2050年脱炭素社会の実現を推進する佐賀市は1月12日、佐賀市における「地域循環共生圏」(=地域が自立し支え合う関係づくり)の一環として、佐賀市内でのエネルギーなどの地域内循環を可視化し、ごみ発電電力の地産地消による環境価値を電子証書化するシステムを試作し「地域循環共生圏」具体化可能性の検証作業を実施する。検証作業は、社会にブロックチェーンを実装することをミッションに掲げる株式会社chaintopeと電力を通じた地域コミュニティの創造を支援することをミッションに掲げるみやまパワーHD株式会社と協働で行われるという。
佐賀市では、清掃工場で生み出されるごみ発電による電気(再生可能エネルギー)を市内の公共施設に供給することができる。令和元年度実績では、佐賀市清掃工場で生み出された電力は、佐賀市内の小中学校及び公共施設112ヶ所に供給され、「電力の地産地消」が行われている。
同ごみ焼却施設は、ごみを焼却した際に発生する排ガスから二酸化炭素のみを分離回収する設備を設置しており、ごみ焼却施設における日本初CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:二酸化炭素の分離回収による利活用)プラント。佐賀市では、二酸化炭素を野菜や藻類培養に利用するため、平成28年8月から二酸化炭素分離回収設備を稼動させ、現在は本CCUプラントの隣接企業に二酸化炭素を供給し「炭素循環」を行うとともに、企業誘致による「人の循環」と「経済循環」を生み出す取り組みを続けている。

佐賀市では脱炭素社会の実現に向けた先駆的な活動に取り組んできたが、その活動によって生まれた環境価値を誰もがその正しさを認めるかたちで公開することが難しいという課題があった。この課題に対して、株式会社chaintopeが開発したブロックチェーンTapyrusを利用し、誰もがその真正性を確認できる電子証書として公開することで、企業間や自治体間での切磋琢磨が促され、政府目標の「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」の後押しが期待できるという。また、環境価値を電子証書化することにより環境価値取引などの新しいビジネスの創造や、将来は地域通貨との連携による地域経済活性化につながることも見込まれている。
本取組の第一段階として、佐賀市清掃工場での二酸化炭素排出削減量の見える化・価値化から取り組むとしている。具体的には、佐賀市清掃工場で生み出された再生可能エネルギー発電実績と、佐賀市内公共施設での再生可能エネルギー電気供給サービス利用実績をブロックチェーンに記録し、佐賀市内で確かに電力が地産地消された証明として「資源循環証書」を発行する実証実験が行われる。

HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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