日本取引所グループ(以下、JPX)とロンドン証券取引所グループ(以下、LSEG)は7月9日、サステナビリティ・ESG分野の商品・サービスのマーケティング活動などにおいて相互協力することに合意した。
JPXとLSEGはいずれも国連が主導するサステナビリティ・ESG投資の推進に向けた国際証券取引所ネットワーク、SSEイニシアティブ(Sustainable Stock Exchanges Initiative:持続可能な証券取引所イニシアティブ)に参画しており、ESG投資の普及に向けて積極的に取り組んでいる。
JPXは今年の4月に中期経営計画のアップデートを公表し、ESG債の開示プラットフォームの着実な運用および再生発電などを対象とするインフラ市場の育成など、ESG投資の普及に向けた取り組みを強化する方針を公表したほか、これらの取り組みを全社横断で推進するために7月1日には「サステナビリティ推進本部」も設置した。
一方のLSEGは、昨年から子会社のFTSE Russellを通じて世界最大の年金基金であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に対してサステナブル投資戦略を支援するためのベンチマーク提供を開始している。ESG投資の考え方が日本よりも浸透しているロンドンでは、2017年のグリーンボンド発行額は前年比で90%以上増加しており、株式取引額も倍増している。
今回の提携による具体的な取り組みについては未公表だが、今後両取引所はサステナビリティ関連分野の商品・サービスに関するマーケティング施策などについて協議を進めていく予定だ。
今、世界では気候変動など様々な社会課題の深刻化に伴うリスクの顕在化を背景に、ESG投資がメインストリームとなりつつある。すでに欧州では運用資産の半分以上がサステナビリティ投資に向けられているのが現状だ。このトレンドに伴い、海外の機関投資家からの日本の上場企業に対するESG情報開示に対する圧力もかつてないほどに高まりを見せている。
日本企業のESG情報開示を促進するうえでも、投資家と企業をつなぐプラットフォームである取引所が果たす役割はとても大きい。今後、JPXとLSEGの提携によりどのようなマーケティング活動が展開されるのか、両者の取り組みに期待がかかる。
【参照記事】日本取引所グループとロンドン証券取引所のサステナビリティ関連分野及びマーケティング等における協力について
【参考サイト】Sustainable Stock Exchanges Initiative

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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