2050年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを目指すグラスゴー金融同盟(GFANZ、ジーファンズ)は6月9日、「GFANZアジア太平洋(APAC)ネットワーク」を設立した。同地域で初となる事務局と諮問委員会を設立することで、アジア全体でのネットゼロ・アクションを促進していく。
国際連合が推進するキャンペーン「Race to Zero」によると、世界のネットゼロ移行を進め、 気候変動の最悪の影響を回避するためには、アジア・太平洋地域で、今後10年間に13.6兆米ドルの投資が必要とされている。APACネットワークの立ち上げによって同地域の金融機関や政策立案者との連携が強化され、また、ネットゼロの機会と課題に関する相互の知識共有とオープンな対話を可能にし、グローバルなグリーン移行の実現が期待される。
シンガポールに新設された事務局はシンガポール取引所(SGX)、シンガポール政府系投資会社のテマセク・ホールディングス、 シンガポール金融管理局(MAS)からの支援を受けている。ネットワークの責任者には、 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)でアジア太平洋地域を担当した経験を持ち、 新たにGFANZのディレクターとなった安井友紀氏が就任。安井氏は、 マーク・カーニー氏、 マイケル・ブルームバーグ氏、 メアリー・シャピロ氏、 ナイジェル・トッピング氏らで構成されるGFANZのリーダーシップチームと、 新たに設置されるGFANZのAPAC諮問委員会のもとで指揮を執る予定。
諮問委員会はアジア太平洋地域の気候変動や金融分野の有識者の皆様で構成され、 APACネットワークに対して、 戦略的方向性、地域特有の専門知識、作業計画や成果を監督する立場として、指導や助言を行う。
今後数ケ月間で、GFANZはアフリカ、ラテンアメリカでも地域特化型のネットワークを立ち上げる。事務局スタッフはGFANZのグローバルな特性を反映し、すべての主要大陸に配置される予定だ。
GFANZは2050年までに世界の温室効果ガス排出量のネットゼロへの移行を加速し、地球温暖化を1.5度以下に抑えるというパリ協定の目標達成に向けた、金融機関とその部門別連合による専門家主導のグローバル連合。21年4月にイングランド銀行前総裁のマーク・カーニー氏が提唱して発足した。銀行、保険会社、アセット・オーナー、資産運用会社、金融サービスプロバイダー、投資コンサルタントなどの金融セクターから会員企業を擁している。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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