大手コンサルティング会社マッキンゼーが指摘「ブロックチェーンは実用的なユースケースがほとんどない」

米国の大手コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー(以下、マッキンゼー)は2019年1月4日、同社のウェブサイト上で、現状ブロックチェーンが実用化された事例は乏しいとの見解を示している。

ブロックチェーンスタートアップに対するベンチャーキャピタル投資は2017年1年で10億ドルを超え、金融業界においても年間約17億ドルをブロックチェーンの実験に費やしている。一企業レベルでも、ブロックチェーン技術に意欲的なIBMはブロックチェーンを活用したIoT向けのデータ共有ソリューションに2億ドル以上の投資を行っていることが報告されている。

このように、ブロックチェーンはさまざまな企業、業界からゲームチェンジャーとなる可能性を期待されているが、レポートではブロックチェーンは実用化された証拠がほとんど存在しないことが指摘されている。一方で、同社はブロックチェーンの開発過程における停滞は経済理論の観点からすると全く驚くことではないとし、その理由を古典的なライフサイクル理論に基づき説明している。産業や製品の進化は「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのステージで構成され、ブロックチェーンテクノロジーは導入期において足踏み状態にあるという。

ブロックチェーンテクノロジーの代表例である仮想通貨は決済領域で革新的なソリューションとなることも期待されたが、現在ブロックチェーンは数多くある手段のひとつにとどまっている。200以上の国や地域で国際金融取引ネットワークを提供するSWIFTは、GPI(global payments innovation)によって、既存サービスの高速化と透明化を進めている現状もある。レポートでは、こうした競合サービスの動きもブロックチェーンが停滞している原因のひとつであると指摘されている。

また、レポートでは、ブロックチェーンの問題としても指摘が多い「既存サービスを置き換えるためにブロックチェーンが本当に必要かどうか」という本質的な疑問にも考察をしている。オッカムの剃刀(ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでないとする指針)の原則に沿うと、ブロックチェーンの決済ユースは適切な答えではなく、現状ではニッチな領域での利用かブランディング用途に過ぎないと述べている。

マッキンゼーは、数あるブロックチェーンプロジェクトの進捗をある程度評価しながらも、本来のユースケースは金融サービスにおいて発揮されるものではなく、所有権を企業から消費者にシフトさせ、情報の「証明」に関する透明性を高めて自動化を可能にすることにあるとしている。

ブロックチェーン開発は今後、既存のシステム以上の利点を見出して商業的アプローチを強化し、ビジネスユースでの採用に向けての取り組みが必要だとして、レポートは締めくくられている。

【参照記事】Blockchain’s Occam problem

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HEDGE GUIDE 編集部 仮想通貨チーム

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