国、「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」公表。自然再興と経済の新たな成長目指す

環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省は3月29日、「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」を連名で公表した。同戦略は、企業が自社の価値創造プロセスに自然の保全の概念を重要課題(マテリアリティ)として位置づける経営への移行の必要性、および移行に当たって企業が押えるべき要素、新たに生まれるビジネス機会の具体例、ネイチャーポジティブ経営への移行を支える国の施策をまとめている。

2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、2010年に採択された愛知目標の後継となる、2030年までの世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択された。さらに2030年ミッションとして「生物多様性の損失を止め反転させる」ネイチャーポジティブ(自然再興)が掲げられた。

新たな国際約束の達成のため、2023年3月に「生物多様性国家戦略2023―2030」が閣議決定され、同戦略における2030年ミッションを達成するための「5つの基本戦略」が掲げられた。ネイチャーポジティブ経済の実現は、基本戦略3となっている。2022年3月から、環境省で設置したネイチャーポジティブ経済研究会において議論を行い、4省庁連名でネイチャーポジティブ経済移行戦略を取りまとめた。

同戦略は、ネイチャーポジティブの取り組みは企業にとって単なるコストアップではなく、自然資本に根ざした経済の新たな成長につながるチャンスであることを分かりやすく示し、実践を促す狙い。

なお、世界経済フォーラム(2020)をベースとした推計では、日本においてネイチャーポジティブ経済への移行により生まれるビジネス機会の規模は、2030年時点で約47兆円と推計。うち、4分の3以上が炭素中立(CN)や循環経済(CE)と強く関連すると見る。

戦略の概要は、経済活動の自然資本への依存と損失が社会経済の持続可能性に対する明確なリスクでありネイチャーポジティブ経済への移行の必要性があることについて示した上で、(1)企業の価値向上プロセスとビジネス機会の具体例(2)ネイチャーポジティブ経営への移行に当たり企業が抑えるべき要素(3)国の施策によるバックアップを記載。「個々の企業の行動変容を可能とし、その総体としてのネイチャーポジティブ経済への移行を実現」させると打ち出している。

【関連サイト】環境省「ネイチャーポジティブ経済移行戦略

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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