SBINFTとJPNFTのNFTマーケット連携詳細、日本のIP保護を中心に

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今回は、SBINFTとJPNFTの業務提携について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. SBINFT株式会社とは
    1-1.SBINFT株式会社の概要
    1-2.SBINFT株式会社の事業内容
  2. 株式会社JPNFTとは
    2-1.株式会社JPNFTの概要
    2-2.株式会社JPNFTの事業内容
  3. SBINFTとJPNFTの業務提携
    3-1.業務提携の概要
    3-2.業務提携に至った背景
    3-3.提携についての両社のコメント
  4. 正規版NFT流通の仕組み
    4-1.正規ライセンスデータの登録および照会
  5. まとめ

2023年6月12日、NFT(非代替性トークン)に関するコンサルティングとマーケットプレイスを展開するSBINFT株式会社と、NFTマーケットをより安全で信頼性のあるものにするという目標を持つ株式会社JPNFTが業務提携を発表しました。この提携は、著作権侵害や無許可で発行される「無許諾NFT」の問題に対処するため、両社が力を合わせるものです。

本記事では、SBINFTとJPNFTが提携を通じて目指す正規版NFTの流通に関する取り組みについて詳しく解説します。

①SBINFT株式会社とは

1-1.SBINFT株式会社の概要


SBINFT株式会社は、2015年5月に設立されたブロックチェーン関連企業で、SBIホールディングス株式会社の一部です。SBINFTは、”ブロックチェーンで革新的な体験をすべての人に”というビジョンのもと、各種ブロックチェーン技術を活用した新しい価値提供に注力しています。

主な事業としては、SBIグループがこれまでに培ってきた仮想通貨取引やアートオークションのノウハウを集約した「SBINFTマーケット」を運営しています。このマーケットは、通常の仮想通貨(イーサリアムやポリゴンなど)だけでなく、クレジットカードや銀行振込による決済も可能です。これにより、仮想通貨に不慣れな人でも安心してNFT取引を行えます。

また、DAO化されたエコシステムの構築を掲げており、前述したNFTマーケットプレイスだけでなく、Web3.0分野をリードするような新時代のビジネス創出に尽力しています。

1-2.SBINFT株式会社の事業内容

SBINFT株式会社の主な事業内容は下記の通りです。

・SBINFTマーケットの運営

国内最大級のNFTマーケットで、パブリックチェーンを用いたNFTの発行から二次流通まで対応。作品のジャンルはデジタルアート、音楽、写真に加え、チケットやゲームキャラクターなどの実用的なNFTも取り扱っています。

・WebAPI提供サービス

自社での運営ノウハウを活かし、NFTマーケットのOEMサービスを提供。これにより、NFT事業への参入障壁を低減し、多くの人に機会を提供しています。

・コンサルティングサービス

NFTマーケットの全機能をBtoB向けにパッケージ化して提供。企業がNFT事業を効率良く展開できるよう、法務や税務、会計などの面でもサポートしています。

・コントラクト開発

コントラクト開発事業についてのさまざまな要望をヒアリングした上、NFTやブロックチェーンに関わるアプリ開発などを行っています。

・メタバースプロモーション

NFTの価値を最大化するため、コミュニティビルディングや技術支援、販売戦略立案等のコンサルティングを行っている。自社が所有するメタバース土地でNFTプロモーションを行い、その価値を最大化するためのコミュニティビルディングや技術支援も提供しています。

②株式会社JPNFTとは

2-1.株式会社JPNFTの概要


株式会社JPNFTは、2022年7月に設立された企業で、安全かつ信頼性の高い正規NFT(非代替性トークン)の流通を目的としています。この企業が運営する「jpnft」プラットフォームでは、日本のコンテンツに関連するIPライセンスデータを公開しています。この情報公開によって、正規のNFTと非許可で作成されたNFT(無許諾NFT)を効率的に区別できるようになっています。

このプラットフォームは、経済産業省の「J-LOD」補助金を受けて開発されており、NFTの正規流通を促進するための公的プロジェクトの一部です。その結果、ユーザーはjpnftプラットフォーム上で、NFTが正規品であるかどうかを確認できるため、安心してNFT取引が行えます。

さらに、jpnftは今後、クリエイター向けに「ライセンスマッチング機能」を導入する予定があり、これにより、IPの管理がさらに効率化されると期待されています。

2-2.「株式会社JPNFT」の事業内容

株式会社JPNFTの主な事業内容は下記の通りです。

  • 「jpnft」プラットフォームの運営
  • 正規IPの認証・登録サービスの提供
  • NFT海賊版の探索・削除サービスの提供
  • IPライセンスマッチングサービスの提供

③SBINFTとJPNFTの業務提携

3-1.業務提携の概要

冒頭でも触れた通り、2023年6月12日、SBINFTとJPNFTが業務提携を行い、ユーザーがより安心して取引ができる、安全なNFTを提供するマーケットプレイスの実現に向けて協業していくことを明らかにしました。今回の提携では、SBINFTとJPNFTが両社の強みを生かす事によって、ユーザーに対して安全性や信頼性の担保された正規のNFTを提供できる環境を実現すると説明しています。

具体的には、JPNFTが運営を手がける「jpnft」に登録および公開されたコンテンツを、SBINFTが運営を手がける「SBINFTマーケット」にて売買する際、jpnftにおける正規ライセンスデータの照会やjpnft認証マークなどの表示を通してそれが正規NFTである事をチェックできる仕組みを確立するということです。

なお、SBINFTマーケットにおけるjpnftコンテンツは、2023年夏あたりに公開される予定となっており、両社はNFT分野の発展について、セキュリティの観点からも貢献していきたいと語っています。

3-2.業務提携に至った背景

近年では、ブロックチェーン技術が誕生したことによって、これまで難しいとされてきたデジタルなものに対する価値の付与や、所有者の明確化などを実現する事が可能となりました。これに伴って、クリエイティブなデジタル作品は「NFT(非代替性トークン)」としてオンライン上に構築されたプラットフォームなどで売買が行われるようになり、2021年あたりからは世界中においてNFTの売買を専門とするさまざまなプレイヤーが出現することとなりました。世界最大規模を誇るNFTマーケットプレイスとして知られる「OpenSea(オープンシー)」の月間取引高は2023年3月時点でおよそ4.3億ドルを記録しており、今後もそのマーケットはさらなる発展を見せると期待されています。

しかしその一方で、元々デジタルデータはコピーが簡単にできてしまうことから、いわゆる海賊版や非正規のNFTがマーケットに数多く出回るなど、まだまだ多くの問題を抱えているという現状があります。特に、日本には世界的に人気を博しているIPが数多く存在し、アートやコンテンツの宝庫であると言われており、これからさらにマーケットが拡大していくと予想されているNFT分野において、その安全性の確立や真贋の担保についての対策は急務であると考えられています。

そんな中、SBINFTとJPNFTはこうしたNFTが直面している課題を解消し、安心且つ安全なNFTマーケットを実現する事を目指して、今回の提携を行うに至ったと説明しています。

3-3.提携についての両社のコメント

SBINFTの代表取締役、高長徳氏は、NFTマーケットの拡大に伴い、正規の許諾を得ていない海賊版NFTが増加している点を指摘しました。この状況がIPホルダーに適切な利益をもたらしていないとも述べています。購入者にとっても、偽物のNFTを手に入れるリスクがあると話しています。JPNFTの代表取締役、分部悠介氏は、特に海外での日本の漫画やアニメの人気が高まっているにもかかわらず、正規の許諾を得ずに作成される海賊版NFTが問題となっていると述べました。

JPNFTは長らく日本のIP保護に力を入れ、独自のソフトウェアを使った保護サービスを展開しています。今回の提携は、JPNFTとSBINFTが共通の目標、つまりIPを保護しながら業界を健全に発展させることに向けた合意であるといえます。

今後、両社はシステムの連携を強化し、日本のIPを用いたNFTの安全な流通を促進する計画です。

④正規版NFT流通の仕組み

4-1.正規ライセンスデータの登録および照会


今回SBINFTとJPNFTがパートナーシップを締結した事によって、今後はSBINFTが提供する「SBINFTマーケット」において、「jpnft」に登録および公開されたコンテンツの売買を行う事が可能となります。そして、ユーザーは売買の際に、jpnftによる正規ライセンスデータの照会やjpnft認証マークの表示などを通して、そのNFTが正規のものである事をチェック出来るようになるということです。

そもそも、SBINFTマーケットは世界中のユーザーに対してオープンなプラットフォームになる事を目指しており、国内外において特に需要が高いとされている「イーサリアム(ETH)」および「ポリゴン(MATIC)」という二つのパブリックチェーンを採用しています。また、特定の中央管理者が存在せず、誰もが自由に参加する事が出来るパブリックチェーン上であっても、詐欺やハッキングなどといったリスクからユーザーの資産を保護し、より健全なNFTの売買を楽しんでもらうために、日本初となる承認制を採用したNFTマーケットプレイスとしても知られています。

SBINFTマーケットは元々「nanakusa」というブラントでNFTマーケットプレイスを展開しており、2022年3月17日にリブランディングを行った事で現在のかたちとなりましたが、承認制自体はこの前身であるnanakusa時代から続いており、常に厳正な審査を通過した事業者やアーティストによる、高い質を誇るNFTを提供してきました。

一方で、JPNFTが運営を手がけるjpnftは、前述した通り日本のコンテンツIPのNFTについてのオフィシャルなデータを公開する事によって、権利者によりミントされた、もしくは権利者の有効な許諾の下でミントされた正規版NFTと、近年広く出回っているとされる、無許可でミントされ著作権などを侵す無許諾NFTを完全に見極める事を可能にするプラットフォームとなっています。

そして、今回の提携によって、承認制を設けているSBINFTマーケット上でjpnftに登録および公開されたコンテンツの売買を行う事が出来るようになったため、ユーザーは対象となるNFTについてより詳しいデータを取得する事が可能となり、正規ライセンスデータを確認する事によって、それが確実に正規版のNFTであるという保証のもと、売買を行う事が出来るというわけです。

今後、SBINFTマーケットでは、jpnftがオフィシャルのデータとしてアップしたNFTの取り扱いを行う公認のプラットフォームとして、コンテンツのさらなる充実および正規品流通の活性化に取り組んでいくとしています。

⑤まとめ

今回、SBINFTとJPNFTがパートナーシップを締結し、正規版NFTの安心且つ安全な流通を目指していく事が発表されました。

これまでNFT業界では、いわゆる海賊版や非正規のNFTがマーケットに数多く出回るなど、深刻な問題を抱えていました。そんな中、SBINFTとJPNFTは両社の高い技術力を駆使する事で、ユーザーがNFTについてより詳しいデータを取得でき、且つ正規ライセンスデータをチェックする事でそれが確実に正規版のNFTであるという保証のもと取引を行う事が出来る環境の実現を目指していくとしています。

なお、2023年内にはjpnftコンテンツがSBINFTマーケット上で展開される予定となっているため、興味のある方は一度このサービスを利用してみることをおすすめします。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12