BlackCrow Capital(ブラッククローキャピタル)合同会社は11月10日、PRI(責任投資原則)への署名を実施したと発表した。同社は「労働人口減少と高齢化」という日本が抱える大きな社会課題をスタートアップのイノベーションによって解決を図る「インパクトフル」ファンドで、署名は国内ベンチャーキャピタルとして初となる。
ブラッククローキャピタルは「労働人口減少と高齢化による社会課題をスタートアップのイノベーションで解決する」ことを目指し、2019年11月設立。社会課題解決に軸足を置いた投資活動を行うことをミッションとして掲げる。一方で、社会課題解決に寄与するNPO(非営利団体)にとどまらず、投資家としての受託者責任も果たす存在を志向している。
PRIは2006年、当時の国際連合事務総長コフィー・アナン氏が機関投資家 21 機関に作成を呼びかけ、提唱した国際的イニシアティブ。投資家側にESGの観点を重視させることで、企業が短期主義に陥ることを防ぐ目的がある。署名した事業者は、6つの原則にコミットし、自身の事業にESG課題の解決プロセスを組み込み、実践する。6つの原則は、署名した事業者に①投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込む②活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と所有慣行にESG課題を組み入れる③投資対象の主体に対してESG課題について適切な開示を求める④資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行う⑤本原則を実行する際の効果を高めるために協働する⑥本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告する――と示す。署名した事業者には署名翌年以降から毎年、PRI のフレームワークに従って活動報告することが義務付けられ、活動報告の結果はレポートとしてウェブサイトで公開される。
「PRI(責任投資原則)のポリシーはまさに当ファンドの考えるポリシーと合致しており、当ファンドの考え方をより多くの人に、よりシンプルに伝えるために、署名は最良の手段」と同社は話す。「グローバルではESG課題に取り組んでいる企業への投資パフォーマンスの方がESG課題に取り組んでいない企業への投資パフォーマンスより上回っている傾向が証明されつつあり、国内でもGPIFのESGレポートでは、TOPIX(東証株価指数)よりもESG指標のパフォーマンスが良いことが証明され、国内の機関投資家にもESG課題への取り組みを投資ポートフォリオの必須条件にする会社が増えている」ためだ。
現在、PRIに署名しているのは世界3457社、日本では85社(アセットオーナー23社、運用期間52社、サービスプロバイダー10社)。同社は「労働人口減少と高齢化による社会課題の解決とベンチャーキャピタルファンドとしての受託者責任を両立させ、社会的リターンと経済的リターンを融合した投資対リターンの最適化を実現していきたい」としている。
【参照リリース】【ブラッククローキャピタル】国内ベンチャーキャピタルで初めてとなるPRI署名を実施
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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