世界中でESG投資に対する機運が高まるなか、日本では多額の資産を運用する機関投資家の生命保険各社らもESG投資の推進に大きく舵を切ろうとしている。
大手生命保険会社らが加盟する一般社団法人生命保険協会の会長に就任した稲垣 精二氏は7月20日、同会のサイト上に掲載した就任挨拶のなかで、生保協会としてESGの観点も踏まえた取り組みを推進していくことを公表した。
生命保険協会には日本生命、第一生命、住友生命などの大手日系生保からアリアンツ生命、プルデンシャル生保などの外資系生保にいたるまで大手生保会社41社が加盟しており、加盟各社が運用する総資産は380兆円におよぶ。
稲垣氏は「Create a Brighter Future ~安心と希望に満ちた未来を切り開く~」と題し、今後生命保険協会として重点的に取り組んでいくポイントとして「人生100年時代を切り開く」「持続可能な社会を切り開く」「安心への道を切り開く」の3点を挙げた。
少子高齢化と人口減少が進むなか、人生100年時代をより安心で希望に満ちたものにするべく、ESG投資の観点も踏まえて将来の社会や環境なども見据えた持続可能な経済成長への貢献に向けた取り組みを進めていくとしている。
国内の大手生命保険会社らによるESG投資への取り組みとしては、太陽生命、第一生命、富国生命、かんぽ生命らがESG投資の推進を目的とする国際イニシアチブの国連責任投資原則(PRI)に署名している。
保険会社のように長期的な資産運用を前提とする機関投資家にとって、ESGリスクへの対処は非常に重要となる。気候変動や貧困などの環境・社会にまつわるリスクは被保険者の生存リスクに直結しかねないからだ。ESGを重視した投資方針を貫くことは、長期的なリターンを最大化しつつ、保険サービスを存続させるうえで合理的な選択でもある。
生保業界が全体としてESG投資に取り組むことで、投資先となる企業の行動も大きく変わっていくはずだ。今後の業界の動きに注目したい。
【参照リリース】生命保険協会長就任にあたって(所信)
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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