サステナブルファッションとは?ユナイテッドアローズやアダストリアの取り組みも紹介

ファッションは、私たちの生活を彩ってくれます。流行を取り入れつつも安価なファストファッションが充実していることや、SNSなどでおしゃれなコーディネートを簡単に見られることから、気軽におしゃれを楽しむことができます。

一方でアパレル業界は、大量消費・大量廃棄のビジネスモデルが広がったことにより、環境負荷がきわめて大きい産業と言われています。今回はファッションの問題点と、未来に向けてできることについて取り上げます。

※本記事は2023年10月11日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. アパレル業界の問題点
  2. サステナブルファッションとは?
  3. 企業取組事例
    3-1.株式会社ユナイテッドアローズ
    3-2.株式会社アダストリア
    3-3.株式会社ゴールドウイン
  4. 私たちにできること
    4-1.手持ちの服を整理する
    4-2.服の手放し方を工夫する
    4-3.服の買い方に気をつける
    4-4.投資で企業の良い取り組みを応援する
  5. まとめ

1.アパレル業界の問題点

衣服は、天然繊維・化学繊維・プラスチック・金属など、さまざまな素材からできています。原材料はほとんど海外からの輸入品で賄われているのが現状です。

衣服のサプライチェーンは非常に長く複雑であり、その分環境負荷も甚大となります。衣服1着を作る際、CO2排出量は25.5kg、水の消費量は2300ℓと言われ、負荷の大きさが想像できるでしょう。

環境負荷だけではありません。安価な衣服は、コストを抑えるために賃金の安い新興国で製造されることが多く、労働者の低賃金や長時間労働なども問題になっています。行きすぎたコストカットの結果、2013年にバングラデシュの縫製工場で崩壊事故が発生し、死者1000人以上を出す惨事となりました。

さらに、ファストファッションが普及したことにより、服の消費サイクルは短期化しています。1人あたりが年間で購入する服の数は平均18着、手放す服は12着、使われない服は25着と言われています。購入数が手放す数を上回っており、使用されず無駄になる衣服もかなりの数であることが伺えます。クローゼットで眠っている服は、環境や人々に負荷をかけて作られたものかもしれません。

2.サステナブルファッションとは?

2021年、環境省は「SUSTAINABLE FASION これからのファッションを持続可能に」というレポートを発表しました。この中で「サステナブルファッション」とは、「衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのこと」と定義されています。生産や廃棄の行程に留まらず、アパレル業界全体として、環境・人・社会に配慮することが求められているのです。

参照:環境省「サステナブルファッション

2021年8月には、「サステナブルファッションアライアンス(JSFA)」が設立されました。設立の目的は、個社では解決が難しい課題に対し、共同で解決策を導き出していくことです。

ファッション・繊維業界に共通する課題の解決や、業界をサステナブルなものに移行するための取り組みが行われています。当初11社で設立されましたが、現在は正会員23社、賛助会員39社と、取り組みの輪は広がっています。(2023年10月時点。)

3.企業取組事例

それでは、サステナブルファッションに関する企業の取り組み事例を具体的に見ていきましょう。前述のJSFA加盟企業のうち、上場企業の中から3社、ピックアップしてご紹介します。

3-1.株式会社ユナイテッドアローズ

同社は、2018年から「RE(再生)プロジェクト」を本格的にスタートさせました。この試みは、「もったいない」から始まりました。

基準に満たないため従来は販売できなかった商品や、店舗で使用していたものの使われなくなった家具や什器を、リペアして販売する取り組みです。基準外の服飾品は、主にイベント出店などによる販売、家具などは、「FLYMEe」などのECサイトで取り扱われています。

同社の店舗はもともとディスプレイにこだわりが詰まっています。しかし、店舗の移転や改装等によって、せっかくの家具や什器を手放さなくてはならない状況はやむを得ません。捨てるのではなく、使われてきたことによる味わい深さを残しつつ、次の持ち主に繋いでいくことは、アップサイクルの好事例です。

また同社は2022年10月、サステナビリティ活動を「SARROWS」とネーミング、サステナビリティの数値目標も策定しました。リサイクル材などを使用した「環境配慮商品」の割合を増やすことも盛り込まれています。

2022年春夏商品ではまだ2.0%という数値を、2030年までに50%にすることが目標となっています。さらに、「ESG DATA BOOK」の公開も開始し、投資家向けの情報公開も充実しつつあります。

3-2.株式会社アダストリア

同社は、サスティナビリティにかかる重点テーマとして、「環境を守る」「人を輝かせる」「地域と成長する」の3つを掲げています。特に環境については、ファッションロスのない世界を目指して、適量生産に取り組んでいます。

参照:アダストリア「サステナビリティ重点テーマ

売上状況に応じて残在庫から仕入計画を立てるOTB(Open to buy)管理の徹底、過剰な値引きやセールを抑制し在庫量と価格をコントロールしていること、売れ残りはアップサイクルや二次流通等への再販を実施することで、残在庫の焼却廃棄ゼロを達成しました。

アップサイクルとしては、ロスの少ない黒染めを活用した「FROMSTOCK」を2020年から展開しています。ダメージを逆に魅力へと変化させることで、ファッションロスの削減に役立てています。

また、同社は2020年にサステナブルな社会とアパレルサーキュラーエコノミーを実現するために子会社「株式会社ADOORLINK」を設立しました。翌年からスタートした「O0u(オー・ゼロ・ユー)」は、環境に配慮した素材と製造技術にこだわり、製品ごとのCO2排出量と水使用量を開示している透明性の高いブランドです。

適量生産、アップサイクルにも努めており、あらゆる角度からアパレル業界の持つ課題を解決しようとしていることが伺えます。

3-3.株式会社ゴールドウイン

株式会社ゴールドウインは、ザ・ノースフェイスに代表される、スポーツブランドを取り扱うアパレルメーカーです。サステナビリティに関する取り組みは、以下の3つにカテゴライズされています。

  • どのブランドの服でも回収し、再生する「GREEN CYCLE」
  • 環境に配慮した原料を使用する「GREEN MATERIAL」
  • 長く使用してもらえるものづくり、リペアサービス、買取と販売を行う「GREEN MIND」

長く使用できる服づくりとしては、たとえば成長に合わせて袖丈、裾丈を伸縮調整できるキッズウエアや、産後も子供と一緒に着用できる機能を持つマタニティウエアなど、生活者の「もったいない」を解決するような製品を開発しています。

リペアサービスは、過去に販売した全ての商品が対象となっており、年間約14,000点のリペアを実施している実績があります。服の消費サイクルを長期化した上で、リサイクルシステムや原料にこだわることで、販売ロス率は2017年の5.6%から2021年には1.5%、製品回収実績は、同3,199kgから9,429kgに改善しています。

4.私たちができること

ここ数年で、さまざまな企業が取り組みを進めていますが、私たちの行動も重要です。どんなことができるでしょうか。

4-1.手持ちの服を整理する

前述したように、1人が持つ服の中で、1年間に1回も着てもらえない服の数は、平均25着と言われています。不要な服が溜まっていると、服を買い足す際にどんなものが必要かわからなくなり、着ない服が増える悪循環になります。まずは手持ちの服を整理し、着ない服は手放すことで、持っている服の稼働率を高めましょう。

4-2.服の手放し方を工夫する

昨今はフリマアプリなどの発達により、不要品を人に譲りやすい環境になりました。しかし、いまだに服の手放し方の大半はごみとして捨てる方法です。その量は、年間で48万トン以上です。

企業が取り組む古着の回収サービスや、行政の資源回収なども活用することで、量を減らしていくことができます。より良い未来につながる手放し方を選びましょう。

4-3.服の買い方に気をつける

「流行っているから」「なんとなく素敵だから」だけで服を選ぶ時代は、もう終わりかもしれません。自分を彩ることも大切ではあるものの、環境や人への負荷が高い品物ではないかということも気にかけることで、服の買い方も改善することができます。どのように作られた服なのかを調べてみることから始めてみると良いでしょう。

4-4.投資で企業の良い取り組みを応援する

企業が大量生産・大量廃棄のビジネスモデルから脱却するためには、想像以上の資金と長い時間が必要です。共感できる活動をしている企業に対して投資で応援することも、私たちにできることのひとつです。企業を資金面で応援する人が増えれば、さらに有意義な活動につながっていくかもしれません。

5.まとめ

アパレルは、環境・人・社会への負荷が大きい産業として問題視されてます。しかし、政府の呼びかけや企業努力により、だんだんと変わり始めています。もったいない気持ちを行動につなげていけば、未来を良くする大きな力になるでしょう。

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松尾 千尋

名前:まつおちひろ 金融機関に14年ほど勤務。大学卒業後は、都市銀行で資産運用コンサル業を担当し、FP1級を取得。外資系保険会社に転職後、クレジットアナリストとして投資先の調査・分析・レポート執筆などを行い証券アナリスト資格を取得。現在はライターとして独立し、金融・ESG・サスティナビリティに関する記事を中心に幅広く執筆活動を行う。別分野では、整理収納アドバイザー・インスタグラマーとしても活動中。/ Instagram : @mer_chip310