トーマス・リー氏が語る、ペッグ通貨失敗の教訓から得られるステーブルコインの課題とは?

Fundstrat Global Advisorsの共同創業者のトーマス・リー氏は1月24日、リップル社公式ブログRipple Insightsにおいて、「Stablecoins: A Lesson in Market Predictions(ステーブルコイン、市場予測における教訓)」と題する記事を寄稿している。

トーマス・リー氏は、エクイティリサーチの分野で25年以上の経験を持つ熟練したウォールストリートストラテジストで、1998年以来毎年機関投資家によってトップランクに支持されているリサーチャーである。同氏は、ボラティリティが大きく、いまだに未成熟な仮想通貨市場において最も注目されるビットコインの将来価格について、強気な予想を見せることでも知られている存在だ。

同氏は、法定通貨などとペッグする(紐付ける)ことで価値が一定に担保されるステーブルコインについて、仮想通貨市場に安定をもたらすために良い試みであると述べている。しかし、歴史を振り返ってみても価値の安定性を実証することはできていない。

ペッグ通貨は一時的な経済対策として機能するかもしれないが、アンペッグによってさらに深刻な経済の不安定性を生み出してしまう危険性もある。同氏がそう語る背景には、アフリカ最大の経済大国であるナイジェリアの通貨切り下げやタイを中心に発生したアジア通貨危機にある。

石油生産国として知られるナイジェリアは、2010年代半ばに原油価格下落を受け、米ドルに事実上固定した自国通貨ナイラを米ドルから切り離すことを余儀なくされた。これにより、ナイラの価値は30%低下し、急激なインフレが起きることとなった。タイにおいても、米ドルとペッグされたバーツが経済成長の鈍化に伴って、切り下げが行われることとなった。タイは1997年にはペッグを守るために数十億米ドルを費やしたものの、それが引き金となり1990年代後半の悪名高いアジア通貨危機を招く結果となった。

同氏は結論として、米ドルに対する絶対的な信頼性に比類する信用、国際送金や消費など価値保存機能としての明確なユースケース、の2点が安定性に影響を与える重要な要因だと締めくくっている。

ステーブルコインには、法定通貨に価値が担保されるものや暗号通貨に価値が担保されるものなど複数の種類が存在しており、代表的なものにはUSDと価値が連動するテザー(USDT)がある。ステーブルコインは法定通貨に対する規制が適用されないため、金融機関ではないフィンテック企業である仮想通貨取引所にとって使い勝手がよいという特徴をもつ。また、仮想通貨の性質をもつステーブルコインは、送金スピードや手数料の観点からメリットが多く、ユーザーから支持されている側面もある。だが、ステーブルコインの代表とも言えるUSDTはさまざまな疑惑がつきまとい、ビットコイン価格を安定させるどころか乱高下させる要因ともなっている。ステーブルコインは本当に仮想通貨市場に安定をもたらす存在なのか。引き続き注目していきたい。

【参照記事】Stablecoins: A Lesson in Market Predictions

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