外貨預金のような性質をもつ「ステーブルコイン」。その種類と特徴とは?

仮想通貨投資はボラティリティがとても高く、怪しい銘柄も実際の詐欺も多いハイリスク投資であるという認識の方は多いのではないでしょうか。そしてそうした認識は実際に正しい一面を捉えているのは間違い有りません。

仮想通貨の中にはステーブルコインというタイプの銘柄があり、こちらはUSDを主とした法定通貨の価格に連動するものになっています。勿論ステーブルコインにも色々な種類があり、性質や信用、取り扱いプラットフォームもそれぞれですから、全てが名前の通り安定的とは限らない点に注意が必要です。

そして見方によってはステーブルコインは自由に送金が可能な外貨預金の様な性質を持っています。

更にこうしたステーブルコインを利用したレンディングサービスが活発であり、普通の外貨預金や国内のソーシャルレンディングと比較しても高利率な傾向があります。それなりにしっかりしたUSDステーブルコインとプラットフォームの組み合わせによるレンディングでAPY(複利込みの年利)8.6%というケースもある為、怪しい投資と比較すれば比較的低いリスクでそこそこ手堅い運用が可能であるという見方もあるのではないでしょうか。

目次

  1. 外貨預金とステーブルコインの違い
  2. ステーブルコインのレンディングとは
  3. ステーブルコインとは?種類と特徴
    3-1. 法定通貨担保型ステーブルコイン
    3-2. 仮想通貨担保/合成資産型ステーブルコイン
    3-3. 無担保資産型ステーブルコイン
  4. ステーブルコイン投資における注意点とまとめ

外貨預金とステーブルコインの違い


前述した通り外貨預金とステーブルコインは利用者側から見れば似たような点が多くあります。例えばペイオフ等の保証が乏しい代わりに金利が得やすく、外貨を持つ事による自国通貨に対するリスクヘッジを行えるといった点です。

一番大きな違いは交換の手間とコストです。勿論国内金融機関での外貨預金も日本円との交換には為替手数料やスプレッド等がかかる為、交換自体が安くはありません。しかしステーブルコインの場合は2020年2月現在では国内取引所に上場されていない為、交換にはBTCをはじめとした仮想通貨との交換と送金を挟む事になってしまい、手数料や価格変動のリスクを負う事になってしまいます(※)。

※米国等に銀行口座を持ち、直接ステーブルコインをUSDに換金出来る、もしくは国内取引所が何らかのステーブルコインを扱ってくれるとこの点は大きく改善します。

よって、現状一般的に想定される日本人ユーザーが運用目的でステーブルコインを扱うには、ある程度長期的な視点で臨む事になります。外貨預金自体がそうした性質を持っていますが、生活用資金ではなく投資用資金で運用するべきでしょう。

ステーブルコインのレンディングとは

レンディングとは自分の資産を貸し出す事で金利を得るというサービスです。仮想通貨のレンディングに関して言えば、殆どのプラットフォームがマッチングをする事無く報酬が得られるプール型を採用しています。

プール型の特徴としては、安定的に報酬が得られる事に加えて、基本的にはいつでも預託資産を引き出す事が出来るプラットフォームが殆どとなっています。ただしプラットフォームによっては引き出しに時間がかかるケースがあります。

金利は銘柄やプラットフォーム、タイミング次第ですが、現状高いもので8%~9%程の年利となっています。

ステーブルコインとは?種類と特徴

ステーブルというのは法定通貨建ての価値が安定的という意味なりますが、実際には全てのステーブルコインにおいてそれが100%保証されている訳ではありません。特に長期的にステーブルコインを利用する上ではその特徴や性質の違いを理解しておく方が良いでしょう。

またステーブルコインだからと言って安易に油断出来ないのが仮想通貨投資です。これは例えば国外の取引所を利用しており、その上で法定通貨への利確用としてステーブルコインを保有している方も理解するべき点となります。ここから種別と代表例を挙げて説明していきます。

法定通貨担保型ステーブルコイン

発行者が預託した法定通貨(USD)が発行機関の保有する口座に保持されており、外部監査企業が定期的に監査を行います。現状最も標準的なステーブルコインがこちらのタイプであり、概ね世間での信頼性も高いです。ステーブルコインの価格は信頼性が揺らぐと上下しますので最も安定した価格を提供しているのがこのタイプとなります。それでも通常の銀行預金とは異なるため、ステーブルコインは預金の様な保証のが無い点には注意です。

代表例1: USDC

USDCはCircle社とCoinbase社の協賛であるCENTRE社が提供し、Grant Thornton社が毎月監査をしており、USDC発行額とCircle社の預託USD残高に問題がない事を確認しています。レンディングも対応プラットフォームが多く、ある意味お手本の様なステーブルコインです。

    特徴のまとめ

  • 100%法定通貨担保
  • 毎月の外部監査有り
  • レンディング対応プラットフォーム多数

代表例2: USDT

USDTはTether社が提供するステーブルコインです。仮想通貨界隈では最も大きなシェアを持っており、最も利用されるステーブルコインといえるでしょう。具体的な数値で言うと、2020年2月現在ではUSDTとUSDCの発行額にはおよそ10倍の開き(40億$対4億$程)があります。

しかしそれだけの発行量と流通量が有りながら、担保資産と監査報告については不透明なところが多くSEC(米国証券取引委員会)からは疑惑をかけられ、未だに万人が納得する様な結果は出ておりません。またTether社自身もUSDT担保資産の一部がBitcoinであると発言しています。

こうした一連の事件によりUSDTの価格は時折激しく上下します。過去にも下は0.92$から上は1.3$まで動いた形跡があります。

    特徴のまとめ

  • 最も高い発行量、流通量(≒実需が高い)
  • 殆どのグローバル仮想通貨取引所で取り扱われている
  • 担保資産や運営に疑惑有り
  • レンディング対応プラットフォームは少なめ、主に取引所が提供

仮想通貨担保/合成資産型ステーブルコイン

このタイプのステーブルコインは法定通貨担保ではなく、ブロックチェーン上のスマートコントラクトに預託された担保資産を元に生成される合成資産です。価格を維持する仕組みはバックとなる資産を過剰担保にした上で、下落時に精算がしっかり機能する事や、システムが健全に稼働している事を含めて複雑です。それでもこうしたケースのステーブルコインは担保資産の透明性やスマートコントラクトによる自動執行という信頼性を強みにしています。

代表例: DAI

DAIはMakerDAOの提供するプラットフォーム上で提供され、2020年2月現在ではEthereum(ETH)とBasic Attention Token(BAT)の2種類が担保として利用可能です。
これらの担保資産を元に発行されたDAIは自由に売買出来る為、DAI利用者は自身で発行する事無くDAIを入手する事も可能です。少なくともレンディング運用目的である場合は発行ではなく購入しないと手数料負けしてしまいます。

価格を維持する仕組みについての詳細は今回省きますが、少なくともブロックチェーン上には確かな担保資産がある事は確認可能ですし、基本的にはスマートコントラクト上にロックされた預託資産を横領する事は出来ません。

こうした信頼性を向上、証明する為にMakerDAOではシステムの監査、コードのバグ検証、バグバウンティを行っています。それでも予想外の穴がある可能性が全く無い訳ではありません。

そして最も大きな特徴は法定通貨担保型ではなく、合成資産型である事から法的な扱いが通常のステーブルコインと異なり、プログラマブル・マネーとも言うべき派生製品が多数できている事です。今回詳細は省きますがDAIに関しては通貨の概念が大きく異なっており、それこそが一番の魅力と言えるでしょう。

    特徴のまとめ

  • 仮想通貨を担保に発行(借りる)する事が出来る
  • 合成資産である為か派生製品が多数存在する(cDAI, rDAI, CHAI等多数)
  • 常にブロックチェーン上で透明性ある担保や発行額の数字が確認出来る

無担保資産型ステーブルコイン

こちらはシニョリッジ・シェア型と言われる担保資産を無しに発行の増減で受給を調整して価格を安定させるタイプのステーブルコインとなります。一応プロジェクトは存在しますが、取引所やレンディングを含めてこのタイプは現状あまり存在感がありません(2020年2月現在では殆ど流通しておりません)。とは言えCBDCやLibraを含めて、今後はこの辺りも変化していくと思われます。

ちなみに過去の仮想通貨の歴史では無価値化したシニョリッジ・シェア型のステーブルコインも存在した例があり、迂闊に手を出すのは推奨できません。

代表例: Terra Money

Terra Moneyは韓国のステーブルコインプロジェクトであり、LUNAトークンとTerraトークン(各種法定通貨のステーブルコイン)の2つを使って供給量のコントロールや色々な決定をしていきます。アジア市場がターゲットという事ですが、日本は今の所対象にはなっておらず情報もあまり出回っておりません。ほぼKRWがメインであり、JPYのTerraトークンは実質的に流通してないのではないでしょうか。

    特徴のまとめ

  • 無担保型であり、LUNAとTerraの二種類のトークンを利用して供給をコントロールする
  • 韓国を中心に活動されており日本では殆ど見られない
  • 同様にレンディングも今の所サービス提供が見られない

ステーブルコイン投資における注意点とまとめ

今回はステーブルコインとレンディングについて触れていく為に、まずはステーブルコインについての解説を行いました。特に外貨預金との比較、日本円に戻す手間については絶対に把握しておく必要があります。

もしも日本円のステーブルコインが国内取引所に流通していたら非常に便利だったのですが、2020年2月現在ではいくつか構想が発表されるに留まっており流通はしておりません。それでも既に中央銀行発行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)を発行する流れは世界で始まっており、恐らくこうした通貨のデジタル化は加速していく事でしょう。

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信玄

信玄

本業の傍ら趣味でブロックチェーン関連のリサーチを行うITインフラエンジニア。 DeFiを筆頭にDID、NFT、Layer2、Fiat Gateway、Contract Wallet等、幅広く情報を追っている。Twitter:@shingen_crypto