インパクト投資は、世界が抱える大きな社会的・環境的課題の解決と運用リターンを追求する強力な手法として台頭しつつある。アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社は「上場資産投資によるインパクトの創出」と題したレポート(日本語版は9月1日に公表)で、上場資産へのインパクト投資に対するためのアプローチについて明示した。株式投資では「インパクト・リーダー」と「インパクト貢献企業」への資本配分、債券投資では、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドの枠組などを解説している。
インパクト投資の枠組は、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)を2030年までに達成するという緊急の必要性を中心に形成されている。インパクト投資が上場資産を通して実施された場合の有効性については議論が交わされている。同社は、明確に定義された重要業績評価指標(KPI)がほとんど見当たらないこと、業界で合意されたインパクト投資基準がないことなどを課題に挙げる。そのうえで「障害があるとしても、あらゆる上場資産クラスでインパクト投資を確固として行うことは可能であり、業界共通基準に影響を及ぼすという点で当社がリーダーシップを発揮できる」とする。
株式投資では、2つの重要なアプローチとして「インパクト・リーダー」と「インパクト貢献企業」への資本配分と、焦点を絞った投資家エンゲージメントを通じて企業に変化を引き起こすことを提案する。インパクト・リーダーは、現在および将来においてポジティブな社会的インパクトを生み出す。一方、インパクト貢献企業とは「社会的または環境的に大きなポジティブ・インパクトを検証可能な形で生み出しているが、インパクト・テーマとの整合性の程度(ごく一部の売上高のみが SDGs に貢献し、残りの事業はほぼ中立的)などが考慮されたために、インパクト・リーダーの地位を得ていない企業」を指す。
アクサIMにおける上場資産へのインパクト投資は①意図(Intentionality)②重大性(materiality)③追加性(Additionality)④負の外部性(Negative externality)⑤測定可能性(Measurability)を5本の柱としている。このうち、負の外部性とは「企業の実務慣行または製品・サービスは、他で生み出されているポジティブなインパクトを著しく損なう場合がある」ことで、不祥事への関与や、事業活動における石炭の広範な使用などを例示。「重要なのは、負の外部性と、それに対処することへの企業のコミットメントが、ポジティブな成果と併せて十分に考慮されること」と複眼的な評価を提唱する。
さらに、株式投資の方法論として①製品・サービス②研究開発③事業運営④「企業の社会的責任」(CSR)への取り組み⑤負の外部性の5つのカテゴリーに区分。今後の投資では「企業関連のさまざまなインパクト指標または重要業績評価指標(KPI)を特定し、追跡することを目指す」という姿勢を打ち出している。
【関連サイト】アクサ・インベストメント・マネージャーズ「上場資産投資によるインパクトの創出」
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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