ドイツ銀行グループの資産運用部門であるDWS(ドイチェ・アセット・マネジメント、#1)は2021年12月20日、同社ファンドが保有する全世界の商業用不動産の大半にスマートエネルギー・マネジメントソリューションを導入すると発表した(*1)。
このエネルギー最適化ソリューションはデータやセンサー、人工知能(AI)、およびエンジニアリングに関する知識を活用することで、建物の運用効率と機能を向上させる。また同ソリューションには、入居水準など刻々と変化する変動要因への対応を改善するとともに、設備の不具合を迅速に特定・是正するためのトレーニングシステムや従業員への介入(intervention、#2)も含まれている。まずは欧州を中心とした11か国42の不動産に導入するという。
スマートエネルギー・マネジメントソリューションを導入することで、二酸化炭素(CO2)排出量を削減し、エネルギーとコストを節約することを目指す。この取り組みは、DWSが2019年10月に発表した、欧州の不動産オフィスで構成されるポートフォリオ全体で2030年までにCO2排出量を50%削減するという目標の達成に寄与するものである。
省エネの具体例としては、テナントの営業時間に合わせて設備を稼働すること、冷暖房システムが同時に稼働しないようにすること、空きスペースを適切に閉鎖・封鎖してエネルギーの無駄を省くことなどが挙げられている。
また、このアクティブなエネルギー管理プログラムは、DWSがコミットしているクリーンエア・イニシアティブに続く取り組みである。同イニシアティブでは、店舗テナントの健康とウェルビーイング(#3)エクスペリエンスを向上させるために、欧州の不動産ポートフォリオ全体で約750台のエレベーターにプラズマ空気清浄技術を導入することにコミットしている。
DWSによれば、同社は2008年という早期に国連責任投資原則(PRI)に署名した。また2020年12月には、2050年までに投資先企業の温室効果ガス(GHG)排出量のネットゼロを目指す資産運用会社によるグローバルなイニシアティブであるネット・ゼロ・アセット・マネージャーズ・イニシアティブ(NZAM)に、ドイツのアセットマネージャーとして初めて加盟したという。今後もESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から専門性を提供するDWSの取り組みに注目したい。
(#1)DWS…2018年3月、ドイチェ・アセット・マネジメントは世界共通ブランドとして「DWS」を採用。
(#2)介入(intervention)…組織開発の分野において、変革の対象となる個人やグループに対して働きかけを行うこと。
(#3)ウェルビーイング…幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態。
【参照記事】*1 DWS「DWS to roll out active energy management programme across real estate assets」(要言語選択)
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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