ESG/SDGsの関心、最も高いのは20代。生活者1万人への意識調査

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株式会社電通PRコンサルティング内の企業広報戦略研究所は11月8日、生活者1万人を対象とした「2022年度ESG/SDGsに関する意識調査」の結果を発表した。一般生活者が「積極的に取り組んでいる」と感じる企業のESG(環境・社会・ガバナンス)アクションを「ESGレピュテーション」と定義し、単なる業界調査ではなく、企業個別のESGレピュテーションが把握でき、ESG/SDGsに対する一般生活者の認知や関心の状況・情報経路、ESGに関する企業の取り組みがどのように伝わっているか・今後何を期待されているかの解析を試みている。

調査は、全国の20~69歳の男女計1万人にESG/SDGsの認知、企業のESG/SDGsの取り組みへの認知や期待・情報入手経路、投資時のESG考慮有無などを訊くもの。同レピュテーションの上位を業界別で見ると、1位が「損保・生保・商社」の1万1787ポイント、2位「海外自動車・自動車関連部品」9712ポイント、3位「繊維・化学・日用品」9615ポイントという結果だった。損保・生保・商社のESG構成比はガバナンスの割合がトップ、「情報セキュリティやプライバシー保護への取り組み」の認知が高い傾向が見られた。海外自動車・自動車関連部品や繊維・化学・日用品業界では、環境の割合が大きく、特に海外自動車・自動車関連部品業界は「カーボンニュートラルに向けての各社の取り組みが効果的に発信できていることが影響している」と同研究所は見る。

次に、生活者が認知している企業のESG24項目をランキングにして見ると、1位は「社会」の「多様な生活者に配慮した商品・サービス・事業の展開」27.2%、2位は「環境」の「リサイクルなど資源の有効活用」27.1%、3位は「社会」の「社員が能力を向上し、やりがいを持って働ける環境の提供」27%だった。社会と環境に関する項目が上位を占めており、特に社員のウェルビーイング(well-being)に配慮する企業が増えてきていることも要因の1つと推察される。

ESG24項目のうち、特に認知の高かった全体上位5項目に焦点を当て、年代別で「積極的に取り組んでいる」と感じる項目の認知状況の違いを比較したところ、20代は全項目で最も高い数値となった。全体と20代の数値を比較しても、ほとんどの項目で5pt以上の差をつけ、20代の関心の高さをうかがわせた。特に、「S:社会」の項目に関心が高い。また、全体順位では11位の「性別、年齢、国籍、マイノリティなどにとらわれない多様な人材の活用」が、20代では3位となっており、若者独自の視点で企業を認知しているようだ。

「企業のESGに関する取り組みをどのようなところで見聞きしたか」の設問では、1位「テレビ番組」22%、2位「テレビCM」10.1%、3位「新聞記事」9.8%、4位「企業ウェブサイト」9.4%、5位が「ウェブメディア」8.8%。また、情報源をカテゴリ別に見ると、「メディアの番組・記事」が最も高く(34.7%)なった。カテゴリ別では「リアル」と「オウンドメディア」「メディアの広告」がそれぞれ2割弱となり、ESGに関する企業の取り組みについての報道が増え、生活者の認知につながっている可能性がある。

企業のESGやSDGsの取り組みを認知し、行動変容したかについての調査では、ESG24項目を提示し、企業のESGに関する取り組みを想起できた人に対し、ESGやSDGsの取り組みについて知った後に行動したかを聞いたところ、43.8%の人が何かしらの行動を起こしていた。

具体的にどのような行動を取ったかを尋ねたところ、1位「その企業や、商品・サービスのウェブサイトを閲覧した」17%、2位「その企業や、商品・サービスの評判を検索サイトで調べた」9.7%と「その企業の商品やサービスを購入または利用した」(同)、4位は「家族や友人とシェアした・話をした」8.1%だった。

昨年に引き続き、SDGsの認知状況についても調査した。「SDGsという用語を知っているか」という設問に対し、「知っている」(「詳しく知っている」「聞いたことはある」の合計)と回答した人は91.3%と、ほとんどの生活者にSDGsが認知されてきた。中でも、「詳しく知っている」と回答した人は昨年から約10ポイント増の40.3%となり、内容についての理解も年々進みつつあることがうかがえる。

「SDGs」の17目標について、関心のある目標を尋ねると、2年連続で、1位「すべての人に健康と福祉を」、2位「貧困をなくそう」、3位「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」となった。同研究所は順位について「コロナ禍が長引く中、健康や医療・福祉などの重要性がますます注目されている。また、貧困については『子どもの貧困』や、コロナ禍による不安定な雇用や物価高騰などが重なり、一般生活者の関心が高くなっている」と推測。企業にはこうした生活者の関心を踏まえ、取り組みを検討し、戦略的に伝えていくことが企業価値の向上においてますます重要になるとしている。

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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