伊CDP、5億ユーロのグリーンボンド発行。レポ―ティングにブロックチェーン活用

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イタリアの政府系金融機関カッサ・デポジティ・エ・プレスティティ(CDP)は、6月10日、機関投資家向けに5億ユーロのグリーンボンドを発行したと発表した。この債券は、レポーティングプロセスにブロックチェーン技術を導入し、資金使途の透明性を高める欧州初の試みとなる。

今回のグリーンボンドはCDPにとって2回目となり、償還期間は8年だ。調達資金は、再生可能エネルギーや持続可能なモビリティ分野のインフラ投資、エネルギー効率化やサーキュラーエコノミーに取り組む企業への支援など、環境への正の効果をもたらす事業に充当される。特筆すべきは、ブロックチェーン技術を活用してレポーティングプロセスをトークン化し、投資家が資金の配分状況や環境効果をより詳細に検証できる仕組みを導入した点である。これにより、情報の透明性、完全性、信頼性が向上し、投資家のESGレポーティング目標達成を後押しする。

この発行は市場から大きな注目を集め、募集額5億ユーロに対して5倍の約25億ユーロの応募があった。国外投資家の比率は73%に達し、フランス、ベネルクス諸国、英国などが主な投資元となった。ESG投資を重視する投資家や欧州の公的機関からの関心も高かった。この債券は、CDPの新たな「グリーン、ソーシャル、サステナビリティボンド・フレームワーク」(2023年12月更新)のもとで発行された初のグリーンボンドであり、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則に準拠している。CDPによるESG債の発行は2017年以降11回目で、累計発行額は72億5,000万ユーロとなった。

この取り組みは、CDPが掲げる2025-2027年戦略計画の優先事項、特にエネルギー転換とサーキュラーエコノミーのためのインフラ開発支援、気候変動対策、そして国内企業や行政の競争力強化と技術革新の促進に貢献するものだ。

CDPによるブロックチェーン技術をグリーンボンドのレポーティングに活用する先進的な試みは、サステナブルファイナンス市場における透明性と信頼性の基準を引き上げる可能性を秘めている。資金使途の追跡可能性向上は、グリーンウォッシュへの懸念を払拭し、より多くの資金を真に環境価値の高いプロジェクトへ誘導する上で重要な一歩となるだろう。今後、同様の取り組みが他の金融機関や発行体へも波及することが期待される。

【参照記事】CDP issues its second Green Bond for 500 million euro

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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