森林整備プロジェクトとNFTを紐付けた「MORI NFT」とは?

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参照:MORI NFT

目次

  1. MORI NFTとは?
  2. MORI NFTの仕組み
  3. MORI NFTの変遷と展望

MORI NFTとは?

MORI NFTは森林整備事業によって整備された土地に紐づいたNFTを発行することで、CO2吸収量を向上させ、ホルダーに対してカーボンオフセットのソリューションを提供するプロジェクトです。MORIと呼ばれるNFTを購入することで、森林整備を行う土地のCO2吸収権を得ることができます。

まず簡単に「森林整備」について説明します。森林整備とは森林が有する機能を維持させるために必要な作業のことです。森林は水を蓄える機能や土砂崩れを防止する機能、光合成によりCO2を吸収する機能などを有しています。これらの機能は森林の手入れを行わないと大きく低下してしまうため、整備を行うことで機能を維持していく必要があります。具体的には人工造林、枝打ち、間伐などといった作業があります。

人工造林とは、苗木の植え付けや種子の播き付けなど、人為的な方法によって森林を造成する作業のことです。枝打ちとは、樹木の枝を幹から切り落とす作業のことです。人工林の生育環境を整えたり、林内に太陽の光が行き渡りやすくなることで下草や低木の成長を促すことができます。間伐とは、森林の成長に応じて樹木の一部を伐採し、過密となった林内密度を調整する作業のことです。これにより林内に十分な光を入れることができます。

MORI NFTを発行するJE FOREST INC.は林業に精通しており、上記で紹介した森林整備によってCO2吸収量を増加させ、NFTを使って誰もがアクセスしやすいカーボンクレジットの仕組みを提供しています。日本国内にはJクレジットと呼ばれる公的なカーボンクレジットが既にありますが、厳格な認証手続きが必要で発行までに多くの時間と費用がかかってしまいます。それに加えて、この制度は個人がカーボンクレジットを購入できる仕組みが充分に整っていないという課題も抱えています。MORI NFTは森林整備された土地をNFTとリンクさせることで、その土地が吸収したCO2の吸収権をホルダーに提供しています。ホルダーはNFTを保有するだけで、森林が吸収したCO2を得ることができるため、従来のカーボンクレジットと比較してよりアクセスしやすい仕組みとなっています。

MORI NFTの仕組み

では、MORI NFTの仕組みについて具体的に見ていきます。

MORIの経済圏

森林整備された土地のCO2吸収権を表すNFTはMORIと呼ばれます。MORIを保有することで、その土地から吸収されたCO2をiGreenというNFTとして自動的にドロップされる仕組みになっています。MORIとiGreenを活用することによって、以下のようなメリットがあります。

  • MORIを保有することでCO2削減に貢献することができる
  • MORIの保有で得られたiGreenを使ってカーボンオフセットを行うことができる
  • NFTを活用することでカーボンオフセットの実績をオンチェーン上で証明することができる
  • MORI保有者はマーケットプレイスでiGreenの販売を行い、利益を生み出すことができる
  • 企業や個人がiGreenを通じて従来の方法と比べて簡単にカーボンオフセットを行うことができる

このようにMORI保有者はドロップされたiGreenをカーボンオフセットに使うこともできますし、マーケットプレイスで販売して利益を生み出すこともできます。

MORI

MORIは1つの森林整備プロジェクトに対して1シリーズのMORIが発行されています。2023年3月に広島県庄原市の森林整備プロジェクトに紐づいたMORIが販売されました。マーケットプレイスはOpenseaが使われ、販売された150個のMORIが全て完売しています。

参照:@MORI__NFT

Xに投稿されている写真はMORIの第一弾シリーズである広島県庄原市の森林整備の様子です。MORIを購入することで森林整備プロジェクトに貢献し、そこから生み出されるカーボンクレジットを使ってオフセットに役立てることができます。

iGreen

iGreenはMORIの所有者に対して、各MORIに紐づく森林整備プロジェクトによって削減されたCO2を表しています。iGreenはMORIを保有するだけで自動的にドロップされる仕組みとなっています。1つのiGreenは1kg分のCO2吸収量に相当し、現実の森林のCO2吸収量を専門家が測定した上でドロップされます。

iGreenはMORI NFTの公式サイトでMetamaskを接続することで簡単にバーンすることができます。CO2排出量削減に貢献したい個人や企業がウォレットを接続するだけで、簡単にカーボンオフセットできる仕組みとなっています。バーンすることでカーボンオフセットとみなされ、その履歴はブロックチェーン上に記録されます。加えて、iGreenはカーボンオフセットだけでなくOpenseaなどのマーケットプレイスで販売することも可能です。MORIを保有していない個人や企業はOpenseaでiGreenを購入し、オフセットに使うことができます。

このようにMORI保有者はiGreenをオフセットとして利用するだけでなく、iGreenの販売によってインセンティブを得ることができ、地球環境への貢献と経済的インセンティブの両立を実現することができます。

MORI NFTの変遷と展望

MORI NFTの第一弾である広島県庄原市のプロジェクトは2023年3月27日に行われました。30個の販売からスタートし、1ヶ月足らずで全てのNFTが完売しました。(現在は150個のNFTがOpenseaで完売しています)

参照:@MORI__NFT

将来的にはMORIのホルダー同士がコミュニティを形成するプラットフォームの構築やメタバース上のLANDアイテムとしてMORIを活用していく予定となっています。

筆者としてはMORI NFTをリサーチしていく中で、ReFiに懸ける覚悟を感じました。MORI NFTは実際の森林と紐づいたNFTを発行しているため、他のNFTプロジェクトに比べて維持費がかかったり、発行数に限りがあるといった制約があります。実際にMORI NFTが運営するnoteの記事でもそのことが言及されていました。リアルの資産と連動しているからこそ、どうしても成長がゆっくりになってしまいます。

しかし、世の中は脱炭素化へ既に動き出していますし、従来のカーボンクレジットでは個人が購入できる仕組みが確立されていないという問題があります。MORI NFTはブロックチェーンを活用することで、個人や企業が従来の方法よりも簡単にカーボンクレジットを購入できる仕組みを提供し、ホルダー同士の結びつきを強めるためのコミュニティも構築しています。このような新しい取り組みを実現させることで、より多くの人に環境貢献をするきっかけを与えることができますし、これはブロックチェーンにしかできないことです。現実の森林とNFTを紐づけることで他のNFTプロジェクトと比べて成長が遅くなってしまいますが、長期的にはカーボンクレジットの需要も上がっていくはずなので、今後大きなビジネスへと発展していく可能性があります。

MORI NFTには日本のReFiプロジェクトとして頑張ってもらいたいですし、これからの新しいNFTシリーズにも注目していきたいと思います。