国際通貨基金(IMF)の専務理事であるクリスティーヌ・ラガルド氏は4月16日、仮想通貨によるファイナンシャルインクルージョン(金融包摂)の可能性を評価し、イノベーションによりもたらされるメリットとリスクを理解した上で公正な規制に取り組むよう提言した。
同氏は、仮想通貨がもたらすメリットとして迅速かつ低コストで金融取引が可能となることを挙げた。また、仮想通貨の基盤技術であるDLT(分散型台帳技術)や、スマートコントラクトが金融市場を効率化させる可能性について言及している。DLTは、すでにオーストラリア証券取引所での導入が検討されている他、ガーナでは財産権の保護に活用する試みとして取り組みが進んでいる。
一方で、仮想通貨の普及は銀行をはじめとする金融機関のビジネスモデルに課題をもたらすリスクについて、仮想通貨はまだ市場規模が小さく金融市場とのつながりが限定されていることから、注視は必要なものの喫緊の危険はないとした。
同氏は先月、仮想通貨がマネーロンダリングやテロ資金供与の主要な手段となる危険性について警鐘を鳴らしていた。一方で、以前から仮想通貨に対しては公正な視点を持って規制枠組みに尽力する必要があるとも語っており、仮想通貨のポジティブ・ネガティブの両面をフラットに捉えているエスタブリッシュメントの一人としてその発言が注目を集めていた。
年始以来、仮想通貨への信頼が揺らぎかねない出来事が多発するなか、IMFにより改めて示された仮想通貨の可能性。日本においても、ヤフーやSBIホールディングス、マネックスグループなどをはじめとする大手企業による年内の仮想通貨市場参入が報じられており、市場が低迷する一方で巨人たちは仮想通貨に可能性を見出していることが窺える。
【参照記事】仮想資産のための公正なアプローチ
【参照記事】仮想通貨の闇に立ち向かう
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