国内ブロックチェーン活用サービス市場規模は、2019年度で171億円の見込みであり、2022年度には1,235億円に達すると予測されている。株式会社矢野経済研究所が、国内ブロックチェーン活用サービス市場を調査し、現況、領域別の動向、将来展望に関するレポートを公開した。
矢野経済研究所は、BtoB向けに企業の強み・弱み、市場における事業機会や脅威を分析し、戦略の立案、実施に役立つ情報を提供する企業だ。各業界の市場情報を独自に調査し、オリジナル資料を提供している。同社は蓄積したデータを元に産業政策や公共政策にて提言を行うなど、マーケット分析に定評がある。
レポートによると、ブロックチェーンの実証実験はサプライチェーンや仮想通貨を含めた価値流通プラットフォームを中心に多岐の分野で行われており、商用化に向けた効果検証へ進んだ事例もでてきている。ブロックチェーンは、改ざん耐性と真正性の高さからから、2017年以前は親和性の高い金融機関を中心に注目されていた。レポートによると、2017年後半からはブロックチェーンが金融以外の領域でも活用を模索される段階に入っていることが報告されている。具体的には、ジビエ(野生鳥獣肉)のトレーサビリティ(流通経路の追跡確認)のほか、美術品の権利移転や真贋証明など、物流領域でのトレーサビリティ向上、コスト削減、時間短縮といった効果が報告されているという。
矢野経済研究所は、「注目のトピック」としてBaaS(Blockchain as a Service)ソリューション提供が開始されたことも挙げている。BaaSは、ブロックチェーン基盤からアプリケーションの構築まで支援するサービスだ。ブロックチェーンの各分野では大手IT事業者や国内スタートアップが実証実験を進めているが、ブロックチェーン基盤やアプリケーションの構築を支援するサービスはまだ十分とは言えない状況だった。
米金融大手バンク・オブ・アメリカのリサーチャーKasthuri Rangan氏によると、現サーバーの2%がブロックチェーンに置き換わることによってBaaS市場は70億米ドルに達すると試算されている。矢野経済研究所は、将来的に2017年度から2022年度における5年間の年平均成長率(CAGR)は108.8%になると予測しており、2019年度以降については商用化に向け、効果検証フェーズや本格的な商用化フェーズへと移行するサービスが増加するとの見通しだ。
現在、ブロックチェーン活用に向けた実証実験は世界各地で欧米を中心に進められている。世界的に広まるブロックチェーン活用事業にプレゼンスを示すためには、日本発のブロックチェーンコンソーシアムの立上げが期待されると同社は締めくくっている。
【参照記事】2019年度の国内ブロックチェーン活用サービス市場規模は171億円の見込、2022年度には1,235億円に達すると予測 ~実証実験から商用化への移行度合いが市場拡大のカギ~
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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