今回は、BITPointで新たに上場を果たしたJASMY(ジャスミー)について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- ジャスミーとは?
1-1. ジャスミーの概要
1-2. 企業理念は「データの民主化」
1-3. Jasmy IoT Platformのエコシステム - ジャスミー社の事業・サービス
2-1. IoT化戦略支援とプラットフォームの提供
2-2. セキュアなデータ分析環境の提供
2-3. セキュアナレッジコミュニケーター(SKC)
2-4. スマートガーディアン(SG) - ジャスミー(JMY)の概要と購入方法
3-1. 仮想通貨ジャスミーコイン(JMY)の概要
3-2. BITPointでのみ購入可能 - まとめ
2021年10月7日には米Coinbaseで、10月26日にはBITPointで日本初の上場を果たし、いま話題となっている仮想通貨が「ジャスミー(JMY)」です。本稿では数少ない日本企業が発行する仮想通貨として将来性が期待されるジャスミーについて解説していきます。
1. ジャスミーとは?
初めにジャスミーの概要について解説します。
1-1. ジャスミーの概要
ジャスミーは日本法人であるジャスミー株式会社により発行されているERC20企画のトークンとして生まれた仮想通貨です。ジャスミー株式会社は、IoT(Internet of things/インターネット・オブ・シングス)の技術開発を行う企業で、2016年に東京で設立されました。ソニーの代表取締役であった安藤国威 氏をはじめ、経営陣も元ソニーグループ会社のトップ層が務めています。
同社は2018年、Amazonや中国のワンダグループとの提携を結ぶセントラリティと提携を結んでおり、IoTネットワークの大規模な普及を目指していることでも知られています。
1-2. 企業理念は「データの民主化」
ジャスミー社の企業理念は、「データの民主化」とされています。
この背景には普及遂げたWeb2.0によってもたらされた問題意識があります。Web2.0によって誰もがWebで情報を発信できるようになり、インターネットサービスは飛躍的に質が高まりました。その一方で、個人情報が特定のネット大手企業に集中し、情報は中央集権的に管理されることでセキュリティの問題も無視できないものとなっています。
GAFAと呼ばれる一部の大企業に行動履歴や嗜好に関するデータが本人の意思と反して蓄積されているという話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。こうした企業による情報管理・セキュリティシステムは特定のサーバー群に情報が蓄積されているため、サイバー攻撃を受けやすく、実際に個人情報の流出のニュースを目にすることも一度や二度ではないかと思います。
この問題点に着目し、ポルカドットなどの多くのブロックチェーンのプロジェクトがローンチされていますが、ジャスミー社もこの点に注目し、本人が意図しない個人情報の流出を防ぎ、中央集権的な現在の仕組みから個人情報データを守ることを「データの民主化」と呼んでいます。
1-3. Jasmy IoT Platformによる新たなデータ経済圏
現在の中央集権的なデータ管理の仕組みでは、蓄積されたユーザーのデータが分析されサービスの向上という形で還元されていますが、これはデータそのものが経済的な価値を持つという意味にもなります。ジャスミーのエコシステムでは、個人情報の管理をその所有者に任せることにより、個人情報を個人資産として扱えるエコシステムの構築を目指しています。
ジャスミーは、ジャスミー社が運用するエコシステムの中で使用されるトークンで、その価値向上はジャスミー社の事業展開と結びつくところがあります。そこで、次にジャスミー社の事業内容について解説していきます。
2. ジャスミー社の事業・サービス
2-1. IoT化戦略支援とプラットフォームの提供
ジャスミー社の事業の中核的な存在が、IoT化戦略支援と同社が開発提供するIoTプラットフォーム「Jasmy IoT Platform」の提供、IoTデバイスの提供です。
IoTプラットフォームはIoT機器に対してデバイスの管理や操作をする基盤となるもので、IoTデバイスとはIoTプラットフォームからの遠隔操作のためのコマンドを傍受してコントロールしたい端末へコマンドを送ったり、端末の状況をプラットフォームにフィードバックする機能を持っています。
ジャスミー社は、これらのシステムを運用するアプリケーション開発のための開発環境の提供や、IoT化を図りたい企業に対して製品企画からIoTの導入支援まで一括してサポートしています。
2-2. セキュアなデータ分析環境の提供
ジャスミー社では、IoT化に伴いプラットホームに蓄積されたデータを分析活用できる環境も提供しています。
現在の中央集権的なデータ管理の仕組みの場合、行動データに個人情報が紐付いておりプライバシーの保護が図れません。しかし、Jasmy IoT Platformを利用することで、個人が特定できないプライバシー保護に留意した行動データなどの分析が可能となり、ある会社のIoT化で蓄積されたデータと別の会社で蓄積されたデータなどをビッグデータとして組み合わせることにより、AI開発に必要なディープラーニングなどの精度を高めることも期待されています。
2-3. セキュアナレッジコミュニケーター(SKC)
SKCは、Jasmy IoT Platformの二つあるコアサービスのひとつです。これは、基本思想である「データの民主化」に基づき、生活の中から生まれてくる様々な個人に帰属するデータを個人のものとして安全に一元管理するためのサービスです。
Web2.0においては、本人の許諾のもととはいえ、自身にまつわる多くの情報が各企業に提供され、各社のデータベース内で管理されていました。
Jasmy IoT Platformは個人に帰属するデータは自身のものとして、自身で管理できる仕組みを構築し、IoT機器の所有者やサービスを受けるユーザー個人が、自身にまつわる情報を企業への情報提供の可否を含めて、自らが制御・コントロールできる環境を実現しています。これにより、企業側においても、様々なデータや個人情報を常に自社で保持することなく、ユーザーが望む形で必要なときに適宜利用することを可能としています。
2-4. スマートガーディアン(SG)
SGは、Jasmy IoT Platformのもう一つのコアサービスで、SGの使用によってIoT機器を簡単かつセキュアに独自ブロックチェーンプラットフォームに登録し、同時に持ち主のユーザーしか使用できない環境の実現が可能です。
そのため、あるデバイスを使用する際に、ユーザーは安心してデータの送受信や遠隔操作の為のコマンドの授受ができます。また、独自のブロックチェーンと分散管理型ストレージの二重構造でセキュアにそれらのデータを保管・管理できる環境も提供しています。
3. ジャスミー(JMY)の概要と購入方法
最後にジャスミーコインの概要と、購入できる国内取引所について解説します。
3-1. 仮想通貨ジャスミーコイン(JMY)の概要
今回、BITPointで上場するジャスミーのティッカーシンボルは「JMY」です。2021年10月26日現在の価格は1JMY=12.84円、時価総額は約817億円で、時価総額ランキングは2,702位です。発行済み枚数は約63.86億枚で、発行上限は500億枚とされています。
ERC-20準拠のトークンであるため、トークンの特徴としてもイーサリアムに準拠したものとなります。
3-2. BITPointでのみ購入可能
ジャスミーは、10月26日よりBITPointの販売所でのみ購入できるようになっています。購入方法はBITPointの口座開設を完了させた後、 現物取引のページに入り「ジャスミー(JMY)」を選択して購入手続きを行うのみで購入が完了します。
まとめ
現在、BINANCEでも上場されるという噂があるようですが、今のところははっきりとはしていないようです。いずれにしてもJMYの価値向上のポイントは、Jasmy IoT Platformがどれだけ広く活用されるかという点になってくるでしょう。日本初の仮想通貨として、今後の成長を期待したいところです。
中島 翔
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