国連開発計画(UNDP)は12月15日、「企業・事業体向けSDGインパクト基準」の日本語訳を発表した。企業などが事業運営の方針を決定する際、サステナビリティを組み入れることを助ける意思決定の基準となる。「日本企業には国際的なベストプラクティス(良い進め方)に沿う形で、人や地球に対する正負両方のインパクトマネジメントを実践したいとのニーズがあり、日本語訳はそうした声に応えた」(UNDP駐日代表事務所)という。
同時に、付属資料として「企業・事業体向けSDGインパクト基準―実践のための12の行動」「SDGインパクト自己評価ツール(企業・事業体向け)」の2点の日本語訳も発表した。「12の行動」は、企業などが持続可能な事業運営とSDGs(持続可能な開発目標)に対する積極的な貢献を、組織体制および意思決定に適切に組み込むために必要なステップを示す。「自己評価ツール」は、持続可能な意思決定を組織運営の中核に埋め込むと作業過程で、組織がその進捗状況を把握する目安となるもの。12月15日にオンラインで説明会を開催し、基準や付属資料の紹介および活用法の説明を行う予定だ。
SDGインパクトとは、民間資金の流れを拡大し、2030年までのSDGsを達成するための取り組み。企業や投資家が経営方針を決定する際、サステナビリティを中核に据えることを支援し、人と地球に最も良いインパクトをもたらす領域へ資金の流れを生み出すことを目指す。
活動の柱は①SDGsに資する事業運営を行うための3種類の「SDGインパクト基準」(「プライベートエクイティ(PE)ファンド向け」、「債券向け」、「企業・事業体向け」)の策定②インパクトマネジメント研修制度の導入③前記の基準に合致した企業等の認証および「SDGインパクト認証ラベル」の提供④投資対象となる途上国のビジネス情報を検索できる「SDG投資情報プラットフォーム」の運営など。
今回の日本語訳の発行は、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役で、SDGインパクト運営委員である渋澤健氏と、一般財団法人社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(SIMI)代表理事の今田克司氏が協力している。
渋澤氏は、日本語版の発表にあたり、「企業からは『どうすれば』自分たちがSDGsを実践していることを認定してもらえるのかという質問が寄せられる。しかし私たちはまず『なぜ』SDGsに取り組まなければならないのかという問いから始めなければならない。SDGインパクト基準の目的はインパクト評価のための報告手法を定めることではなく、サステナビリティを組織体制と意思決定の核に組み込むこと」とコメントを寄せた。
UNDPは貧困や格差、気候変動といった不公正に終止符を打つために闘う国連の主要機関。170ヶ国で人間と地球のために総合的かつ恒久的な解決策を構築するため、様々な専門家や連携機関からなる幅広いネットワークを通じ支援を行っている。
【関連サイト】SDGインパクトの日本語ウェブページ
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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