Web3とブロックチェーン技術を活用した障害者支援事業を広く行う「株式会社WAVE3(ウェイブスリー)」とWellsTech株式会社は、国際Web3弁護士の森和孝氏率いるブロックチェーンゲームギルド「MGG」とパートナーシップを締結しました。
森和孝氏は、貧困の課題解決の手段としてブロックチェーンゲームを活用し、乏しさの壁に悩む新興国支援を広く行っています。そこで株式会社WAVE3とMGGはタッグを組み、ブロックチェーンなどを介して、国境に囚われることのない、ボーダレスな障害者支援の形を創っていくとしています。
ここでは今回、パートナーシップ締結に至った背景や、そもそもWeb3を活用した新しい福祉就労支援とはどう言ったものなのか、詳しくご紹介します。
目次
- 株式会社WAVE3とは
1-1.『PlayMining』を活用した障害者支援とは - 今回のパートナーシップの背景
2-1.MGG(Mori Game Guild)とは - GameFiプラットフォーム『PlayMining』のPlay&Earnゲームとは
3-1.「PlayMining」が提供するゲーム概要 - PlayMiningの各種ゲーム
4-1.JobTribes
4-2.Lucky Farmer
4-3.Cookin’ Burger
4-4.麺屋 ドラゴンラーメン
4-5.メタバースプロジェクト『PlayMining Verse』
4-6.LOST ARCHIVE+(ロストアーカイブプラス) - 『PlayMining』プラットフォームの今後の構想
- まとめ
①株式会社WAVE3とは
「Web3の力で、障害福祉に選択肢を」を掲げる株式会社WAVE3は、国内最大手ブロックチェーンメディア『CoinPost』と、東京都で初となる、本格Webワークやブロックチェーンゲーム支援に特化した障害者就労継続支援B型事業を行う『WellsTech株式会社』の2社にて設立された合弁会社です。
シンガポールに拠点を置き、グローバルでGameFi事業を展開するDigital Entertainment Asset Pte. Ltd. (DEA)が、運営するGameFiプラットフォーム『PlayMining』上のPlay&Earnゲームを利用して、福祉施設での新しい支援の形に取り組んでいます。事実、平均月収が1.6万円にとどまる同業界で、8~10万円を稼ぐ利用者様を生み出すことに成功しました。
1-1.『PlayMining』を活用した障害者支援とは
「WAVE3」は、『PlayMining』プラットフォーム上のNFTに紐づいたゲーム内アイテムを活用し、グループ企業である「WellsTech株式会社」の運営するWebワーク特化型の就労継続支援B型事業所「GIF-TECH’s(ギフテックス)」を利用する障害者の利用者に対し、Play&Earnゲームを通しての支援を、2022年8月から試験的に開始しています。
就労継続支援事業所には、雇用関係のもと利用者に原則最低賃金以上の給料が支払われるA型事業所と、障害の程度や体調、年齢などにより、雇用契約を結ぶことが困難な方が軽作業などの就労訓練を受け、作業量に応じた工賃が支払われるB型事業所の2種類があります。特にB型事業所では、工賃の低さや業務内容の非多様性、エンタメ要素の不足などが問題視されており、自己成長や社会参加、テクノロジー領域における就労やキャリアアップを望む障害者の方にとって、非常に厳しい状況となっています。
WAVE3はブロックチェーンを含むTECH技術が浸透しづらい業界である福祉領域にて、「jobtribes」、「エルフ・マスターズ」、「Axie Infinity」を含む様々なブロックチェーンゲームを、障害があっても安全かつ簡単にプレイして賃金が稼げるように環境整備をおこまいました。そしてPlay&Earnゲームにより獲得した報酬を「GIF-TECH’s」に業務委託報酬として日本円で支払い、「GIF-TECH’s」よりゲームをプレイした障害者の利用者へ、諸経費を差し引いた額を工賃として還元し、新しい福祉支援を行っています。
WAVE3は、今回の取り組みについて、自己成長やIT・テクノロジー領域における社会参加を望む障害者の方にとって、ブロックチェーン技術を活用したPlay&Earnゲームがそれらを実現する一つの選択肢になることを期待しているとのことです。
②今回のパートナーシップの背景
株式会社WAVE3とWellsTech株式会社は、国際Web3弁護士の森和孝氏率いるブロックチェーンゲームギルド「MGG」とパートナーシップを締結しました。国際弁護士でありWeb3法務の専門家でもある森和孝氏は、貧困の課題解決の手段としてブロックチェーンゲームギルド「MGG」を独自に組成し、低所得や就業機会の乏しさの壁に悩む新興国支援を広く行ってきました。
そんな中、WAVE3の代表取締役の近藤氏と出会い、国内外の障害者福祉の変革の必要性について意見が合致しました。ブロックチェーンゲーム支援を含む様々な周辺業務を生み出して、障害当事者やその家族、支援者たちの所得向上に取り組んでいくパートナーとしてタッグを組むに至りました。
MGG Founderの森和孝氏は「好きなゲームを介して社会に少しでも貢献できないか、新しい時代に合った富の再分配の社会システムのヒントが得られるのではないか、そんな思いで始めたギルド活動でしたが、近藤さんが進めているBCGを使った就労支援の事業の現状と構想をお聞きして共感し、微力ながら是非協力させていただきたいと思った」と話しています。
2-1.MGG(Mori Game Guild)とは
主にDigital Entertainment Asset社が運営するゲーム”Jobtribes”のユーザー約100名で組織されるゲームギルド。2021年12月に設立され、主にインドネシア人、フィリピン人、日本人で構成される。約1年半の間に計約5,000万円相当の報酬がスカラー(NFTをギルドから借りているギルドメンバー)に配布された。2022年9月からは報酬の一部を国連給食プログラムに寄付する「チャリティースカラー制度」を開始。持続可能なBCG経済圏の研究を存在意義とし、MGGのロゴマークは、社会・スカラー・運営の「3方よし」の想いが込められています。
③GameFiプラットフォーム『PlayMining』のPlay&Earnゲームとは
そもそもGameFiはブロックチェーンが登場してから生まれたもので、Game×Finance(ゲーム×金融)が融合したビジネスモデルのことです。主にブロックチェーン・NFTを基盤としたゲームをプレイして稼ぐことを指し「Play-to-Earnゲーム(P2Eゲーム)」とも呼ばれています。
具体的には、ゲームプレイを通じて暗号資産を報酬として受け取ったり、ゲーム内アイテムであるNFTの取引を通じて利益を得るといった、従来のゲームにはない新しい体験を実現しています。
3-1.「PlayMining」が提供するゲーム概要
GameFiプラットフォーム『PlayMining』は日本人が手掛けています。シンガポール拠点の「Digital Entertainment Asset Pte. Ltd. (以下、DEA)」が手がけるGameFiプラットフォーム『PlayMining』は、2020年5月26日にサービス開始し、現在、全世界100カ国、240万人を超えるユーザーを有しています。
『PlayMining』で提供するゲームは、プレイすることで、DEAが発行する独自の暗号資産「DEAPcoin(以下、DEP)」を獲得することができます。DEPは2022年1月26日に、日本の金融庁から許認可を得た暗号資産取引所「BITPOINT」 に上場し、日本国内における38番目の取扱い暗号資産であり、日本で初めて流通するPlay to Earnトークンとなりました。
『PlayMining』では、ゲームをプレイしてDEPを稼ぐだけではなく、NFTを独自のマーケットプレイス『PlayMining NFT』で売買したり、スカラーシップ制度(NFTをゲーム内で他のプレイヤーに貸し出して報酬を獲得する方法)が導入されているのも特徴の一つです。
『PlayMining』では、サービス開始以来、5つのゲームを提供しています(サービス開始前のタイトル含む)。
④ PlayMiningの各種ゲーム
4-1.『JobTribes』
『PlayMining』第1弾としてサービス開始されたのが、職業をテーマにしたNFTトレーディングカードバトルゲーム『JobTribes』です。あらゆる職業が擬人化された個性豊かなキャラクターが登場し、ゲーム内で獲得したポイントはDEPに交換することが出来ます。DEPは、NFTマーケットプレイス『PlayMining NFT』で使用することができ、NFTは、ゲーム内でバトルの勝敗に大きく影響を与える強力なバトルカードとして使用できます。
ゲームのストーリーはNetflixが選ぶ日本のトップクリエイター6 人の1人に選ばれた樹林伸氏が担当しており、壮大な世界観を楽しめるゲームとなっています。
4-2.Lucky Farmer
『Lucky Farmer』は2021年4月20日にローンチされた、農場がモチーフのコインプッシャーゲームです。ゲーム内のスロットや作物収穫ボーナスで大量のメダルを獲得したり、「ランキング」に参加すればDEPを定期的に獲得することができます。
正式版リリースは2022年夏頃を予定しており、ユーザーにPlay to Earnをより楽しめるよう、新たにスカラーシップ制度が導入されるとのことです。
4-3.Cookin’ Burger
『Cookin’ Burger』は、バーガーショップの店員として、様々なタイプのお客のオーダーを受け、正確かつスピーディーに料理を提供してお店の評判をあげることを目指すマルチタスク料理ゲームです。プレイヤーは、様々なグレードから成る「ショップNFT」を購入することで、ゲーム内でお店のオーナーになることができます。ゲームプレイを通じてお店の評判を高め、評判に基づくランキングによってDEPを獲得することが可能です。
4-4.麺屋 ドラゴンラーメン
『麺屋 ドラゴンラーメン』は、ダンジョンでモンスターを討伐して、希少な「食材」を手に入れ、入手した食材を使った「ラーメン」を販売する、「RPG×ラーメン販売シミュレーション」というユニークなゲームです。「ラーメン」の売上に応じて獲得できるDEPの量は変動するため、食材やレシピを工夫することでより多くのDEPを獲得できます。
4-5.メタバースプロジェクト『PlayMining Verse』
DEAは新規事業として、今年4月にメタバース事業『PlayMining Verse』をスタートしています。第1弾のコンテンツは、『ドラゴンクエスト列伝ロトの紋章』でお馴染みの漫画家藤原カムイ氏がデザインを手がけた 「Fujiwara Kamui Verse」です。
「Fujiwara Kamui Verse」の世界を1万分割した、メタバース空間上の土地区画である「ランドNFT」が4月27日より『PlayMining NFT』で販売開始されています。
なお「Fujiwara Kamui Verse」はクリエイターとユーザーが一緒にコンテンツを発展・進化させていくプロジェクトで、このプラットフォームからマンガ・ゲームなどの様々なコンテンツを創出していく予定です。
4-6.LOST ARCHIVE+(ロストアーカイブプラス)
ロストアーカイブプラスは多種多様なカードをボード上に配置して対戦するオンラインカードゲームです。多数のイラストレーターによる美しいイラストが織りなす、幻想的なファンタジー世界を舞台に、シンプルな操作で奥が深い駆け引きを楽しむことができます。また同ゲームをプレイすることで、暗号資産(ディープコイン)を獲得することができます。また同ゲームのNFTカードを所持していることで、よりディープコインの獲得が有利になります。
⑤『PlayMining』プラットフォームの今後の構想
『PlayMining』プラットフォームの今後の構想を共同CEO山田耕三は以下のように語っています。
「『PlayMining』は、「誰もが未体験のWeb3エンタメの実現」と「持続可能な社会貢献」という二つの目標を”Play to Earn”、さらにはPlayにとどまらない、”X to Earn”という手段によって実現することを目指すプロジェクトです。
「誰もが未体験のWeb3エンタメの実現」については、現在ローンチしている『JobTribes』、『Lucky Farmer』に加え、2022年度中に新規で3タイトルをローンチし、2023年中には20タイトル以上のゲームが遊べるプラットフォームに進化する予定です。
さらに”Play to Earn”だけではなく、”Study to Earn”や”Watch to Earn”など、”x to Earn”を「人々の行動変容を促す装置」として捉えることで、既存のゲームの枠に収まらない全く新しいエンターテインメントコンテンツを創造していきます。
「持続可能な社会貢献」については、『PlayMining』はスカラーシップ制度の仕組みをゲーム内に組み込むことで、ゲーム内雇用を生み出しました。また、サッカークラブや就労困難者の支援を行うチャリティー団体とパートナーシップを結ぶことで、スカラーシップの仕組みを使った新たな社会貢献のモデルの構築にもチャレンジしています。今後、『PlayMining』を通じて生み出される雇用をさらに拡大すべく、こうした提携を加速させていきます。
このように『PlayMining』はゲームやメタバースを通じて、クリエイターとファン、ゲームプレイヤーを結び付け、自由に満ちたWeb3時代の新しいエンターテインメントの実現に向かってどんどん進化していきます。今後も『PlayMining』が作る未来にご期待ください。」
⑥まとめ
今回は、株式会社WAVE3とWellsTech株式会社は、国際Web3弁護士の森和孝氏率いるブロックチェーンゲームギルド「MGG」とパートナーシップ締結によって、ブロックチェーンゲームを取り入れて障害者就労支援を行う「GIF-TECH’s」を利用する障害者の利用者に対し、Play&Earnゲームを通しての支援を、2022年8月から試験的に開始するというものです。
ブロックチェーンゲームは、主にNFTを基盤としたゲームをプレイして、稼ぐことを指した「Play-to-Earnゲーム(P2Eゲーム)」です。そのため、ゲームをプレイすればするほど暗号資産を得ることが可能となっています。Web3技術を利用するWAVE3は、障害がある方でもサービスが利用しやすいよう環境整備し、福祉施設での新しい支援の形を構築しました。
厚生労働省が行った「患者調査(平成26年)」によると、平成26年の精神疾患を有する総患者数は約392万4000人と報告されています。こうした心の病で社会復帰が難しい方にとっても、 Play-to-Earnゲームは活用しやすいサービスと言えるでしょう。PlayMining』事業や各サービスの最新情報にも今後注目していきたいところです。
立花 佑
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