一般社団法人サステナブルファイナンスプラットフォーム運営協会は、運用機関と上場企業をシームレスにつなぐことでESG(環境・社会・ガバナンス)投資を促進するデジタルプラットフォーム「Sustainable Finance Platform / Engagement Support Service(サステナブルファイナンスプラットフォーム/エンゲージメントサポートサービス、SFP-ESS)」のベータ版サービスを10月16日から提供開始する。
SFP-ESSは、ESG情報の開示によって上場企業と運用機関の相互理解を深めることを目的としたツーサイドプラットフォーム。運用機関が上場企業に期待するESG情報開示ニーズを国際基準のISSBのベースになるSASBに沿って提示し、上場企業は登録された情報を参照することで、自社の開示方針策定に活用できるようになる。サービスの提供は株式会社日立製作所が行う。
SFP-ESSの導入効果として、運用機関は多くの上場企業に開示ニーズの共有が可能になる。これまで上場企業1社ごとの個別エンゲージメントの中で伝えていた情報開示に関するニーズや要望を、多くの上場企業に対してプロアクティブに伝えることができる。また、これまで投資先企業を中心に数千社の情報開示データを個別に収集していたが、上場企業がテンプレートに基づいて直接登録したデータの収集が可能となり、将来的には企業間の比較などが現在より容易にできるようになることに加え、上場企業が自ら第三者保証を受けたデータ登録を行うことでデータの正確性が高まる。
上場企業は、社内協議にてESG開示項目を決定してきたが、SFP-ESSの導入によって、運用機関の開示ニーズを起点とした開示項目の選定・決定が可能になり、運用機関の求める情報開示を行えるようになる。また、ESG情報の収集のため、社内関連部署への協力依頼に多くの時間と工数を割いていたところ、運用機関のニーズを社内関連部署への説明の根拠の一つとすることにより、スムーズな社内合意が可能となる。さらに、エンゲージメント先以外の運用機関の開示ニーズを一元的に収集できるようになり、「新規株主の候補を検討する際の手がかりになる」と同協会は説明する。
サービス利用料は、1社あたり上場企業は60万円/年、運用機関は40万円/年(消費税等別)。スタートはコア機能に絞ったベータ版サービスをトライアル価格で提供し、ユーザビリティの検証や各種機能の強化をはかるなど、将来の正式なサービス立ち上げに向けた検討を推進していく意向。上場企業10社、50社程度の導入を目標に運用、2024年夏を目途に正式事業化を判断する。
10日、都内で開催したサービスローンチ説明会で、同協会は「ESGの情報開示業務における企業と投資家の対話の起点を180度転換する」とSFP-ESSの普及に期待を込めた。
SFP-ESSについて、より詳しくご紹介するためのサービス説明会を開催する。サービスの詳細や活用方法、実際の操作デモを交えてのプレゼンテーションを予定している。
Peatix:「運用機関と上場企業をつなぐ SFP-ESS サービス説明会」
同協会は、ESG投資を促進するデジタルプラットフォームを整備し、正式事業化に向けた有用性の価値検証を行うことを目的に23年7月に設立。会員企業はMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社、損害保険ジャパン株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、日本生命保険相互会社、株式会社日立製作所、株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱UFJ銀行。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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