サステナビリティ報告基準を開発するオランダの非営利組織GRI(グローバル・レポーティング・イニシアチブ)と、英国の環境情報開示システムCDPは10月21日、気候変動とエネルギーに関する報告の整合性を図る新たなマッピング資料を公開した。これにより、世界中の企業が異なる開示フレームワークに対応する際の報告業務の重複を削減し、データの一貫性と質の向上が期待される。
両組織が発表したマッピング資料は、CDPの2025年企業向け質問書と、GRIが最近発表した「GRI 102:気候変動2025」「GRI 103:エネルギー2025」の基準との整合性を示すもの。GRIとCDPは2023年に覚書を締結して協力関係を正式化しており、今回のマッピングはその協力の成果として位置づけられる。企業は同じデータを両方の開示システムで活用できるようになり、「一度書いて、多くの人に読まれる」という原則の実現を支援する。
世界的にサステナビリティ報告が加速する中、企業は複数の開示フレームワークへの対応を求められ、報告負担が増大している。GRIの基準は世界共通の報告言語として14,000以上の組織が使用し、CDPは世界の時価総額の3分の2以上を占める24,800社以上が2024年に開示を行った。GRIのハロルド・パウエルス基準担当ディレクターは「GRIの気候変動、エネルギー、生物多様性基準を導入する報告組織のニーズに直接応えるもの」と説明し、CDPのアミール・ソコロウスキー気候担当ディレクターは「整合性を高め透明性を向上させることで、人と地球のために働く経済への移行を加速できる」とコメントした。
両組織は10月28日午前10時(中央欧州時間)に共同ウェビナー「気候開示の効率化に向けた相乗効果の活用」を開催し、マッピング資料の構造や活用方法を説明する予定だ。企業の報告負担軽減と情報の質向上を両立させる今回の取り組みは、グローバルな環境情報開示の標準化に向けた重要な一歩となる。
【参照記事】Closer connections for better climate disclosure

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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