りそな銀行と埼玉りそな銀行が20日、中小企業に対してCSRの観点から無料アドバイス付きの融資を始めると日本経済新聞が報じた。
現在、外国人投資家と機関投資家の日本株所有比率は半数を超えるが、その多くがPRI(責任投資原則)やESG(環境・社会・ガバナンス)評価に基づき投資判断を行っている。日本では”世界最大の投資家”と呼ばれるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2015年にPRIに署名をしており、企業側も投資資金を集めるためにESGに配慮する必要性が高まってきている。
ESG投資において、製造業分野の大企業などは自社の商品だけではなく、調達先についてもESGへの配慮しなければならないという「CSR調達」という考え方が重要視されるようになってきた。
その結果として、大企業をメインクライアントとする中小企業はCSR基準に満たない場合に取引を打ち切られるというリスクが高まっているという事情がある。今回のりそなの取り組みは、CSRの観点から中小企業を支援することで、結果的に大企業のCSR調達を支援する取り組みとなる。
ESG投資やESG評価は専門家でも意見が分かれる発展途上の分野のため、CSRのような非財務情報の評価はいまだ株価に適正に織り込まれていないと言われている。
そのため、財務情報に加えて非財務の情報まで詳しく見ていくことで、中長期的に株価が低迷する可能性がある企業や株価が安定的に上昇していく可能性がある企業、本来の企業価値と現在の企業価値にギャップがある企業などを見極められる可能性も高い。ESG投資は、個人投資家にとっても大きな投資機会の一つと言えるだろう。
【参照記事】日本経済新聞「りそな銀、中小向けCSR助言付き融資」
【参照記事】日本取引所グループ「2017年度株式分布状況調査の調査結果について」(PDF)

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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