アパレルメーカーの株式会社アダストリアは6月11日、展開するアップサイクリングブランド「FROMSTOCK(フロムストック)」のオンラインショップをオープンした。フロムストックは大量生産・消費・廃棄というアパレル業界が抱える社会課題に対するアプローチのひとつとして今年2月にローンチ、ブランドショップ「SCRAPBOOK(JEANASIS)」と「HARE.JP」でポップアップストアを展開した。環境に配慮した設備を整えた染工所である大染と組み、シンプルでロスの少ない「黒染め」を施すことで、着られることのない“倉庫の服”を蘇らせ、キズや汚れも含めて新しい価値に転換していこうという取り組みだ。
フロムストックは、“黒染め”という手法を選んでいる。プロセスがシンプルで新たな廃棄物が出ない上、元の洋服にダメージがあっても、黒染めによって独自の風合いへと変化するという点に着目した。洋服の素材や特性に合わせ、染めの種類を使い分け、一品一品異なる仕上がりを作り出している。黒染めを経て、一点ものとなる仕組み。「洗練された黒の様々な表情は、洋服が持つ無尽蔵でタフな生命力を表現している」と同社は言う。

黒染のような「染料染め」は、綿素材には浸透しても、ポリエステル糸のステッチ部分やラバープリント部分は染まらない。一方、 「顔料染め」は化学繊維まで染まり、カジュアル感や洗いざらしの風合いを楽しめる。
同社は自社で実践する「アップサイクリング」について、創造的再利用(クリエイティブ・リユース)と説明する。単なる廃棄物の原料化や回収再利用ではなく、より価値の高いものを生み出すことを目的としている点で、通常のリサイクルと大きく異なる。「時代の不確実性により、人々の価値観が日々変わっている中、生産・消費・廃棄という一方通行の仕組みではなく、循環型のファッションの楽しみ方を、お客さまと共に作り上げていく」としている。
価格帯はTシャツ・カットソーが3000円~8000円、シャツ・ブラウスが5000円~9000円、ボトムス6500円~1万円、ワンピース4000円~1万2000円と、「グローバルワーク」など、同社の他ブランドと大きな差はない。
同社は、社内外のリソースの組み合わせ、オープンイノベーションを推進している。既存事業とのシナジーと新規事業モデルの創出を、スピード感を持って開発する機能として「アダストリア・イノベーションラボ」を設立。フロムストックのほか、子ども服の“おさがりシェア”サービス「KIDSROBE」など、ファッションとテクノロジーを掛け合わせた新サービスを開発・展開している。
【関連サイト】FROMSTOCK(フロムストック)オンラインショップ

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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