株式会社TSIホールディングスグループの株式会社ナノ・ユニバースが運営するセレクトショップ「nano・universe 軽井沢・プリンスショッピングプラザ店」で、売れ残った服のブランドタグを付け替えて再販する「Rename(リネーム)」の商品の取り扱いを6月6日から開始する。リネームの提供元は愛知県の株式会社FINE(ファイン)。
アパレル製品は、トレンドや着用シーズンの天候などの影響を受けやすいため、在庫管理が難しい。余剰在庫は再販(処分)となるが、その際に課題となるのがブランドイメージだ。大幅な値下げはブランド価値を棄損するという理由で、新品にも関わらず廃棄処分されてきた。リネームは、そうした服のブランドタグをRename名義に付け替えて再販売。新しい名前になるためブランドイメージを傷つけず、新しい価格で自由に販売できる。タグの付け替えはメーカーやブランドと合意した上で、同社が提携する縫製工場において、元のブランド表記(襟ネームや洗濯ネームなど)の付け替え加工を行った上で販売、ブランド価値を守りながら再流通させる仕組み。
近年、ファッションに対する消費者の意識は急速に変化している。新興国での劣悪な労働条件や在庫の廃棄が社会問題化し、生産から廃棄までのプロセスもブランドの評価に直結するようになった。SDGs(持続可能な開発目標)の普及も、こうした変化を促す。リネームにも賛同企業が増え、2019年には総合アパレルのクロスプラス株式会社と業務提携しアップサイクルプロジェクトを開始した。
小売店にもメリットがある。店舗の陳列棚は、商品が売り切れて空の状態だと機会ロスとなる。棚を埋めるために追加生産が必要だが、製品が納品されるまでにタイムラグがあり、今度は売れ残りのリスクが生じてしまう。リネームの製品があれば、複数の競合企業の在庫の販売が可能になり、追加生産しなくても在庫品を有効に活用することができる。
ナノ・ユニバースは、ファインの「服本来の価値を再発見する機会に真摯に向き合っている点に共感した」という。今回の取り組みについて「ナノ・ユニバースというフィルターを取り払った商品を展開することで、潜在的なニーズに向き合える機会を得られれば。移り変わりの早い時代性の中において貴重な体験」と期待する。販売状況によって、取扱店舗を拡大する予定。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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