メタ社の仮想通貨「ザック・バックス」とは?

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今回は、メタの仮想通貨「ザック・バックス」について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. メタとは?
    1-1.メタの概要と沿革
    1-2.マーク・ザッカーバーグ氏
    1-3.メタの事業内容
    1-4.メタとNFT
  2. メタが開発する仮想通貨「ザック・バックス」とは?
    2-1.「ザック・バックス」の概要
    2-2.「ザック・バックス」のユースケース
  3. まとめ

2022年4月7日、アメリカのSNS大手であるメタ・プラットフォームズ(旧Facebook)が、CEOであるマーク・ザッカーバーグ氏から名前を取った「ザック・バックス(Zuck bucks)」という仮想通貨(暗号資産)の開発を計画していることが明らかになりました。

フィナンシャル・タイムズによると、ザック・バックスはメタバース(仮想空間)での使用も考えているということです。そこで今回はメタが開発を計画しているメタバース用仮想通貨「ザック・バックス」について、解説します。

①メタとは?

まずはメタとは何かについてその基本的な事項を解説します。

1-1. メタの概要と沿革

Meta1
メタはアメリカを拠点とする多国籍企業で、旧社名は世界的なSNSプラットフォームである「Facebook」です。Facebookは2004年、現在のCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が、エドゥアルド・サベリン氏など当時のハーバード大学のルームメイトら4名とともに設立した会社です。

Facebookは会社名と同名のSNSプラットフォームを展開し、実名制を用いるなど従来のSNSとは一線を画す革新的な仕組みでユーザーベースを拡大してきました。22年2月3日にメタが公開したデータによると、21年第4四半期の業績は、デイリーアクティブユーザー数(DAU)は19億3,000万人、月間アクティブユーザー数(MAU)は29億1,000万人と、他の著名なSNSサービスと比べてもダントツのユーザー数を誇っています。しかし、Facebookのような従来のSNSサービスの成長スピードは鈍化しています。Facebookは今後発展していくであろうメタバース関連の事業を進めていく意思を表明するため、21年10月28日に会社名をメタに変更しました。

なお、変更されたのは会社名のみで、SNSとしてのFacebookはそのまま継続して提供されています。

1-2. マーク・ザッカーバーグ氏

Meta2
Facebookの創業者で、現在はメタの会長兼CEOを務めるマーク・ザッカーバーグ氏は、世界的な実業家として高い知名度を誇っています。前述の通り、マーク・ザッカーバーグ氏はハーバード大学在籍中にルームメイトらと共にFacebookを立ち上げ、みるみるうちにグローバルなSNSプラットフォームへと成長させました。

そして、Facebook創設からわずか6年後の2010年、アメリカの経済誌「フォーブス」が発表する「世界で最も若い10人の億万長者」で、ザッカーバーグ氏は当時25歳という最年少で第1位とされました。現在ではフォーブスの世界長者番付の常連となっており、世界で最も有名な実業家の一人として広く知られる存在となりました。

1-3. メタの事業内容

①多岐にわたるアプリの開発・運営

Facebookは、将来的な競合他社を排除するために有望なアプリを早い段階で買収する戦略を取っています。Facebookは、2012年5月に株式を公開しましたが、その時点で20社以上を買収しています。2012年4月には当時社員数13人だったInstagramを約10億ドルで買収することを発表しました。

現在では買収した企業は60社を超えており、下記のような多数のアプリの開発・運営を行っています。

  • Facebook/Messenger /Instagram /WhatsApp /Meta Quest /Workplace /Meta Portal /Novi

②メタバース開発

メタは今後の基軸事業としてメタバースの開発を行っていく意思を表明しています。メタは現在、1億5,000万ドルをかけた「メタ没入型学習」というプロジェクトを開始しており、次世代のクリエイターを育成し、高度なテクノロジーを利用した学習機会の提供を行っています。

このほかにも、メタにおけるVR・AR部門である「Reality Labs」を設けており、ARやVRを用いて楽しめる全く新しいプラットフォームの構築を目指していると説明しています。

1-4. メタとNFT

メタは近年、NFT開発計画を度々示唆してきました。21年12月には、Instagramの責任者であるアダム・モセリ氏が、クリエーターサポートの一環としてNFT(非代替性トークン)の導入を検討していることを公言しています。

22年3月には、マーク・ザッカーバーグ氏によって、InstagramへのNFT機能導入が正式に発表されたほか、5月の中ごろにはFacebookにおけるNFTの投稿およびシェアの試験運用をスタートするとしています。

②メタが開発している仮想通貨「ザック・バックス」とは?

次にメタが開発を計画している仮想通貨「ザック・バックス」について解説します。

2-1. 「ザック・バックス」の概要

22年4月7日のフィナンシャルタイムズによると、メタ社の仮想通貨はマーク・ザッカーバーグ氏の名前にちなんで「ザック・バックス(Zuck bucks)」とされています。この仮想通貨は、FacebookやInstagram、WhatsApp、Meta Questといったメタが提供するアプリのユーザー向けの使用を検討しているとしているほか、メタバース空間における使用も視野に入れて開発を進めていく予定だとされています。

メタは現在、その収益源のほとんどを「ターゲティング広告」に頼っていることを懸念しており、仮想通貨やメタバースという新たな領域を開拓することで、収益源を増やす狙いがあるとされています。ターゲティング広告は、ユーザーのインターネット上における履歴などを分析し、興味のある分野を推測するという手法を採っているため、ユーザーのプライバシー問題を懸念する声も上がっています。このような背景からも、仮想通貨やメタバース領域の開発を精力的に進めている模様です。

InstagramがNFTマーケットプレイスを展開した場合、最大で80億ドル(約9,900億円)ほどの収益を上げることが予想されています。

2-2. 「ザック・バックス」のユースケース

現段階で想定されているザック・バックスのユースケースとしては、クリエイターに対する報酬や融資、その他の金融サービスとしての利用が挙げられています。具体的にはFacebookにおいて有意義な投稿を行ったユーザーへの報酬や、Instagramにおいて自身の好きなクリエーターに贈る投げ銭のような機能を考えているということです。

今後メタが提供するアプリにザック・バックスが導入されることで、従来のSNSとは一線を画した全く新しいエコシステムが誕生することも期待されています。

③まとめ

メタは現在、メタバースを主軸事業にするため、積極的な開発を進めています。その中で、近年開発を進めている仮想通貨やNFTがどのように組み込まれるのか注目されます。FacebookやInstagramにおいては、22年5月にもNFT機能の試験運用が始まるということで、いちユーザーとしても楽しみなところです。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12