ユーグレナのマテリアリティ(重要課題)やESGの取り組みは?株価動向も

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近年は、環境や社会への貢献度を示すESGをバランスよく取り入れる企業が増えています。では、その中でも個人投資家はどのように企業を見極めれば良いのでしょうか。

今回は、ESGに積極的な企業として、微細藻類のミドリムシを用いたバイオ燃料の製造や健康食品を展開する「ユーグレナ」を取り上げて行きます。今後の株価動向の見通しも解説していきます。

※この記事は2022年11月11日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
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目次

  1. ユーグレナについて
    1-1 ユーグレナのESG経営
    1-2 ESG投資の世界的指数の構成銘柄に選定
  2. ユーグレナの環境対策について
    2-1 気候変動の抑制
    2-2 プラスチック排出量の削減
    2-3 水の保全
    2-4 廃棄物排出量の削減
    2-5 ライフサイクルアセスメントの実施
    2-6 環境と社会に配慮した生産活動
  3. 対話を深め、社会と向き合う
    3-1 18歳以下の若者から選出されたCFOの設置
    3-2 八重山地域の活性化について
    3-3 人権マネジメント
  4. 最近の株価動向
  5. まとめ

1 ユーグレナについて

ユーグレナは、ミドリムシを中心とした微細藻類に関する研究開発、生産管理・品質管理、関連商品の製造・販売などを行っています。ミドリムシが多数の栄養素を持つことを生かし、健康食品や化粧品の製造・販売を行う傍ら、ミドリムシ由来のバイオディーゼル燃料やバイオジェット燃料などの研究開発も行っています。

先ずはユーグレナのESG取り組みについて見ていきましょう。

1-1 ユーグレナのESG経営

ユーグレナは「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を体現する企業であり続けるため、以下の8つの重要課題を特定しています。

  1. 生涯にわたる健康の実現
  2. 気候変動への具体的な解決策
  3. 発展途上国の栄養不良の解消
  4. 持続可能な商品供給の実現
  5. 持続的な環境負荷低減
  6. 多様な人材が自由に働ける職場づくり
  7. 経営基盤の強化
  8. ステークホルダー・エンゲージメント

これら8つの重要課題に対し2通りのアプローチによってサステナビリティの実現をめざしています。

ひとつは、事業を通じて課題を解決していくアプローチです。これは持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与することになります。

ふたつめは、事業活動を支える環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した経営基盤の構築です。自然資源、人的資源に立脚して経営を行っている企業として、強固なガバナンスのもと、環境・社会的価値を損ねることなく事業を推進する体制を構築しています。

1-2  ESG投資の世界的指数の構成銘柄に選定

ユーグレナは、「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄となりました。FTSE Blossom Japan Sector Relative Indexは、各セクターにおいて相対的に、環境、社会、ガバナンス(ESG)の対応に優れた日本企業のパフォーマンスを反映するインデックスです。

また、低炭素経済への移行を促進するため、特に温室効果ガス排出量の多い企業については、TPI経営品質スコア(※)により改善の取り組みが評価される企業のみを組み入れています。

ESG投資の判断基準の一つとして年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が本インデックスを採用するなど、投資家の重要な判断基準として活用されています。

(※)TPI=Transition Pathway Initiative 企業の温室効果ガス排出量および低炭素への移行に関連するリスク、機会管理の質を評価するスコア

2 ユーグレナの環境対策について

ユーグレナは、ESGの中でも環境汚染を防止し、温室効果ガスの排出量を削減し、生物多様性の保全に取り組んでいます。また、製造拠点、研究拠点、品質管理施設において発生する金属屑、廃プラスチック、廃油などの産業廃棄物の排出量削減にも努めています。

それぞれの環境対策について詳しく見ていきましょう。

  1. 気候変動の抑制
  2. プラスチック排出量の削減
  3. 水の保全
  4. 廃棄物排出量の削減
  5. ライフサイクルアセスメントの実施
  6. 環境と社会に配慮した生産活動

2-1 気候変動の抑制

ユーグレナは気候変動への影響が最も大きいCO2排出量の削減に向けて、以下の取り組みを行っています。

CO2排出量の計測

ユーグレナ全ての事業活動のうち、ヘルスケア事業の生産拠点である八重山殖産および生産技術研究所からのCO2排出量が全体の半数以上を占めています。これらのCO2排出量削減に関する目標設定を行い、目標達成に向け積極的に課題解決に取り組んでいます。

TCFD提言への賛同・シナリオ分析

ユーグレナは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による気候関連財務情報開示を求める提言に賛同するとともに、提言の推進を行うことを目的に設立されたTCFDコンソーシアムに入会しています。TCFDの提言に基づき、気候関連のリスクと事業機会、ガバナンス体制について情報開示を強化しています。

2-2 プラスチック排出量の削減

ユーグレナは、「環境への意識の高さ、低さに関わらず、環境に配慮した行動をとれる仕組みの構築を目指す」という方針のもと、2021年中に商品に使用される石油由来プラスチック量の50%削減を目標に掲げています。

2-3 水の保全

ユーグレナが製造する商品の原料となるユーグレナやクロレラは、培養に水を必要とします。ユーグレナでは、持続可能な生産を行う上で水の保全が重要な課題であるとの認識のもと、サプライヤーを含むステークホルダーとともに、水の使用量の削減に取り組んでいます。

2-4 廃棄物排出量の削減

ユーグレナの製造拠点、研究拠点、品質管理施設において排出される主な産業廃棄物は金属屑、廃プラスチック、廃油などで、拠点ごとに削減の目標と計画を作成し、モニタリングに努めています。

2-5 ライフサイクルアセスメントの実施

ユーグレナは販売する商品において、原料の調達から商品の使用・廃棄に至るまでの環境負荷を認識し、環境負荷軽減の余地を検討するために、ライフサイクルアセスメントの実施を重要課題としています。

2-6 環境と社会に配慮した生産活動

ユーグレナは、沖縄県石垣島の美しい自然の中で、ユーグレナおよびクロレラの生産を行っております。藻類の様々な分野での活用が進む中、生産に伴う環境や社会への影響を軽減することが、重要な課題であるとしています。

3  対話を深め、社会と向き合う

ユーグレナは、事業活動を行う上で、多様なステークホルダーと関わりを持っています。お客様や投資家の当社グループに対する期待・評価や、将来世代や地域社会に対して果たすべき責任を理解し、事業活動に反映するため、ステークホルダーと双方向のコミュニケーションを通じた対話を行っています。

事例を3つ紹介します。

  1. 18歳以下の若者から選出されたCFOの設置
  2. 八重山地域の活性化について
  3. 人権マネジメント

3-1 18歳以下の若者から選出されたCFOの設置

ユーグレナでは、未来を担う世代と一緒に、地球環境や栄養問題をはじめとするこれからの地球のさまざまな課題に向き合っていくため、1年間の任期で18歳以下の「CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)」を採用しています。

3-2 八重山地域の活性化について

石垣島に生産拠点を構えるユーグレナにとって八重山は、かけがえのない地域です。事業活動を通じて地域経済の更なる発展を実現する。そして、豊かな自然に抱かれた島々に生きる人たちと、世界一健康な暮らしを創造していきます。

3-3 人権マネジメント

ユーグレナは、フィロソフィーである「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」の下、世界中の人と地球を健康にするため、人権の尊重を推進するとともに、サプライヤーを含むステークホルダーとともに人権を尊重した事業活動を行っています。

また未来を生きる子どもに負の影響を与えないことは企業が果たすべき社会的責任であるとの認識のもと、子どもたちが健やかに過ごせるよう「子どもの権利とビジネス原則」を支持し、子どもの権利を尊重しています。

4 最近の株価動向

ユーグレナは、2021年連結子会社化した青汁大手であるキューサイの売り上げが計上されたことが要因で、売上高233億円(前年同期から約100億円増)と大幅に拡大しました。ミドリムシを配合した健康食品や化粧品の売れ行きも好調で、2017年9月までは増収増益を続けていました。

しかし、バイオジェット燃料を製造するための建設費、研究開発費がかさんだことから2018年以降、利益はマイナス(赤字)となっています。ユーグレナの今後の業績は、このジェット燃料事業の成否にかかっていると言っても過言ではありません。

ミドリムシで世界を変えるという理念の下、夢のある事業を展開しているユーグレナですが、売り上げの大半は食品や化粧品販売によるものであり、現状のユーグレナはミドリムシ入りの健康食品や化粧品を販売する会社ということになります。

投資家からの期待は高いものの、未だジェットエンジン事業は実証段階の施設が完成したのみで収益化の見込みが立っていません。他方、ユーグレナにはビジョンがあるので、実現できた場合には収益化の見込みが見えてくるはずです。

5 まとめ

ユーグレナは多額の研究開発費やバイオ燃料事業の収益化の遅延などにより収益が圧迫、営業利益の赤字決算が続いています。ミドリムシの大量生産という独自技術が強みですが、収益化が見込みづらい状況です。現状、ジェット燃料事業が収益化されていないことから、売り上げの大半はミドリムシ入りの健康食品からということになります。

しかし、ユーグレナはミドリムシの大量生産という独自技術のある会社です。脱炭素社会に向けて注目されているバイオ燃料事業が軌道に乗れば、大きな利益成長やさらなる企業価値向上も期待できます。

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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