仮想通貨に投資する際に注意するポイントは?

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この記事を担当します中島翔と申します。現在仮想通貨取引所でトレーダーを行っており、日々個人投資家のフローを見ながら投資すべき時に大事なことを今回はまとめています。

前職では3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、世界経済の分析をしながら日々マーケットと対峙していました。これまでのマーケットの経験から、本当に投資をする上で大事なことを、みなさんにお届けできればと思います。

2017年のバブルを皮切りに一気に知名度が出た「仮想通貨」ですが、まだ興味はあるけど挑戦したことがない人も多いでしょう。今年の調査でも仮想通貨を保有したことのある人数は日本全体の数%程度程度となっており、まだまだ普及過程にあるのが実情です。

そこで、これから資産運用のプロダクトの1つとして仮想通貨に取り組もうと思っている方のために、注意すべき大事な初歩的なポイントをまとめてみました。仮想通貨は大きな変動がある危険なものという認識が強いものですが、一概にそうでもないといえます。

何をきちんと理解すべきかを読んで理解してもらえると嬉しいです。

仮想通貨に投資する際に注意するポイントは?

仮想通貨のリスクを理解しよう

仮想通貨の値動きは他の商品と比較しても大きい

最初に仮想通貨の特徴としてはボラティリティ(価格の値動き)が他の投資商品と比較してとても大きいことを理解しておかないといけません。言葉では理解していても実際に投資をすると、体感した値動きが予想した以上に大きかったというコメントも少なくないのが実情です。

これは言い換えると1日で大きく稼ぐことができるチャンスが秘めているとも言えます。リスクとリターンは表裏一体のため、上手く利用できれば大きな味方ともなる内容となります。「値動きが大きい=リスクが高い」というわけではなく、「値動きが大きい=リスクコントロールが難しい」ということになります。

この点を間違えないようにしましょう。

では実際にどのくらい他の商品とのボラティリティが違うのかをチャートでチェックしてみます。下記のチャートをご覧ください。

これは3つの投資商品を1年前を基準に100として何%動いたかを示しているものです。ローソク足がビットコイン、緑のラインが日経平均株価、赤のラインがドル円のチャートとなっています。

日経平均株価とドル円を見てみると、一年間の動きは上下5%程度で変動していることがチャートから把握できると思います。しかし、ビットコインを見てみると下落した場合は−40%、その後一時+50%まで上昇しており、とても大きく上下に変動していることが把握できます。これがビットコインの値動きの特徴であり、一番リスクをコントロールするという意味で注意すべきポイントとなります。

リスクをコントロールするという意味は簡単に考えると下記のように考えてください。「値動きが日経平均株価やドル円の5倍から10倍ということであれば、投資金額はその分5分の1や10分の1に抑える等して資産の変動をコントロールする」。このようにすればギャンブルのような投資にはならず、ポートフォリオ(資産分散)の1つとして仮想通貨を取り入れることができるでしょう。

現在では海外の機関投資家(大口の投資家)が仮想通貨をポートフォリオの一部に組み入れる動きが増加しており、今後も仮想通貨のマーケットは伸びていくと考えている動きの現れと言えます。

ハッキングリスクを理解しよう

次に仮想通貨特有のリスクを説明したいと思います。それは「ハッキング」です。

ハッキングとは仮想通貨取引所に保管しているウォレット(銀行の口座のようなもの)から仮想通貨が第三者によって盗まれることを指しています。過去では2018年にコインチェックでXEM(ネム)という通貨が580億円の被害に遭ったことでハッキングリスクが投資家の中で認識されることとなりました。そして入出金が1か月以上ストップし資産の引き出しができない事態に発展することとなります。今年もビットポイントがホットウォレットの複数の通貨が一気に盗まれるという事件が発生しており、仮想通貨の投資家としてはこのリスクは常に考えておく必要があります。

ではなぜこのように盗まれることがあり得るのか?それは「仮想通貨はインターネット上のデジタル通貨であり、オンラインで繋がっているウォレット(ホットウォレット)が存在するため」です。インターネット上で繋がっている限り技術的にハッキングリスクはあり得ると考えて投資すべきとも言えるでしょう。

当然ながら仮想通貨取引所としてもこのハッキングを防ぐために様々な手段を講じています。また、仮想通貨の自主規制団体JVCEAが定めている協会の自主規制においても、顧客資産は可能な限りコールドウォレット(インターネット上で繋がっていないオフラインのウォレット)で保管し顧客資産の保全に務めるものとして規定されており、万が一ハッキングが起きたとしてもホットウォレットだけに留め、顧客資産は返還できるような資産管理を義務付けるよう仮想通貨取引所に対して対策を講じるよう定められています。

そのためハッキングが起きたとしても顧客資産は返還されることになりますが、一定期間入出金が不可となったり、返金されるまでの間の価格変動リスクは担保されない等相応なリスクは発生するため、投資家自身もこの大きなリスクは認識しておくべきでしょう。

1か月ほど顧客資産が返還されなかった場合の価格の変動は半分以下となっても全く違和感はありません。そのため利用する取引所は1つではなく複数利用すべきと言えます。少し手作業が煩雑となっても資産を守ることを最優先としましょう。

売買にかかる取引所の手数料は?

仮想通貨を売買する時には手数料というものが発生するケースがあります。仮想通貨取引所では「販売所」と「取引所」という2つのビジネスモデルがありそれぞれ手数料というものは異なってきます。

まず販売所と取引所の違いから整理したいと思います。

  • 販売所:仮想通貨の在庫を持っている仮想通貨取引所が取引相手となって売買を行うこと
  • 取引所:いくらで買いたい、いくらで売りたいという価格を設定して注文を出し、個人間で注文が成立するマーケット(仮想通貨取引所は取引所の運営団体というだけであり、取引の相手方とはならない)

このような違いがあることを覚えておきましょう。

では次に販売所の手数料から整理したいと思います。よく仮想通貨取引所の販売所の手数料は無料ということで宣伝しているところもありますが、これは言葉の遊びともいえ、必ず手数料に近い性質のものは発生しています。販売所で売買をする際は下記のように売値と買値が両方出ているケースが多く、これがレートとなります。

画面は左が「顧客が売る場合のレート」、右が「顧客が買う場合のレート」です。この売値と買値のレートの差が「スプレッド」と呼ばれています。このスプレッドは顧客が負担する手数料という考え方となります。

顧客からするとこの売値と買値のスプレッドが不変だったと過程した場合1BTCを756,932円で購入し、すぐに売りたいとなった場合741,942円でしか売れないこととなります。そのため、「756,932円-741,942円=14,990円」の損を被ることとなります。

次に、この売値と買値の価格はどのようにして仮想通貨取引所は設定しているのかをご説明します。仮想通貨取引所は顧客から注文がきた場合にまずどの価格でカバー(その注文分をマーケットから調達すること)取引を行うことができるかを計算しています。

この場合取引できる金額は「14,990÷2=7,495円」が片側のスプレッドと言えるため、756,932円と741,942円のちょうど真ん中のレートである749,437円が計算上基準となるレートとなります。これを「midレート」と呼びます。

この基準となるレート(midレート)からどの程度スプレッドを上乗せして顧客に提供するかで利益の幅を調整しながら取引してもらえるよう仮想通貨取引所が試行錯誤行っていることです。

先ほど1BTCを756,932円で買った時点では、マーケットのレートはmidレートである749,437円ということが理解できると思います。またそこからどれだけ上乗せした価格を顧客に提示するかが仮想通貨取引所で調整されており、利益幅を大きくすると顧客には悪い価格(高い価格)で提示することになりますが、あまりにも利益幅が小さいと取引量は増えるものの利益幅があまりないことから旨味のないビジネスになる可能性があります。ここを調整しながら利益を極大化するのが仮想通貨取引所の行っていることです。

では、この顧客が756,932円で1BTC購入した場合、評価損益がプラスマイナス0になるレートはmidレートがいくらになった時でしょうか?

答えは「756,932+7,495=764,427円」です。これは1BTCを買う際に「7,495÷749,437×100=1.00%」の費用を負担しているということです。

その差分思った通りの方向で推移した場合にやっと損益分岐点が0となります。つまり手数料に近いものとなるということですね。

このスプレッドが広ければ広いほど仮想通貨取引所の利益率は向上します。投資家が投資をする際にはこのスプレッドは重要なポイントの1つです。

次に取引所の手数料についてご説明します。取引所の手数料は主に「約定時に発生する手数料」と「ポジションを保有し続けることによる手数料」の2つがあります。

まず「約定時に発生する手数料」は「テイカー」と「メイカー」と呼ばれる注文方法によって異なるため分けてご説明します。

  • 「テイカー」:これは成り行き注文で注文を成立させること
  • 「メイカー」:指値注文で投資家が売りたい、買いたいという価格を設定して注文を出すこと

これらの言葉は「出されている注文をtakeする(取る)」という意味でテイカー、「マーケットをmakeする(作る)」が語源となっていると言われています。

手数料は取引所によって無料であったり、マイナス手数料であったりバラバラですが、基本的にはテイカーの方がメイカーよりも手数料は高いということが多いです。利用する取引所で必ずこの手数料をチェックするようにしましょう。

次にポジションを保有し続けることによる手数料についてご説明します。これは「スワップ手数料」と呼ばれていて、ポジション保有コストとも言えるものです。通常、外国為替のFXでは通貨ペアの金利差によってスワップポイントというのが発生しますが、仮想通貨の世界ではポジション保有コストのことをスワップ手数料と呼んでいるため間違えないようにしましょう。

仮想通貨の売買は最初なれなくても取引所で行おう

最後に投資をいざ行うとなった時にどのようにすれば手数料が安く収まるのかをお伝えしたいと思います。

やはり初心者となると「販売所」の取引画面の方が見やすく行いやすいでしょう。しかし個人的には全くお勧めできません。この理由は「販売所」の取引は仮想通貨取引所のドル箱だからです。先ほど例で示した通り、スプレッドが売りと買いで2.00%程度あるため、2.00%以上予想した方向に行って始めて評価益がで始めます。

一方、取引所で購入したり売却したりする場合は手数料は0.10%とかで済むため手数料が雲泥の差となります。仮想通貨取引所は販売所を利用して欲しいのが本音ですが、最近では取引板の方が安いと気づく投資家が増えたため取引所の機能拡充を行うところも増えてきている状況です。

最初は取引所の画面は理解がしにくく抵抗感があるかもしれませんが、これからちゃんと投資しようと思われている方にとって手数料の話は避けては通れないため、取引所を利用することがおすすめです。

投資する重要なことは納得するまで調べフィードバックを行うこと

最後に投資をするにあたり重要なことは、「気になることはまず理解するまで調べ、自分の中でしっかりと理解することが大事なこと」です。

上記で記載したことは最重要事項と考えて記載していますが、やはり投資をするということは利益が出ることもあれば、大きく損を出すこともあります。しかしそれは投資をする上で避けて通れないことであり、リスクコントロールがとても大事なポイントです。

まずは調べ、理解しながらそれでも失敗を繰り返すのが最初のフェーズであり、その際に1つ1つの投資行動に対してフィードバックを行い、改善点を考え次のトレードに活かすという繰り返しが成長への近道となります。

まずはデモトレードではなく勉強代と思って実際の小さな金額から始め、トレードを行いましょう。そして上記のポイントに注意しながらフィードバックを行うことでまた様々な疑問が湧いて来るため調べることを繰り返すことで利益をコンスタントに出せる投資が出来るようになります。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12