運用額6.8兆米ドルを誇る世界最大手の資産運用会社ブラックロックは1月9日、気候変動への取り組みを促すグローバルの投資家イニシアチブ「Climate Action 100+」に加盟した。
Climate Action 100+にはすでに370を超える投資団体が参加しているが、今回のブラックロックの加盟によりClimate Action 100+の運用資産総額は41兆米ドルを超えた。
Climate Action 100+は現在161の企業をエンゲージメント対象としている。うち100企業は世界の産業用温室効果ガスの年間排出量の2/3を占めておりている。また、残り61企業はクリーンエネルギー移行を促進する大きなチャンスがある企業を選定している。
同イニシアチブに署名した投資家は、パリ協定で合意された目標に基づき、バリューチェーンにおける温室効果ガス削減に向けたアクションをとること、 取締役会の説明責任を明確に示し、気候変動のリスクと機会を監督する、強力なガバナンスを実行すること、TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)に基づき、一層の情報開示を行うことなどを企業に求めている。
Climate Action 100+運営委員長でマニュライフ・インベストメントのESG リサーチ・統合マネージャーを務めるEmily Chew氏は、「ブラックロックは世界で最も影響力が大きい資産管理会社のため、Climate Action 100+を通して投資家からの関与は今後さらに促進されるだろう。この取り組みを BlackRockと共に成功に導けるようにすることを期待し、気候危機に対して必要なアクションを早急に企業に取ってもらえるように務めていきたい」と語った。
ブラックロックは今回の加盟に続き、2020年半ばまでに石炭関連企業への投資を大幅に削減し、ESG関連のETF(上場投資信託)の数を倍増する考えも公表している。世界最大の資産運用会社が明確に気候変動へと舵を切ったことで、企業のESGの取り組みはますます加速することになりそうだ。
【参照記事】BlackRock joins Climate Action 100+ to ensure largest corporate emitters act on climate crisis

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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