Amazon、欧州で自動梱包機を大規模導入 廃棄物削減と配送効率化を推進

Amazonは5月7日、ヨーロッパの物流ネットワークにおいて、顧客への梱包を改善し廃棄物を削減するため、先進的な自動梱包技術を導入すると発表した。これは同社にとってヨーロッパにおける持続可能な梱包への最大の投資であり、特注の箱を作る技術をヨーロッパで初めて導入するという。

Amazonは、数百万件の顧客配送における梱包量を削減するため、数百台の自動梱包機をヨーロッパのフルフィルメントセンターに設置する計画だ。今年末までにドイツ、英国、フランス、イタリア、スペインのフルフィルメントセンターに70台以上が設置され、2027年までにはさらに多くの機械が導入される予定である。このジャストサイズの梱包は、資材使用量を最小限に抑え、廃棄物をなくし、車両スペースを最大限に活用することで、より少ない車両での配送を可能にし、配送時の排出量削減に貢献する。

導入される主要な技術の一つは、リアルタイムで特注の段ボール箱を製造するシステムだ。従業員が商品を機械に置くと、センサーが商品の寸法を測定し、自動的に最適なサイズの箱が製造され、配送ラベルも直接貼付される。これにより、特に保護が必要な重い商品や壊れやすい商品の梱包が効率化される。

また、オンデマンドでジャストサイズの紙袋を製造する技術も展開する。この機械は、元々プラスチック袋製造用だったものをAmazonの梱包エンジニアが改造したもので、注文品の寸法をセンサーで測定し、耐久性と耐候性のある紙とヒートシール技術を用いて適切なサイズの保護袋を作成する。この技術はドイツと英国のフルフィルメントセンターでテストされた後、両国に加えフランス、イタリア、スペインにも展開される。この紙袋を使用することで、1配送あたり平均26グラム以上の梱包材を削減でき、Amazonが使用する軽量紙袋は同サイズの段ボール箱と比較して最大90%軽量である。

さらに、革新的なラベリング技術「Universal Robotic Labeller」も導入する。これは高速自動ラベリング機で、標準ラベルより最大75%小さいラベルを、不規則な形状の商品を含む様々な荷物に貼付できる。これにより梱包寸法が縮小され、資材全体の利用量が削減される。ラベルは紙袋や、商品自体のパッケージで配送される商品に直接貼ることも可能で、Amazonによる追加梱包が不要になる場合もある。

Amazonはこれまでも梱包廃棄物の削減に積極的に取り組んできた。ヨーロッパでは、Amazonの配送の2件に1件が箱なしで届けられ、紙袋や段ボール封筒といった削減されたリサイクル可能な梱包材が使用されている。また、2019年以降、10億件以上の配送が「Ships in Product Packaging」プログラムを通じて追加の梱包なしで届けられた。同社は2015年以降、1配送あたりの平均梱包重量を43%削減しており、これは300万トン以上の梱包材を削減したことに相当する。

今回のAmazonによる大規模な自動梱包技術の導入は、Eコマース業界における梱包廃棄物という長年の課題に対する具体的な解決策を示すものだ。技術革新を通じて環境負荷低減と効率化を両立させるこの動きは、他の事業者にとっても参考となり、業界全体の持続可能性向上に貢献することが期待される。

【プレスリリース】Amazon to deploy automated packaging machines across Europe, reducing waste for millions of customer orders

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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