米石油大手オキシデンタル・ペトロリアム傘下の炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)企業1PointFive社は7月9日、米マイクロソフトと二酸化炭素除去(CDR)クレジット契約を締結したと発表した(*1)。6年間で50万トンのクレジットを販売し、DACによる排出枠取引としては過去最大規模となる。
マイクロソフトへのCDRクレジット供給は、1PointFive初の商業規模のDAC施設として現在建設中のSTRATOSを通じて行われる。クレジットの基礎となる回収された二酸化炭素(CO2)は、地下の塩水層によって安全に貯留され、石油やガスの生産に使用されることはない。
1PointFiveのマイケル・エイブリー社長兼ゼネラルマネージャーは「このような大規模なコミットメントは、世界有数の大企業がスケーラブルなDACをネットゼロ戦略にいかに組み込んでいるかを示すものだ。テクノロジー業界全体のエネルギー需要は増加しており、DACは残留排出物を除去し、気候変動目標を達成するのに適していると確信している」と述べた(*1)。
マイクロソフトの炭素除去・エネルギー担当シニア・ディレクターを務めるブライアン・マーズ氏は「今世紀に必要とされるギガトン規模の除去を達成するためには、STRATOSのような他に類を見ないプロジェクトが、パイロットからスケールアップするために不可欠である。DACは、マイクロソフトの炭素除去ポートフォリオにおいて重要な役割を果たし、2030年までにカーボンネガティブを達成するという我々の目標を支えている」とコメントしている(*1)。
1PointFiveは、20年にオキシデンタル傘下のCCUS企業として立ちあげられた。Carbon Engineering社のDACおよびAIR TO FUELS™技術、地中貯留ハブを含む脱炭素ソリューションを展開する。
DACは、大気から二酸化炭素(CO2)を直接除去するプロセスである。1PointFiveのDACプラントは、1プラントあたり年間100万トンもの大量のCO2を除去するよう設計されている。
回収されたCO2は、同社の地中貯留ハブに安全かつ確実に貯留され、CDRクレジットを生成したり、精製して燃料合成やその他の目的に利用したりすることができる。大規模な排出、特に削減が困難な産業からの排出に対処するための透明で耐久性のある方法を提供する。
親会社のオキシデンタルは、大規模なCO2輸送、利用、貯留における数十年の経験を持ち、低炭素イニシアチブを推進する上で有利な立場にある。1PointFiveの炭素除去・隔離ソリューションは、オキシデンタルの炭素排出に対処するとともに、他の企業が同様のことをするのを助けることができる。
ネットゼロを達成するためのソリューションとしてDACの採用が増加しており、24年1月には米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)ともCDRクレジット契約を締結した。
【参照記事】*1 1PointFive「1PointFive Announces Agreement to Sell 500,000 Metric Tons of Direct Air Capture Carbon Removal Credits to Microsoft」
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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