦点を当てたEU全域での効果的で一貫した監督を目指している。
覚書に基づく具体的な協力分野として、EUサステナブルファイナンス法の適用と監督を支援するための専門知識・情報・データの交換、技術研修を通じた相互の能力構築活動の支援、関連する専門家作業部会への共同参加、国際レベルを含むイベントへの共同出席、関連レポートへの貢献などが挙げられている。また、スタッフの出向やその他の人材交流プログラムの実現可能性についても検討される予定だ。
両機関は、これらのタスクと活動に関する緊密な協力が、作業の重複を防ぐことで相互利益とシナジーをもたらし、最終的には生物多様性、気候変動、汚染に関連する重大な課題への対処に貢献すると認識している。覚書は両機関による署名をもって発効し、4年間有効となる。4年経過後は、いずれかの機関から異議がない限り、自動的に無期限で延長される。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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