今回は、Oasysブロックチェーンについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- Oasysとは
1-1.Oasysの概要
1-2.Oasysの創設メンバー - Oasysの特徴
2-1.高スケーラビリティ、高データ可用性、高ネットワーク安定性
2-2.マルチチェーンに対応している
2-3.多くの有名企業が関わっている - OASトークン
- Oasysの今後の展望
- まとめ
22年7月12日、合同会社DMM.comがグループ子会社を介してゲームに特化した日本発のブロックチェーンプロジェクトであるOasys(オアシス)に出資したことを明らかにしました。
Oasysは22年2月8日にスタートしたばかりの新しいプロジェクトですが、創設メンバーにゲーム関連の大企業や有名ブロックチェーン企業が参画しているため大きな注目を集めています。
そこで今回は、日本発ゲーム特化型ブロックチェーンOasysについて、その概要や特徴、今後の展望などを解説していきます。
①Oasysとは
1-1.Oasysの概要
Oasys(オアシス)とは、2月8日にシンガポールを拠点に設立されたブロックチェーンの分野の事業を手がけるOasys PTE. LTD.が開発を進めている、日本発のゲームに特化したブロックチェーンプロジェクトです。
Oasysはコンセプトに「Blockchain for The Games」を掲げており、これまでブロックチェーンやNFTなどに接点がなかったユーザー層にとっても利用しやすいプラットフォームの構築を目指しています。
1-2.Oasysの創設メンバー
Oasysは創設メンバーが豪華なことでも知られており、ゲーム業界やブロックチェーン業界に精通した人物が揃っています。
・ ギャビー・ディゾン(Gabby Dizon)氏
Yield Guild Games(YGG)の共同創設者であり、「AltitudeGames」の共同創設者兼CEOを務めている。
・中谷始 氏
株式会社バンダイナムコ研究所の代表取締役社長を務めている。
・國光宏尚 氏
主にモバイルオンラインゲームを取り扱っている株式会社gumiの創業者で、VR(Virtual Reality)コンテンツを展開する株式会社Thirdverse の共同創設者兼代表取締役CEOを務めている。また、クラウドファンディング2.0サービスを手がける株式会社フィナンシェのCEOでもある。
・上野広伸 氏
NFTおよびブロックチェーンゲームの専業開発会社であるdoublejump.tokyo株式会社において代表取締役CEOを務めている。
・内海州史 氏
ゲーム会社大手の株式会社セガにおいて取締役副社長を務めている。
このように、Oasysの創設メンバーには各業界における重要人物が集まっており、このことからも期待を集めているプロジェクトとなっています。
②Oasysの特徴
2-1. 高スケーラビリティ、高データ可用性、高ネットワーク安定性
Oasysで用いられているアーキテクチャはゲーム開発者向けに独自に開発されたものです。ブロックチェーン ゲームの取引量は、DeFi (分散型金融)など従来のブロックチェーンのユースケースに比べて膨大です。
Oasysではレイヤー1のパブリックブロックチェーンとレイヤー2のプライベートブロックチェーンにおけるテクノロジーソリューションを組み合わせることによって、スピーディな処理とガス代無料を実現しています。
2-2.マルチチェーンに対応している
Oasysは「EVM(イーサリアム仮想マシン)」互換のプロトコルとなっているため、イーサリアムやポリゴンのほか、BNBチェーンといったEVM互換チェーンでプロジェクト開発を行ったことがある開発者であれば、Oasys上においても比較的簡単にブロックチェーンゲームを構築することが可能です。
そのほか、ユーザーは「MetaMask」などの自身が愛用しているウォレットを接続して利用することができるなど、利便性の高い設計となっています。
2-3.多くの有名企業が関わっている
Oasysにおけるブロックチェーンの運用主体である初期バリデータには、「バンダイナムコ研究所」や「セガ」のほか、「Ubisoft」や「Netmarble」といった国内外におけるゲーム関連の有名企業が多数関わっています。22年7月6日にはアメリカのベンチャーキャピタル(VC)である「Republic Capital」主導の約25億円にのぼる資金調達を終えたことを明らかにしています。この資金調達には、海外の主要な取引所である「Crypto.com」、「Huobi」、「Gate.io」、「KuCoin」や、「Fenbushi Capital」といった海外VCのほか、「Netmarble」の会長であるヨンシグ・クォン(Youngsig Kwon)氏やCEOのグン・キム(Gun Kim)氏といった個人投資家も参加しています。また、前述した通り、今回新たに「合同会社DMM.com」がグループ子会社を介した資金調達を発表しています。
Oasysでは調達した資金の利用方法について、ゲーム事業者や仮想通貨取引所、エコシステム系企業などとの提携の強化のほか、組織体制を増強するためなどに当てていくと報告しています。
このように、Oasysは世界中のゲームおよびブロックチェーン関連企業との繋がりを駆使して、これまでにない世界に通用する日本発のブロックチェーンプラットフォームを創り上げることに尽力しています。
③OASトークン
Oasysにはエコシステム内において利用される「OASトークン」というネイティブトークンが存在します。
OASトークンは発売時の総供給量が100億OASと定められており、Oasys内での決済や、ガバナンスのほか、ガス代(取引手数料)の支払いやステーキングにも利用できるようになっています。OASトークンの分配割合は下記の通りです。
- エコシステムおよびコミュニティ:38%
- ステーキング報酬:21%
- 開発:15%
- 初期投資家;14%
- 財団:12%
④Oasysの今後の展望
Oasysはホワイトペーパーにおいて今後の展望を表した「ビジョンマップ」を公開しており、その中で6年以内にDAOによって完全に運営される、持続可能なパブリックブロックチェーンになることを掲げています。
また、23年6月までにメインネットをローンチすることおよびOASトークンの分配を行うことを挙げているほか、24年6月までにはOasysにおけるプロジェクト数を100以上、分散型ID(DID)を1,000万以上まで伸ばすとしています。
④まとめ
Oasysは日本発のゲームに特化したブロックチェーンプロジェクトとして、数々の有名なグローバル企業と提携しながら、世界に通用するプラットフォームを創り上げることを目指しています。
各業界において強いコネクションを有する創業メンバーのもと今後さらにパートナーシップを強化していくと予想されており、今後の展開に大きな期待が集まっています。ビジョンマップでは今後に関して明確な目標数値が公開されているため、今後のプロジェクト展開に引き続き注目していきたいと思います。
中島 翔
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