「法執行機関の情報照会請求は今後増えていく」、仮想通貨取引所が法執行機関に対応していく重要性とは?

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スイスに拠点を置く仮想通貨取引所シェイプシフトは1月18日、公式ブログにて、同社のコンプライアンスの一環として2018年に世界各国60の法執行機関からの情報照会請求に協力したことを明らかにした。2018年後半の照会件数が急増しており、月に10件の情報紹介請求があった月があることも報告されている。

引用:ShapeShift “Pulling Back The Curtain: How ShapeShift Handles Law Enforcement Compliance”

情報の秘匿性も仮想通貨の醍醐味でもあることから、仮想通貨取引所は情報紹介請求に腰が重い印象が強い。その証左に、海外取引所の中にはいまだKYC(顧客確認)を要さず取引を開始できる仮想通貨取引所もあるほどだ。

そんな中、同社が法執行機関の要請に応じている背景には、仮想通貨はまだ導入期で世界各国の規制環境が常に変化していることがある。シェイプシフトは、法執行機関から定期的に来る要請に応じることで、伝統的な金融業界においてすら不透明性が残る情報照会プロセスの透明性を高めていきたい考えだ。

シェイプシフトは、まず同社が関わるすべての取引内容(支払資産の種類、金額、要求された資産種類、取引時間)が公開されていることに触れ、法執行機関からの召喚状を受け取った際の対応の流れを紹介している。召喚状で要求される情報には、仮想通貨アドレスやトランザクションIDといった仮想通貨取引の内容にとどまらず、名前やメールアドレス、IPアドレスといった顧客情報まで、さまざまな情報が求められる可能性が考えられるという。照会が最も多い地域はアメリカに次いでドイツ、イギリス、フランスと続き、最も多く照会依頼が来る機関はFBIに次いでSEC(米証券取引委員会)とレポートでは述べられている。

同社のレポートは、「テクノロジーや利用法が進化していくにつれ、仮想通貨へのこうした精査も多くなるだろう。法執行機関からの情報提供の依頼は今後も継続的に行われていくことを、世界は知っておくべきだ」と締められている。新たなアセットクラスとして認知されつつある仮想通貨だが、各国では法整備が追いついていない現状がある。仮想通貨は、すべてのトランザクションがインターネットで追跡可能な透明性の高さや従来必要であった仲介手数料を大きく削減できることなどが特徴だが、利用者を特定することが難しい秘匿性の高さが犯罪の温床になりかねないリスクも指摘されている。利用者が安心して仮想通貨を使用するためには、各国の法整備が整い、市場が健全化していくことが大前提だ。

【参照記事】Pulling Back The Curtain: How ShapeShift Handles Law Enforcement Compliance

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HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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