大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)の日本法人であるEYジャパンは、ブロックチェーンを活用した日本酒のトレーサビリティシステム「SAKEブロックチェーン」を準備している。偽造品対策や清酒メーカーの海外マーケティングに役立てる狙いだ。3月21日、日経アジアンレビューが伝えている。
「SAKEブロックチェーン」で共有されるデータには、成分や醸造工程、および輸配送時の温度変化などの品質管理情報が含まれる。商品の流通経路を生産段階から最終消費段階まで追跡できる特性を活かして、清酒メーカーの海外マーケティング戦略強化にも活かされる。
財務省貿易統計によると、日本酒の輸出額は10年連続で過去最高額を更新しており、2019年に前年比5.3%増加して234億円となった。しかし、アジアや欧州で精巧な偽造品が出回り、ビジネス拡大を抑えてきた背景がある。白鶴酒造によると、これまで顧客からの問い合わせ以外に偽造品を発見する手段がなかった。EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングの梶浦英亮氏は、「清酒の生産地と起源を伝えることで、偽製品との判別が望める」としている。
米から生まれた日本酒の鮮度を保つのに適した温度は5℃だ。SAKEブロックチェーンは海外の流通・小売業者やレストランで不適切な環境で流通しがちな課題にも対処できる。システムは英語、韓国語、中国語に対応しており、消費者は瓶に発付されたQRコードを介して醸造家や日本酒に合った食品情報を把握することもできる。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けたアジアの商環境が回復し次第、EYジャパンはシステムを稼働する見込み。同社は今後、偽造品の被害を受ける日本のブランド果物の分野にも適用させる意向を示している。
【参照記事】Japan sake makers to adopt blockchain to fight Asian counterfeits
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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